都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
新日本フィル 第383回定期演奏会 「レオノーレ」 3/19
新日本フィルハーモニー交響楽団 第383回定期演奏会/トリフォニーシリーズ第2夜
ベートーヴェン「レオノーレ」(1806年版/コンサートオペラ形式)
指揮 クリスティアン・アルミンク
演出 三浦安浩
キャスト
ドン・フェルナンド 塩入功司
ドン・ピツァロ ハルトムート・ヴェルカー
フロレスタン ヴォルフガング・シュヴァニンガー
レオノーレ マヌュエラ・ウール
ロッコ ヨルグ・シモン
マルツェリーネ 三宅理恵
ヤキーノ 吉田浩之
合唱 東京オペラシンガーズ
管弦楽 新日本フィルハーモニー交響楽団
2005/3/19 15:00 すみだトリフォニーホール 3階
こんにちは。
感想が遅くなりましたが、先週の土曜日に錦糸町で「レオノーレ」を聴いてきました。
私は「フィデリオ」を生で聴いたことがない上に、「レオノーレ」はCDすら接したことがありません。ですから、その違いが明確に分かるわけではありませんが、「フィデリオ」でカットされたといういくつかの曲は、時にはモーツァルトを思わるような風情があり、とても興味深く聴くことができます。また、第二幕のフィナーレは、「フィデリオ」よりもある意味で劇的である上、話の筋も工夫されているので、こちらの形態の方が楽しめるような気もしました。今回の上演は、残念ながら台詞をほぼカットしていたので、所々でストーリーを追うのに困ったのも事実ですが、それを鑑みても、「日本初演」という快挙に相応しい、音楽的に充実したなかなかの好演であったように思います。
歌手は、甘い歌声が魅力的なフロレスタンのシュヴァニンガーと、スピントが心地よいレオノーレのウール、それに凄みのある貫禄の歌唱を聴かせてくれたピツァロのヴェルカーが特に素晴らしかったと思います。フロレスタンは、第二幕からしか出番がなくて、その歌声を十分に味わえないのが勿体ないぐらい…。牢につながれながら悲痛な叫びを歌う第二幕冒頭のアリアから一気に惹き込まれました。また、レオノーレ再会後のウールとの二重唱もとても艶やかで、官能的とも感じさせるような再会の喜びを味わうことができました。ヴェルガーも、「復讐のアリア」での声量豊かな凄みのある歌声には圧倒されましたし、さすがの演技力も素晴らしく、抜群の存在感を発揮していたと思います。
アルミンクは、序曲の「レオノーレ第三番」こそやや冴えない気もしましたが、後半へ向かってくるにつれて、曲の輪郭を明快に示しながらも歌手のペースに合わせた丁寧な指揮で、好調な新日本フィルをリードしていたと思います。鋭角的とも言える彼の曲作りは、ベートーヴェンとの相性も良さそうです。私はまだ、二、三回しかアルミンクを聴いていませんが、曲の構造を丁寧に示しながらも、オーケストラをぐいぐいとドライブしていく力にはいつも感服させられます。新日本フィルは本当に素晴らしい指揮者をシェフに迎えたものです。
東京オペラシンガーズは、当然ながらいつも通りの貫禄の合唱でした。彼らの厚みのある歌声がホールいっぱいに響き渡ると、舞台が引き締まるかのように冴えてきます。迫力あるこのオペラの音楽を引き出したオペラシンガーズの合唱は、この公演の影の主人公でもありましょう。素晴らしかったです。
「レオノーレ」が今後も日本で舞台にかかるかは分かりませんが、「フィデリオ」は新国立劇場で五月に上演されます。今まであまり注目してこなかった曲なので、出来ればそちらの公演も接してみたいです。
ベートーヴェン「レオノーレ」(1806年版/コンサートオペラ形式)
指揮 クリスティアン・アルミンク
演出 三浦安浩
キャスト
ドン・フェルナンド 塩入功司
ドン・ピツァロ ハルトムート・ヴェルカー
フロレスタン ヴォルフガング・シュヴァニンガー
レオノーレ マヌュエラ・ウール
ロッコ ヨルグ・シモン
マルツェリーネ 三宅理恵
ヤキーノ 吉田浩之
合唱 東京オペラシンガーズ
管弦楽 新日本フィルハーモニー交響楽団
2005/3/19 15:00 すみだトリフォニーホール 3階
こんにちは。
感想が遅くなりましたが、先週の土曜日に錦糸町で「レオノーレ」を聴いてきました。
私は「フィデリオ」を生で聴いたことがない上に、「レオノーレ」はCDすら接したことがありません。ですから、その違いが明確に分かるわけではありませんが、「フィデリオ」でカットされたといういくつかの曲は、時にはモーツァルトを思わるような風情があり、とても興味深く聴くことができます。また、第二幕のフィナーレは、「フィデリオ」よりもある意味で劇的である上、話の筋も工夫されているので、こちらの形態の方が楽しめるような気もしました。今回の上演は、残念ながら台詞をほぼカットしていたので、所々でストーリーを追うのに困ったのも事実ですが、それを鑑みても、「日本初演」という快挙に相応しい、音楽的に充実したなかなかの好演であったように思います。
歌手は、甘い歌声が魅力的なフロレスタンのシュヴァニンガーと、スピントが心地よいレオノーレのウール、それに凄みのある貫禄の歌唱を聴かせてくれたピツァロのヴェルカーが特に素晴らしかったと思います。フロレスタンは、第二幕からしか出番がなくて、その歌声を十分に味わえないのが勿体ないぐらい…。牢につながれながら悲痛な叫びを歌う第二幕冒頭のアリアから一気に惹き込まれました。また、レオノーレ再会後のウールとの二重唱もとても艶やかで、官能的とも感じさせるような再会の喜びを味わうことができました。ヴェルガーも、「復讐のアリア」での声量豊かな凄みのある歌声には圧倒されましたし、さすがの演技力も素晴らしく、抜群の存在感を発揮していたと思います。
アルミンクは、序曲の「レオノーレ第三番」こそやや冴えない気もしましたが、後半へ向かってくるにつれて、曲の輪郭を明快に示しながらも歌手のペースに合わせた丁寧な指揮で、好調な新日本フィルをリードしていたと思います。鋭角的とも言える彼の曲作りは、ベートーヴェンとの相性も良さそうです。私はまだ、二、三回しかアルミンクを聴いていませんが、曲の構造を丁寧に示しながらも、オーケストラをぐいぐいとドライブしていく力にはいつも感服させられます。新日本フィルは本当に素晴らしい指揮者をシェフに迎えたものです。
東京オペラシンガーズは、当然ながらいつも通りの貫禄の合唱でした。彼らの厚みのある歌声がホールいっぱいに響き渡ると、舞台が引き締まるかのように冴えてきます。迫力あるこのオペラの音楽を引き出したオペラシンガーズの合唱は、この公演の影の主人公でもありましょう。素晴らしかったです。
「レオノーレ」が今後も日本で舞台にかかるかは分かりませんが、「フィデリオ」は新国立劇場で五月に上演されます。今まであまり注目してこなかった曲なので、出来ればそちらの公演も接してみたいです。
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