浜名史学

歴史や現実を鋭く見抜く眼力を養うためのブログ。読書をすすめ、時にまったくローカルな話題も入る摩訶不思議なブログ。

『夢二を変えた女 笠井彦乃』(論創社)

2023-12-08 21:27:47 | 

 かつて「夢二とその時代」というテーマで話したことがあった。夢二の日記や書簡などできるだけ資料を入手して夢二の一生とその時代を語った。

 夢二は多くの女性と関わった。そのなかでも、年若い笠井彦乃を、夢二はもっとも愛したことは日記などで明らかであった。もちろんそれは指摘した。

 しかしそのテーマで話すのは時間が足りなかったと思う。テーマにあるように、夢二が彼が生きた時代とどう関わったのかを主に話したので、女性関係については詳しくは語らなかった。

 知人からこの本を教えられ、古書店から購入して読みふけった。夢二と彦乃との強い結びつきを、具体的に知ることになった。強い結びつきであったが、その関係は、彦乃が数え年25で結核に冒されて亡くなることによって終わったのだが、しかし夢二は、彦乃に対する愛情を捨てることなく、最期まで持ち続けた。

 夢二の多くの女性関係から「女たらし」のように非難するひともいるが、しかしこの本を読んでからは、おそらく非難できなくなるだろう。彦乃も、夢二も、真剣だった。ただ、夢二が長じても大人になりきれなかった「少年」だったこと、それ故の、すべき時にすべきことを為さなかったことから、悲劇は生まれた。

 私は、歴史講座の直前、結核となった夢二が息を引き取った高原療養所(今はJAの病院になっている)を訪れた。長野県富士見町、途中、甲斐駒や八ヶ岳が見えた。「山」である。夢二は彦乃を「山」と呼んだこともある。

 彦乃のあと、夢二は多くの女性関係をもったが、彦乃だけが夢二の「愛(する)人」であったのだということが、この本を読んでよくわかった。その「愛」は、「黒船屋」という絵や、『山へよする』などいくつかの書籍にも記されている。

 著者は、彦乃の血縁者である。私は彦乃の日記が残されていることを全く知らなかった。夢二の日記などと対応させて、ふたりの「愛」の諸相が具体的に描かれている。夢二を知るためには不可欠の文献だと思う。

 

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【本】小林敏明『夏目漱石と西田幾多郎』(岩波新書)

2023-12-08 10:39:36 | 

 おそらくあまり注目されることもなく消え去る本であると思う。

 夏目漱石は教科書にも出てくる作家であるが、西田は『善の研究』で高名な哲学者であるが、しかしあまりに難渋な書き方で人々に読まれるようなものではないからだ。

 著者は、漱石と西田を研究する中で、共通するものがあることを発見しこの本を書いたようだ。

 当初、漱石と西田の共通するところを指摘しながら、彼らの周辺を描いていると思いながら読み進めていった。「西田も漱石も若いときから人並み以上の反骨精神や独立心をもっていた人物である」(30頁)と指摘しているように、である。しかしそれは当然で、「反骨精神や独立心」がなければ新たなユニークな思想や作品は生まれないからだ。

 共通することとして著者は、「漱石と西田の戦争観を通して見えてくるもの、それは地球全体を包み込もうとしている近代世界システムが、大は国家間の戦争から小は個人間の競争にいたるまで、さまざまな闘争の契機をはらんでいること、またその危ういバランスの上に立って、いわゆる「文明」の産物が教授されているという認識である」を指摘しているが、しかし近代資本主義は総じて「競争」の原理に立っているから、あえてこういう指摘はふたりの「共通性」として挙げることは妥当なのかと思う。

 私は本を読むときは、赤線を入れたり書き込みをするが、この本の場合は、書き込みはなく、赤線は著書による指摘ではなく引用部分に線を引いていた。

 そういう本である。

 

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三木卓『裸足と貝殻』から

2023-12-08 08:37:00 | 社会

 『裸足と貝殻』には、興味深い話が出てくる。

 「今は苦しい時代で、諸君のお父さんやお母さんは、毎日の生活のために今までにない苦労をしていらっしゃるはずだ。諸君も日本の貧乏は身に染みて味わっているだろう。味わうのはけっこうだが、だからといって心のなかまで貧乏になってはいけない。諸君のまわりには、今までの優れた精神が残していたものがたくさんある。文学や哲学はもちろんそうだが、音楽や絵画もある。どんなに時代がひしゃげても、そういう古典は豊かな精神の産物だ。そういうものとこれから、それも自分から触れていくことで目先の貧しさから精神を解放する。そういうことを考えてほしい。」(386頁)

