都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「ウィーン美術アカデミー名品展」 鑑賞会メモ
損保ジャパン東郷青児美術館で開催中の展覧会です。先日、恵泉女学園大学の池上英洋先生ご引率のゼミに参加させていただき、改めて再度鑑賞して来ました。その時の模様を、メモ程度にまとめておきたいと思います。(一部、学生発表を含む。番号は作品番号。)
ウィーン美術アカデミーについて
ウィーンの通称リンクの一角にある美術学校。(1726年設立)ウィーン最古の公立美術学校でもある。ヒトラーが受験に失敗したエピソードは有名。ハプスブルク家の収集したヨーロッパ絵画を陳列。生徒は作品を模写して学ぶ。絵画史を追うのには最適なコレクション。
1.ヨース・ファン・クレーフェ「聖家族」(1515頃)
ヨセフはおそらく絵の寄進者を描いたもの。到底大工には見えない。
2.ルーカス・クラナハ「不釣り合いなカップル」(1531)
年齢差の著しい老人と女性。老人は女性に目がくらみ、女性は老人のがま口に手を入れている。男性の性的欲望と、女性の浅ましさを教訓的(こうなってはならないとする。)に表現した作品。
3.ルーカス・クラナハ「ルクレティア」(1532)
ローマ神話の有名なエピソード。ルクレティアは貞操を犯され短剣で自殺した。聖人として尊敬されている。
4.ルーカス・クラナハ「ヘラクレスとアンタイオスの闘い」(1530)
ガイアの子どもアンタイオスとヘラクレスの闘い。アンタイオスを地面から離すこと(ヘラクレスが持ち上げている。)で、その力を失わせようとしている。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/39/ad/df8a0e1ac3ebcc8fcbdd41715fba3f55.jpg)
5.ルーカス・クラナハ(工房)「聖ドロテア」(1530)
植木職人や花屋の守護聖人として知られる。妖艶な姿。健康的な女性が描かれている。
6.ボニファツィオ・デ・ピターティ「野外で楽しむ人々と水浴する女たち」(1540頃)
食卓に注目。当時の食事の様子が良く分かる。ワイン、チーズ等、ミネラルを中心とした栄養摂取。フォークがまだ使われていない。スプーンのみ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7f/59/1c96e3b686041705d54bd0e8dcea1937.jpg)
9.ペーテル・パウル・ルーベンス「三美神」(1620-24)
「与えること・受け取ること・返すこと」をそれぞれに表現した三名の美神。豊潤な裸体が描かれ、その優しさや祝宴の喜びを表現している。象徴であるビーナスへの花束をカゴに入れている。三美神を描いた作品としては珍しい構図。ラファエロらの伝統的な構図感からは逸脱している。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6c/17/cb97fe350a4577b505e0a4f373f02261.jpg)
10.ペーテル・パウル・ルーベンス「軍旗をめぐる戦い」(1601-08)
レオナルドの失われた原画をモチーフにした作品。シエナとミラノの戦いが描かれている。単なる模写ではなく、ルーベンス風の描写も取り入れ、新機軸を打ち出した。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/06/5a/3a16f77559520acb69e0c8699f32f611.jpg)
13.ピーテル・ブール「地球儀とオウムのいる静物」(1658頃)
貴族の収集したコレクションを描いた作品。オリエンタルな中国磁器や世界のネットワークを示す地球儀、さらにはヴァニタス(儚さ)を示すオウム(夫婦愛や繁殖の意もあり。)などが描かれている。現世の繁栄は死後の世界へ持ち得ないという暗示。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/78/03/21e302af1ef13e0cc1fdf974614749e2.jpg)
19.ヒリス・ファン・ティルボルフ「農民の食事」
オランダで発展した風俗画の一つ。農民社会を嫌みなく真摯に描いている。生き生きとした姿。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/30/42/318efc9549b228c7d4e5035627f87732.jpg)
25.ヘンドリク・ブルーマールト「サムソンとデリラ」(1635)
サムソンの秘密を聞き出したデリラが、彼の巻き毛を切らしている。サムソンの神性の喪失。旧約のあまりにも有名なエピソード。
27.ヤン・リス「放蕩息子」(1625-29)
放蕩息子(兄)を温かく迎える父親と、それに反感を抱く弟が描かれている。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/60/f3/def13e7cbbf658a70d72a82ea6b13568.jpg)
