やっと重い仕事から解放され、昨日それを届けることができた。これである程度自由な日々がやってくる。
昨日から『流転の王妃の昭和史』を読みはじめ、今読み終えた。『選択』9月号で、石井妙子さんが「をんな千一夜」で愛新覚羅浩のことを書いていたので興味関心を持った。ずっと前に買ってあったこの本を発見した。
嵯峨公爵家の浩が、「満州国」皇帝となった溥儀の弟である溥傑と、関東軍のいわば政略結婚させられたのである。しかし溥傑と浩は相性があったようで、仲睦まじく暮らすことができた。
とはいえ、戦時下のこと、「満洲国」に渡った浩は、横暴な関東軍の実態を見、知り、体験し、また「満人」や中国人がどのように扱われているのかを見た。当然、関東軍に批判的になるし、日本の侵略政策に怒りをもつようになる。日本の中国侵略を少しでも知れば、批判的にならざるを得ないほどに、大日本帝国は中国(人)を苦しめた。
日本の敗戦とともに、浩と娘はたいへん苦労して日本に帰る。その状況は、正に九死に一生を得るような危機的な状況をくぐり抜けるというものであった。夫は中国共産党により幽閉され、やっと解放される。それに伴い、浩は中国に渡り、夫共に穏やかな生活を送る。
今はもう、溥傑も浩も他界しているが、二人の日中友好の願いは今も息づいている。
この本を読んでくださった方たちが、私並びに私の家族がたどった一家の歴史のなかに、軍国主義のもたらす民族の悲劇を汲みとっていただければ望外の幸いです。そして、今後ますます中日の人々が、お互いに真実の友として友好を深めていかれることを心から祈っております。
浩の「あとがき」の一部である。
今、統一教会党が率いる岸田政権は、アメリカの扇動にのり、中国敵視政策をとっている。しかしこれは、近代日本が中国を「敵」として戦い、それによって自壊したように、もういちど中国を「敵」として戦えば、今度こそ破滅となるはずである。
日本はどのようにして中国とつきあっていくか。平和を維持するための外交に励むべきところ、沖縄などに自衛隊=軍隊を駐留させ、中国との戦争の準備をしているように思える。
「日中不再戦」は、国是でなければならない。
本書は、戦時下の日本と中国を理解するための良い材料となるだろう。