 これは豊三に、ある先生が話した内容である。この先生は、自分自身が関心のあることを、映画や本などを子どもたちに話して聞かせ、そしてそうしたものに接するように促した。その内容は、中学生が理解できるようなものではなかった。しかしそんなことはかまわずに話した。子どもにとって、それらは理解できない難解な内容ではあったが、それらは子どもたちの精神を刺激した。豊三、すなわち三木卓も、そうしたむつかしいものに憧憬を抱いた。

 「人も見て法を説け」ということわざがあるが、理解できそうもないことを話すということも、刺激になるのだ。

 学校からそうした風潮がなくなってきたのは、いつごろからだろう。私は、文部省が、高校生の政治運動対策として打ち出してきた部活動必修化がその大きな要因ではないかと思う。部活動は、朝の練習、放課後、それも夜遅くまでの練習、土日の練習や試合、子どもたちは部活動によって体力を消耗させられ、本を読むどころか、授業中は体を休める時間となってしまっていた。子どもたちは、「優れた精神」に触れる機会を持たないまま成長していった。

 宝塚歌劇団のパワハラ、上意下達のすさまじさや長時間の拘束が問題となっているが、学校の部活動も同じようなものだ。宝塚歌劇団がもっている問題点は、学校の部活動がもっている問題点でもある。とりわけ静岡県はほとんどの高校がスポーツ推薦で入学させているから、部活動のもつ悪弊が際立つ。

 部活動が強制ではなく、子どもたちの自主的な興味関心にもとづいてクラブが運営されている頃は、子どもにも余裕があり、「優れた精神」に接する機会もあった。三木卓の中学生時代がそうだったし、私もそうした時代に、学校生活を送っていた。

 

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【本】三木卓『裸足と貝殻』(集英社)

2023-12-07 15:40:36 | 社会

 作家の三木卓が11月18日に亡くなった。私にとって三木卓は全く知らない作家であった。しかし、三木が「満洲」から帰って来て住んだのが静岡市。小学生から高校卒業までの生活の中で、いろいろな人たちと交わった。そのなかの、とくに三木と関係あった二人を、私はよく知っている。

 その一人、櫻井規順(もと参議院議員)も、11月21日に亡くなった。もちろん二人とも88歳であった。三木と櫻井は、静岡高校で一緒だった。

 三木は、静岡時代のことをこの『裸足と貝殻』、『柴笛と地図』で描いている。前著は「満洲」からの引揚から中学校卒業までの日々を描いている。戦争直後の静岡市、そしてそこに生きる人びとの姿が描かれている。

 引き揚げ者である三木一家、父親は「満洲」で亡くなっているから、貧しい日常生活だ。三木だけではなく、周辺にはより貧しい人びともいた。

 そして学校も大きな変革期にあった。六・三・三・四制の学校制度、男女共学の実施など、教員にもいろいろな人がいた。

 静岡市における戦争直後の状況が描かれていて、静岡市民にとっては良い教材となるだろう。

 そしてもう一人、静岡時代の三木と親交があった市原正恵、この本の中では「石上光江」となっているが、三木とは城内中学校で一緒だった。市原は静岡城北高校に進んだが、高校時代も三木や櫻井と交流があり、それは『柴笛と地図』に描かれている。

 市原は、2012年に亡くなっている。今年11月、「あの世」で三人は仲よく語らっているのだろう。

 今日、『裸足と貝殻』を読み終えた。『柴笛と地図』は、市原正恵遺稿集を編集したときによんだが、『裸足と貝殻』は読んでいなかった。

 いずれこの三人の交流について紹介したい。櫻井、市原から三人の交流を何度も聞いているからである。

〈付記〉三木が、市原をどのように見ていたか、それを書き記しておこう(472~3ページ)。 

 光江は文芸的な才能を持っているばかりではなく、演劇にもその能力を閃かせていた。島村民蔵先生は、幾人かの女子生徒をめでられていて、上級生たちがやっている同人雑誌に名指しでその数人の名前をあげたばかりか、彼女たちにロザリオの鎖を掛けてやりたいとまで書かれていたので、先生は御老齢でいらっしゃるからそういうことを書いてもいいのだ、と思いはしたものの、その大胆さには腰を抜かしたものだったが、光江はそのなかの一人に入っている少女だった。

