浜名史学

歴史や現実を鋭く見抜く眼力を養うためのブログ。読書をすすめ、時にまったくローカルな話題も入る摩訶不思議なブログ。

【本】本多勝一『新・アメリカ合州国』(朝日文庫)

2025-02-13 12:42:37 | アメリカ合州国

 アメリカ合州国に関して話すことにしたので、蔵書の中からアメリカ合州国に関する本を引っ張り出して読みはじめている。

 その中の一冊がこれである。本多には『アメリカ合州国』という本もあるが、これはそれを取材してから30数年後に再訪して書いたもので、今でも販売されているかどうかはわからない。この本は、2003年発売である。

 本多は、黒人、インディアン、アメリカ兵と結婚した日本人女性などを取材する。「どの国にせよ、本質や正体は被抑圧者のなかに象徴的にあらわれる」(11頁)からだ。

 たいへん読みやすく、また内容的にも豊かで、購入したときに読んではいるのだが、すべて新鮮に思えた。本多が『アメリカ合州国』(1970年刊)を書いた頃と比べて、黒人差別はなくなっていないが、かなり緩和されているようだ。といっても、今から20年も前の状況だ。今はどうなっているのだろうか。

 具体的な記述が多いが、アメリカ合州国は本質的には、建国以来変わってはいない。「アメリカ合州国の歴史が、ワシントン初代大統領のときから現在まで一貫して侵略・陰謀・詐欺・虐殺の連続だったこと」(192頁)は自明の事実だからだ。

 そして、「今やアメリカ合州国は、最強の軍事・経済・科学を握った上に言語帝国主義まで加えて、地球の生物史30数億年来「最悪の帝国」として君臨するに至った。地球上の「どんな紛争」にも介入なり捏造なりして支配してゆく。」(223頁)

 これは大統領が、バイデンであろうとトランプであろうと変わらない。大統領が替わるとどうなるか・・・などと識者は語るが、しかしアメリカ合州国の本質は変わらない。インディアンをだまし、虐殺し、虐げてきた歴史を、アメリカ合州国は、世界中で繰り返し行ってきた。

 アメリカ合州国とはいかなる国家であるか、日本人はきちんと認識しなければならない。

 本書は、20年ほど前のものだが、読む価値はおおいにある。

 

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過ぎ去っていく

2025-02-13 12:15:21 | 社会

 『週刊金曜日』の雨宮処凛さんの「乱気流」。今回は、東アジア反日武装戦線「さそり」のメンバーだった桐島聡のことが書かれていた。桐島聡は、偽名を使い、半世紀もみずからをかくして生きていた。その桐島を「しのぶ会」があったそうだ。

 連合赤軍や東アジア反日武装戦線などがいろいろな活動をしていたことは、新聞などで知ってはいたが、直接関わることはなかった。わたしは、若い頃から非暴力を基本としているので、かれらの活動を肯定することはなく、批判的に見ていたが、それらの活動に関わった者たちの「その後」には関心を持っていた。

 最近亡くなった植垣康博さん、もと連合赤軍のメンバーだった。彼は静岡市に住んでいた。わたしがかかわっていた大杉栄等の墓前祭にはしばしば参加され、何度か話したことがある。

 雨宮さんの記事に書かれている浴田由紀子さんも、2023年の最後の墓前祭に参加され、墓前でスピーチをされていた。彼女は、大杉栄・野枝の子、伊藤ルイさんからもらったという服を着て参加したことを語っていた。

 若い頃、ひとつの方向をめざし果敢に生きた、しかしその方向は挫折しても、「その後」を生きなければならない。その一つの生き方が、みずからを完全に消して、ひっそりと生きる道を選んだ桐島聡。

 その桐島について、浴田さんはみずからの来し方を振り返りながら、彼の「気の遠くなるような孤独」を思う。浴田さんは、みずからが捕まったとき、「これで本名で生きられる」と思ったという。「地下生活」は、孤独で、仲良くなった人にも「嘘をつかなければならなか」った。「罪悪感」がつのっていた。

 桐島は、半世紀の間、みずからを偽り、できうる限り人と接触せずに孤独に生きた。それができたということに、わたしは桐島の「強さ」を思う。しかしその生は、むなしい。

 いろいろな生き方がある。

 学生時代、問題意識を共有した友人がたくさんいた。しかしその多くは、「体制内」でゆるりと生きている。彼らは時に集まっているようだ。いちどわたしも参加を求められたことがある、しかしわたしは参加しなかった。わたしは、彼らとは違うからだ。学生時代の問題意識を、わたしは今も、堅持している。

 

 

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