6月9日、mass×mass関内フューチャーセンターにて第127回YMS(ヨコハマ・マネージャーズ・セミナー)を開催しました。
講師は以前よりYMSにご参加いただいている、株式会社あしたばの安藤宏和さん。普段受講している側が講師となる、講師から引き続き受講するようになるという、「誰もが先生、誰もが生徒」というのはYMSの大きな特徴の一つでもあります。
テーマは、「確定拠出年金セミナー~会社でも個人でも始められるお得な制度を使った『コツコツ投資』」。YMSとしては2017年6月の第84回「家族信託等を活用した自社株対策ほか」以来、久しぶりにお金の話、具体的には確定拠出年金(企業型DC/401k)を活用した長期分散投資についての基本を学びました。
2年ほど前、いわゆる「2,000万円問題」が世間を騒がせました。真偽のほどはともかく、確定拠出年金(企業型DC/401k)とは、「公的年金を補完するため、将来の資産作りを税制面から支援する国の制度」のことで、「確定拠出」とは拠出金額が確定しているということ(実際にもらえる給付金額は確定していない)。記憶では2000年頃、盛んに「日本型401k」ということが言われていましたね。
確定拠出年金の仕組みは、加入者(企業/個人)が毎月掛金を積み立てていき、60歳以降(今後延長の見込み)に運用成果に応じた給付金を受け取るというものです。先ほど述べたように、公的年金を代替するものではなく、補完するものという位置づけになります。
運用する商品、例えば元本変動型商品にするか、元本確保型商品にするかは、加入者が選択します(もちろん、組み合わせも可)。また、これらの組み合わせに資産をどのように配分していくか、いわゆる資産配分(アセット・アロケーション)も自由に決められます。金融商品はリスクが異なりますし、リスク態度や給付までの年数も人によって様々です。したがって、目標時期や年齢に応じて資産配分を変えていくのが基本。どのように配分するかの決定は非常に重要なポイントとなるようです。
確定拠出年金は、「企業型」と「個人型(iDeCo)」とがあります。拠出元が企業か個人かの他、拠出限度額が幾つかの条件によって異なります。先ほど、確定拠出年金の定義のところで、「将来の資産作りを税制面から支援する」とありましたが、拠出額が基本給から控除されるとか、運用益は非課税であるとか、受給時は退職所得扱い、あるいは公的年金等控除になるといった税制面の優遇措置があります。
YMSの参加者がほぼ企業人であることから、企業型確定拠出年金に話を絞りますと、企業型確定拠出年金には幾つかの種類がありますが、ここでは全員加入制、選択制(給与原資型)、併用制の三つについて解説がありました。「選択制」というのは、先ほどの拠出限度額から加入者が実際に拠出する額を選択できるということです。前述のように、拠出額が基本給から控除されるため、所得税や社会保険料を節約できるといったメリットがあります。一方、デメリットとしては、途中で止められないこと、途中で死亡した場合はその時点での評価額が受給額になること、各種手当や給付の算出基準となる基本給が下がるため、これらの受給額が減額になる可能性があるといったことが挙げられます。因みに、企業型確定拠出年金は役員も加入できます。
終わりに、確定拠出年金に限らず、「投資・運用」の基本について。基本は「長期分散」であること。素人的な投資イメージにあるデイトレードやビットコインなど「短期集中」ものは、厳密には「投機」に当たるそうです。分散投資のポイントは、まず時間(タイミング)の分散。つまり、金融商品の価格が下がった時に慌てて止めないということです。何故なら、投資の成績とは、価格×量(口数)で決まるからです。その次が、先ほど述べた資産の分散になります。
前者の「時間の分散」ということで言えば、以前安藤さんのオフィスにお邪魔した際、待ち時間に手に取った小冊子に「ドルコスト平均法」という投資手法が紹介されていました。これは、金融商品を購入する場合、一度に購入せず、資金を分割して均等額ずつ定期的に継続して投資する手法のことです。
例えば、単純にある株が5ヶ月で上図のように推移したとします。株価1,000円の時に40,000円一括投資したとすると、株数は40株。これを5ヶ月目に売却しますが、残念ながらその時の株価は900円でした。すると、売却額36,000円-購入額40,000円=売却益△4,000円となります。一方、40,000円の原資で毎月10,000円ずつ定額購入したとします。すると5ヶ月目には、売却額45,857円-購入額40,000円=売却益5,857円となります。これが前述の「投資の成績=価格×量(口数)」ということです。もちろん、定額購入した場合でも損をすることはあります。
因みに、上記はS&Pダウ・ジョーンズ・インデックスが公表している、アメリカの代表的な株価指数S&P500(スタンダード・アンド・プアーズ500種指数)過去150年の推移です(引用元は上表をクリックしてください)。
「早く始めて、長く続ける」、最後は安藤さんからのアドバイスで締めくくりたいと思います。
過去のセミナーレポートはこちら。
繻るに衣袽あり、ぼろ屋の窪田でした