 豊三も彼女の舞台は見ている。それは二年の秋の文化祭の「眠れる森の美女」でのことで、例の、織機の錘が王女の指に刺さって死ぬという邪悪な魔女の呪いに宮廷のみなが右往左往しているとき、敢然として死の呪いを眠りの呪いに軽減させる正義の予言者の女の役を演じた。そのときの彼女は、頭から純白のショールをまとっていて凜々しく、こういう雰囲気を持ち得る少女は、自宅へ帰ってからもきっと、豊三の味わい乏しい日常に比べて、はるかに素晴らしい充実した心と物質の生活をしているにちがいない、と思ったのだった。

光江と話をする機会が欲しい、と豊三はその夜思った。文章を見ても、彼女は年齢より深い考えを抱いているように思われる。たしか父親は戦争で亡くなったと聞いた。光江とならば、いろいろなことが話せそうな気がする。松木のように、とは思わないが、ふつうの女の子とはちがう。通じあえる話が持てそうだ。それにしても、もうこの学校を卒業するまで一年もない。彼女はどこの高校へ進学するつもりだろう。

 その前、下校時に光江に会った際の記述(471頁)。

 下校時に渡り廊下のところで、石上光江に会った。光江は豊三より背が高く、面長の美少女である。クラスがちがうので口を利くことはあまりなかったが、彼女が短歌を学校誌に発表していたことは知っていたし、文章はしっかりしていることは知っていた。

 私が市原さんと会ったとき、すでに40代であったから、「美少女」ではなかった(ゴメンナサイ)。しかし文章はうまかったし、彼女の読書量はすごく、分野を問わずに幅広かった。

 

 

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ただの・・・・・

2023-12-04 19:57:53 | その他

 書棚にあった『夏目漱石と西田幾多郎』(岩波新書)を、寝室にもっていき読みはじめた。私はなかなか寝付かれないたちで、活字に眼をとおしていないと眠気がやってこない。

 ふとこの本を読みはじめたのだが、これがなかなか面白い。幾つかの本を並行して読んでいるが、さらに並行して読む本が増えてしまった。

 夏目漱石も西田幾多郎も、反骨の人であることが指摘されている。いずれも父親の愛情がない、あるいはきわめて少ないという境遇に育つ。そういう境遇から育った者は、「権威にとらわれない自由独立の精神が生まれやすい」(30頁)とのこと。2歳で父が病死している私も、家父長的な父親の支配を受けなかったからか、反骨精神をもち反権威的な精神を有している。

 学位授与を拒否した漱石は、「小生は今日迄ただの夏目なにがしとして世を渡って参りましたし、是から先も矢張りただの夏目なにがしで暮したい希望を持って居ります。」と手紙に書いている。

 私も、小田実の「人間みんなチョボチョボ」だという信念を持っている。漱石と同じような感覚だろう。

 だが、いろいろな人と交わると、あまりつきあいたくない人たちと遭遇する。たとえば、肩書きをいっぱい書いてある名刺をもった人、「僕って偉いでしょ」とばかりに自慢話を繰り広げる人、今まで関係なかったのにあたかも今まで関わりがあったかのようにしゃしゃりでてくる人、話のなかに功成り遂げた人の名前を出してその名前で自らをかざろうとする人、そういういや~な人がいて、そういう人たちとも話をしなければならないこともある。あ~いやだ。だから私は、そういう人たちがいるところには行かなくてもよい状況をつくりだそうとしてきた。だから静岡市にはもう行かない。「オレが、オレが・・・」という人、権威にすがり、みずからを売りこみたい人が集まるところには顔を出さないのだ。

 ちなみに、田中正造の名刺は、「田中正造」とだけ書かれている。私の名刺は、住所氏名だけのものと、今年まで主宰していたある催しを主催する「〇〇実行委員会」の名刺だけをもつ(それはもう終わった)。私も「ただのなにがし」で最後まで生きていこうと思う。漱石と異なり、私は最初から最後まで「ただのなにがし」なのだから。

 夏目漱石全集を私は持っているが、この本を読んで、漱石が反権威の人であることがわかった。これで全集を読もうという意欲が湧いてきた。

 

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種子島

2023-12-04 19:57:53 | 政治

 今日は太陽がでない。太陽がでないと、寒い。部屋をしめて電気ストーブで暖をとる。

 今日の『東京新聞』は種子島の現状を報じている。近くにある馬毛島に軍事基地が建設されることとなり、たくさんの作業員が種子島を拠点にして、日々馬毛島に通っているそうだ。

