浜名史学

歴史や現実を鋭く見抜く眼力を養うためのブログ。読書をすすめ、時にまったくローカルな話題も入る摩訶不思議なブログ。

【本】坂原冨美代『夢二を変えた女 笠井彦乃』(論創社)

2023-12-01 21:36:46 | その他

 2019年、某所で「竹久夢二とその時代」というテーマで話したことがある。約90分で夢二の生涯を追いながら、その時代を描くというものだ。そんな短時間で夢二を語り尽くせないことはわかっていたが、如何せん、時間はそれしかない。

 夢二が若い頃、荒畑寒村ら初期社会主義に関わった人びとと交流があったこと、関東大震災に際会し、文章とともにスケッチを新聞紙上に描いたこと、そして多くの女性との遍歴、さらに海外旅行、とりわけドイツでナチスの支配を体験したことなどを一挙に話した。

 最近、夢二のもっとも愛した彦乃の日記や手紙があり、それをもとにした本が出版されていることを教えてもらった。それがこの本である。

 彦乃と夢二の関係はこうだ。講座の際使ったスライドの一部。

 夢二が関係した女性の中でも、最愛の女性。日本橋の紙商芙蓉社笠井宗重の長女。日本女子大付属女学校出身。夢二と出会った頃は、女子美術学校日本画科の学生、「港屋絵草紙店」に通い、1915年5月夢二の「戀人」となる。しかし父親に反対され、逢うこともままならず、手紙で連絡し合った(書簡はたくさん残っている)。

1917年6月 京都で夢二、不二彦と生活するようになる。夏、三人で北陸旅行をする。

1918年3月 彦乃の父が彦乃を東京に連れ帰る。

1918年 8月、夢二、不二彦と九州、そして長崎へ。 8月下旬、彦乃も九州へ、しかし9月初め結核が重症化し別府で入院。9月末、岡山を経由して京都・東山病院に入院、父・宗重により京都府立病院に転院。夢二の面会は拒絶。夢二は11月東京へ戻る(恩地孝四郎宅→菊富士ホテル)。12月、彦乃がお茶の水順天堂病院に転院(面会謝絶)。1920年1月死亡。夢二は彦乃との日々について『山へよする』(1919年2月)を出版。

 夢二が終生離さなかったプラチナの指輪の内側には「ゆめ35  しの25」と刻まれていた。「ゆめ35」とは、彦乃に会えなくなった夢二の年齢。「しの25」は彦乃が亡くなった年齢。

 このレジメをつくったときには、彦乃の日記や手紙が残されているのを知らなかった。本書は、夢二の日記や書簡(これは書籍化されている)だけではなく、彦乃のそれをつかっているので、ふたりの関係がきわめて具体的である。

 まだ最後まで読んではいないが、すでに30歳になっているのに、少年のような夢二と若いのにとてもしっかりしている彦乃、ふたりの愛の駆け引き、これは瀬戸内寂聴がいう「(愛の)雷に打たれた」ことのない人には理解しがたいだろうが、私にはそれがよくわかる。雷に打たれて始まる愛であっても、双方の駆け引きのなかでそれはより深まっていくのだ。

 この頃、夢二はたまきと別れているが、子どもが三人いる。彦乃との生活をこころから望むが、お互いの事情で順調には進まない。大きな障害がたちはだかっている。それがこの本に具体的に描かれている。

 夢二は、彦乃と海外に行こうと提案する。彦乃が亡くなった後、夢二はハワイ、アメリカ西海岸を経由してヨーロッパにいく、そして晩年台湾にも行く。夢二の海外への旅にふみきった理由には、彦乃と語り合ったこともあったのかもしれない。

 夢二を理解するためには必要な文献であった。この本は2016年に出版されている、知らなかった。

 

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大阪万博はスゴイ!!

2023-12-01 19:21:30 | 社会

 驚くことに、大阪万博、会場へ向かうバス、45秒に一台だとのこと。すごい!!乗る人も大変だ。

「45秒に1本のシャトルバス」に唖然…万博の人員輸送計画は「机上の空論」国費投入 “青天井” で1620億円

 

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【本】畑中章宏『廃仏毀釈ー寺院・仏像破壊の真実』(ちくま新書)

2023-12-01 16:47:42 | 

 明治初期、日本の伝統的な宗教的な意識が、政治権力によって大きく歪められた。神仏分離・廃仏毀釈である。

 この政策によって、日本の宗教は大きく変えられた。そのとき、寺院や仏像などが破壊され、貴重な文化財が失われた。

 一面、仏教界が近世期に腐敗していたということもある。しかし、ほぼ全国に吹き荒れた神仏分離・廃仏毀釈は、天皇を神として権力の中枢に祀りあげるために行われた権力的な暴挙であった。

 本書は、その具体的な事例を、大まかに叙述している。個々の寺院や修験道に対するその施策は、それぞれが異なっているために、詳しく説明しようとすればとても新書では書ききれない。だが、その傾向は、本書で摑むことが出来る。

 私も、旧春野町にある秋葉信仰が、神仏分離・廃仏毀釈により、どのように現在の姿になったのかを調べたことがあるが、それはあまりに非道でむごいやり方であった。秋葉山の頂上には、現在秋葉神社があるが、それは神仏分離・廃仏毀釈の政策の中であらたにつくられたものである。祭神は、それまでは秋葉三尺坊大権現であったが、秋葉神社は三尺坊という坊さんを祭神にすることができないために、明治になって火の迦具土の神を勧請したのである。秋葉寺を廃寺にする際には、住職を捕まえておいて、住職がいない無住の寺だからという理由がつけられた。

 同じようなことが全国各地で行われた。それが本書では概括的に記述されている。まさに非道そのものであった。薩長主導の維新政権はそういうことをやった権力なのだ。

 神仏分離・廃仏毀釈の政策について、権力がいつも反省しないように、今もって何の省察もなされていない。

 神仏分離・廃仏毀釈がいかなる暴挙であったのかを知るために、本書はとても参考になる。

 

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桁違い!!

2023-12-01 07:49:58 | 政治

 自民党政治というのは、要するに「我田引金」なのだ。どんないいことを言おうと、みずからの懐にカネを引っ張ってくることだけが目的なのだ。

 昨日の昼食は、なじみのラーメン屋に行ったが、最近仕入れ価格が上昇していて、利益率が下がっている、しかし昨年値上げしたばかりだから値上げもできないとこぼしていた。我が家も、スーパーマーケットに食料品を買いに行くと、ほとんどの食品が値上がりしているので、お金が羽をつけてどんどん消えていくという事態だ。

 しかるに、政治家諸君は「我田引金」にひたすら励んでいる。それも、庶民生活とは桁違いの金額である。

安倍派、1億円超の裏金か パー券ノルマ超えを還流 地検が立件視野

 しかしこれとて、ほんとうに検察が厳しく操作をするのかどうか。政治家に対する検察など国家機関の対応を見ていると、自民党と国家機関の役人たちとは利益共同体であるから、おそらく骨抜きになるであろう。

 大きな私企業の利益になるような政治をして、それらの企業からたんまりとカネをもらう、それが政治家諸君の生業なのだ。選挙民も、そうした利権政治からおこぼれの少額のカネを得ようと彼らにまとわりつく。かくて自民党は権力を握り続ける。そして日本は、すでにはっきりしているけれども、国際社会での地位を下げ続けている。今では、この日本が買われているのだ。これが自民党政治がもたらした結果である。

 そしてこのニュース。桁違いである!!

“一般人”昭恵夫人の懐に政治資金2.1億円!「非課税で全額相続」がまかり通るのはおかしい

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