 島の各所にコンテナハウスが建てられ、そこが作業員の宿泊所となる。ホテルはいつも満室、賃貸住宅も賃料があがっているという。

 漁船は、漁に出るよりも、作業員を馬毛島への海上タクシーとなっている。

 種子島の生活は変わってしまった。カネが、おそらくたくさん投下されていることだろう。ホテルや地主は笑いが止まらないだろう。カネ、カネ、カネがばらまかれる。今までの日常がなくなる。

 軍事基地の建設をめぐって、島内には大きな対立が生まれた。日本の対米隷属の軍事拡大政策により、南西諸島の島々で起きていることだ。

 カネは、人びとが何を差し置いても欲しい。あのマイナンバーカードのとき、2万ポイントが付与されると報じられると、数多の人びとがそのポイントを求めてマイナンバーカードをつくろうと行列をつくった。浅ましいと私は思ったが、それが人びとの習いなのだろう。

 カネの魔力に負けない人の方が少ないと思う。カネよりも、平和で静かな日常が欲しいという人の方が、おそらく少ない。

 馬毛島に軍事基地ができると、軍用機が無数に飛来する。米空母の艦載機が、馬毛島でタッチアンドゴーを行うそうだ。自衛隊機よりも米軍機のほうがずっとやかましい。種子島を騒音が覆いつくすだろう。

 下手にカネをもらうと、必ず何かしらの害がついてくる。種子島の人びとは、基地の完成後、きっと後悔することになるだろう。

 

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日本大学はやはり「日本大学」だった

2023-12-04 19:57:53 | 社会

 日本大学が記者会見を開いた。私は一部をユーチューブでみたが、日本大学が長い間培ってきた風土はまったく変わっていないことがよくわかった。すべての大学が道理に基づく運営がなされているわけではないが、日本大学はさすがであった。長い黒歴史を引き継ぐ「素晴らしい」会見であった。

 要は、でたらめ、きちんとした道理に基づく方針をもってこの問題に対処するのではなく、その場しのぎ、場当たり的なものであった。

 林真理子は作家のようだが、人間としての資質に問題ありと認識した。この人の文は読む必要がないと判断した。

 なおジャニーズ問題や宝塚について精力的に報じている『週刊文春』などは、この問題を報じていない。どこのメディアも、経済的利害にもとづいて行動している。メディアへの不信が強まるだけである。

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ミュージカルと演劇

2023-12-04 08:23:29 | 演劇

 私は若いころから音楽座のミュージカルが好きだ。最初に見たのは、「シャボン玉とんだ宇宙(そら)までとんだ」であった。とても感動した。

 演劇は、劇を通して現実や社会にある様々な問題、生き方などを考えるためにあると思う。しかしミュージカルは、生きているって素晴らしい!と思わせてくれるものだと、音楽座のミュージカルを見て思った。

 それ以降、劇場に足を運んだり、ビデオで見たりして様々な音楽座の出し物を見てきた。それぞれの作品に、それぞれ言いたいことはあるが、しかしすべてを通して、音楽座のミュージカルをみることは、楽しい。

 音楽座が、YouTubeチャンネルでオーディションの光景を公表している。

 私は今まで何度か宝塚も見に行っている。宝塚は豪華絢爛そのもので、照明といい、衣装といい、お金をかけてどうだ美しいだろう、という見せ方だ。しかし、私から見れば、二部構成の一部の劇は学芸会のようにしか見えなかった。

 宝塚は、ひとりの自死によって、その内部が明らかになった。舞台で活躍している人びとは、しかし奴隷的境遇のなかで演技していたことが明らかになった。おそらく、ひとりひとりの演技も、演出家らの上意下達的な厳しい指導のなかでつくられたものなのだろう。

 宝塚を見ても、生きているって素晴らしい、楽しい、というような感動は得られなかったことを思い出す。

 音楽座のオーディションを見ていて、ひとりひとりの創造性がぶつかり合い、そしてその結果ひとつになって舞台がつくりだされていることを知った。ひとりひとりの創造性を大切にしながら舞台づくりをしていると思った。

 だから音楽座のミュージカルは、楽しいのだ。

 宝塚のような人間の個性や創造性を押し殺すことによってつくられる舞台を見ることはないだろう。

 

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イスラエルと新政府軍

2023-12-03 17:02:55 | 近現代史

 イスラエルが、ガザ南部にも激しい攻撃を行っているという。イスラエルは、ガザや西岸地区をイスラエル領にしてしまおうとしているようだ。それは、パレスチナを含めたイスラエルが、神がユダヤ人に約束した土地だという宗教上の理由もあるのだろう。

 しかし、ユダヤ人がこの地から去って行ったのは、2世紀、その後多くのアラブ人がそこに居住してきた。第二次大戦後、強引にその地がユダヤ人に渡され、そこに住んでいたパレスチナの民はイスラエルに居住地を奪われた。

 イスラエルは、Gaza地区や西岸地区からパレスチナ人を追い出すこと、そのためには、イスラエル建国の際に行われたパレスチナ人虐殺を繰り返そうとしている。

 ニュースを見ると、狭い狭いGaza地区に砲弾が撃ち込まれている。イスラエルにとって、そこに住むパレスチナ人が死のうと、ケガをしようと一切顧慮しない。ひどい!!

 だがそういう歴史は、日本にもあった。戊辰戦争における最大の戦いは、会津戦争。松平容保の会津藩は、領民を守るために新政府軍(この軍隊は、テロを繰り返していた薩摩藩、長州藩を主体とする軍だ)に対して戦闘を避けるために「恭順」姿勢を示した。しかし新政府軍はそれを認めず、徹底的に会津藩を攻撃した。会津若松城には会津藩士と多数の領民がいた。

 新政府軍は、そこに大量の砲弾を撃ち込んだ。会津藩が完全に敗北するまで、新政府軍は一切の交渉を受け付けず、ひたすら冷酷に攻撃を続けたのである。

 イスラエル軍によるガザ攻撃は、テロリストに率いられた薩摩、長州を主体とする新政府軍による会津攻撃と軌を一にする。

 新政府軍はそのまま維新政権となった。彼等がつくりあげた大日本帝国による国内外の民衆に対する無慈悲な仕打ちが、今後のパレスチナ人にも降りかかるのだろうか。

 

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差別論

2023-12-03 11:18:40 | 社会

 被差別部落の歴史や在日コリアンの歴史を調べた経験の中から、差別が社会的差別に「発展」する背景には、公的権力(国家など)によるお墨付きが与えられるからだ、という説を唱えてきた

 差別的な感情は日々生まれ消えていく、しかしその差別的な感情が社会に蔓延する場合、その背景には何があるかを考えるとき、一定の差別について国家など公的権力がお墨付きを与えるからだ、というものである。

 図書館から、『ヘイト・スピーチの法的研究』(法律文化社)を借りだして読んでいたら、森千香子が「ヘイト・スピーチとレイシズムの関係性」において次のように記している個所に出会った。

 「・・人間の不安は、レイシズムと自然に結びつくのではなく、人為的に「結びつけられる」ものである。そうであるならば、それを結びつけるのは何か。筆者は、それが国家であり、一部のマスコミの作用であるとの仮説を立てる。直接的な呼びかけでないが故に一見わかりにくいが、外国人に不利な措置を講じたり、移民を犯罪視するような政策(移民の安全保障化)をとったり、外国人への恐怖を煽るような報道をしたり、間接的かつ「洗練された」かたちで、国会やマスコミはレイシズムを涵養している。そうした「空気」がつくられ、上からの「お墨付き」をもらっているからこそ、在特会のような過激な運動は安心して、公然とヘイト・スピーチを叫ぶことができる。このようにレイシズムは国家をはじめとする「上」から作り出され、それが草の根の不満を方向付け、暗黙の承認を与えているのではないか。

 このような仮説は、海外では「上からのレイシズム」論として確立されており、日本でも国家による制度化されたレース部の暴力やメディアが無批判に再生産する排外主義の影響についての分析が行われている。(中略)

 したがってレイシズムの問題は「下層の不安から自然に発生する」と考えるのではなく、草の根のレイシズムが上から作られたレイシズムによって方向付けられ、上の動きに呼応するかたちで発展するという「相互作用」の視点から考える必要がある。」(11頁)

 まさに私が以前から唱えていた説であり、それがこうして私とは無関係なところで語られるようになっている。

 「差別」はいけないこと、それが社会的に常識とされていない社会では、必ず国家はじめ公的権力が差別的な政策を行っている。「差別」をなくすためには、まずもって、国家などによる「差別政策」をやめさせることが必要なのだ。

 

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あの維新が進めている大阪万博

2023-12-03 08:04:44 | 政治

【今井 一×尾形聡彦・万博の350億円木造リング、半額以下でできる/3100億円超に費用また拡大、万博のずさん】

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【演劇】こまつ座/劇団民藝『ある八重子物語』

2023-12-02 19:01:37 | 演劇

 今日は「ある八重子物語」をみた。休憩も含めて2時間55分という長い芝居である。

 第一幕(40分)、第二幕(70分)はあっという間に終わった。新派劇の台詞や見せ所を舞台上に再現して、速いテンポで、そして井上ひさしらしいユーモラスな台詞や所作で観客を喜ばせてくれた。

 時代背景としては、戦中から戦争直後。舞台は、柳橋にある古橋医院、そこにいる全員が水谷八重子のファンである。

 戦中・戦後であるから、当然戦争は登場人物に大きな影響を及ぼす。といっても、戦争それ自体は背後にあって、空襲や食糧不足、権力を笠に着た警官、「女形の研究」という論文を書きつづけていたために入営を忘れた学生がでてくるくらいである。

 さすが井上ひさしの台本だわいと、喜んでみていた。テンポといい、台詞といい、俳優たちの演技といい、演技者も芸達者な人たち(民藝の俳優ということで安心して見ていられる)で、演劇らしい演劇であった。演劇を演劇として楽しめる舞台であった。

 ただ、三幕目の後半は、どうも失速したような感じを受けた。観客を、ぐっと引き付けていたのに、それがふと切れたような。しかしそれまでぐっと観客を舞台に引き付けていたのだから、まあいいか。

 カーテンコールは、もう一回くらいあってもよかった、それほど観客は喜んでいた。

 

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多額の公金=カネが自民党や維新を支える

2023-12-02 08:35:36 | 政治

 『日刊ゲンダイ』の記事、

大阪・関西万博は総事業費「1兆円突破」確実! 予算大膨張は会場建設費だけじゃない

 いわゆる公共事業には税金があてられる。なぜかその金額は、民間で行われる同規模の経費よりも多額のカネが支払われるという。  公共事業は、土木建設関係企業などに多額の儲けを生じさせる。そしてその一部が、パーティー券購入などで政治家に渡される。政治家はウハウハなのだ。  

 こんな記事もある。

自民の政治資金パーティーは「利益率9割」がゴロゴロ…西村経産相は驚異の98.6%【表あり】

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うーむ

2023-12-02 08:22:17 | 社会

 札幌で安倍元首相の演説の際、ヤジをして警察に排除された女性のその後の報道がTBSでなされた。私はなかなか頑張っているようだなと思って読み進めたが、そのあとのコメントを読んでいって、コメントを書いた方々のあまりに秩序尊重の物言いに、今の社会の国民意識を感じてしまった。

 権力に馴致されてしまった国民が多い日本では、こんなに腐臭を放っている政界が変わらないのはやむをえないなあと思う。抗議すること自体を「悪」とみるような風潮、権力こそが「悪」であることは、日々の報道で明らかなのに、そして権力の担い手たちが法の網をくぐりながら、あるいは法を破ってまでカネのために悪事を働いているのに、それには抗議しない。

 

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あきれてしまう

2023-12-02 07:51:56 | 社会

 日本大学の対応はでたらめだ、とつくづくと思う。大学当局のメンバーのその場しのぎの対応を見ると、大学というべきではない。

 そもそも私が学生のころだって、日本大学ではでたらめな運営が行われていた。だから「ポンダイ」と呼ばれていたのだ。そしてその結果として、当たり前の日大闘争が巻き起こった。しかしその闘争を、日大当局は運動部学生の力を使って暴力的に抑圧した。

 2018年、日大アメフト部で悪質タックル問題が生じたときの対応も、でたらめだった。さすがに日大だと思った。それ以後、田中理事長の問題が報じられたとき、ひょっとして日大は変わるのかなと思ったが、アメフト部の当局の対応をみていると、さすがに日本大学だと思った。理事長が林真理子に代わっても、まったくかわらない。

 今回の事態でも、薬物が見つかったとき沢田副学長が握りつぶしてくれるという証言も出て、その場には監督もいたのに、監督は記者会見などにいっさい出てこない。学長や副学長が辞任に至ったのに、監督にはいまだに責任追及がなされていない。

 アメフト部を廃部にすると公表したのに、理事会では先送りになるとか・・・まあでたらめだ。このでたらめな対応は、林真理子理事長の下でおこなわれている。林真理子は腐臭を放つ日大当局を統制することができるだけの力をもっているのか、という感想をもつ。

 「ポンダイ」といわれてきた日本大学の腐臭が消えることはないように思える。

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