55.フランチェスコ・グアルディ「サン・マルコ広場と時計塔」(1770頃)
建造物などを鳥瞰的に描いている。聖マルコを象徴するライオンの列柱など。
56.フランチェスコ・グアルディ「サン・マルコ図書館のある小広場」(1770頃)
55の作品と合わせて一つのパノラマが完成。(景観画)同じモチーフを用いたものとしてはカナレットの作品が有名。当時、富を蓄積していたイギリス人が多く購入していた。(これらの絵の所有することがステータスに。)一種の観光写真でもある。
以上です。(実際にはもっと他にもたくさん、また詳しいご解説がありましたが、とりあえず私がメモ出来たのはこれだけです。)展覧会は今月12日までの開催です。最後になりましたが、恵泉女学園大学の学生さんと池上先生には大変お世話になりました。どうもありがとうございまいした。(10/28鑑賞)
*関連エントリ
「ウィーン美術アカデミー名品展」 損保ジャパン東郷青児美術館(私の拙い感想です。)
ウィーン美術アカデミーについて
ウィーンの通称リンクの一角にある美術学校。(1726年設立)ウィーン最古の公立美術学校でもある。ヒトラーが受験に失敗したエピソードは有名。ハプスブルク家の収集したヨーロッパ絵画を陳列。生徒は作品を模写して学ぶ。絵画史を追うのには最適なコレクション。
1.ヨース・ファン・クレーフェ「聖家族」(1515頃)
ヨセフはおそらく絵の寄進者を描いたもの。到底大工には見えない。
2.ルーカス・クラナハ「不釣り合いなカップル」(1531)
年齢差の著しい老人と女性。老人は女性に目がくらみ、女性は老人のがま口に手を入れている。男性の性的欲望と、女性の浅ましさを教訓的(こうなってはならないとする。)に表現した作品。
3.ルーカス・クラナハ「ルクレティア」(1532)
ローマ神話の有名なエピソード。ルクレティアは貞操を犯され短剣で自殺した。聖人として尊敬されている。
4.ルーカス・クラナハ「ヘラクレスとアンタイオスの闘い」(1530)
ガイアの子どもアンタイオスとヘラクレスの闘い。アンタイオスを地面から離すこと(ヘラクレスが持ち上げている。)で、その力を失わせようとしている。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/39/ad/df8a0e1ac3ebcc8fcbdd41715fba3f55.jpg)
5.ルーカス・クラナハ(工房)「聖ドロテア」(1530)
植木職人や花屋の守護聖人として知られる。妖艶な姿。健康的な女性が描かれている。
6.ボニファツィオ・デ・ピターティ「野外で楽しむ人々と水浴する女たち」(1540頃)
食卓に注目。当時の食事の様子が良く分かる。ワイン、チーズ等、ミネラルを中心とした栄養摂取。フォークがまだ使われていない。スプーンのみ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7f/59/1c96e3b686041705d54bd0e8dcea1937.jpg)
9.ペーテル・パウル・ルーベンス「三美神」(1620-24)
「与えること・受け取ること・返すこと」をそれぞれに表現した三名の美神。豊潤な裸体が描かれ、その優しさや祝宴の喜びを表現している。象徴であるビーナスへの花束をカゴに入れている。三美神を描いた作品としては珍しい構図。ラファエロらの伝統的な構図感からは逸脱している。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6c/17/cb97fe350a4577b505e0a4f373f02261.jpg)
10.ペーテル・パウル・ルーベンス「軍旗をめぐる戦い」(1601-08)
レオナルドの失われた原画をモチーフにした作品。シエナとミラノの戦いが描かれている。単なる模写ではなく、ルーベンス風の描写も取り入れ、新機軸を打ち出した。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/06/5a/3a16f77559520acb69e0c8699f32f611.jpg)
13.ピーテル・ブール「地球儀とオウムのいる静物」(1658頃)
貴族の収集したコレクションを描いた作品。オリエンタルな中国磁器や世界のネットワークを示す地球儀、さらにはヴァニタス(儚さ)を示すオウム(夫婦愛や繁殖の意もあり。)などが描かれている。現世の繁栄は死後の世界へ持ち得ないという暗示。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/78/03/21e302af1ef13e0cc1fdf974614749e2.jpg)
19.ヒリス・ファン・ティルボルフ「農民の食事」
オランダで発展した風俗画の一つ。農民社会を嫌みなく真摯に描いている。生き生きとした姿。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/30/42/318efc9549b228c7d4e5035627f87732.jpg)
25.ヘンドリク・ブルーマールト「サムソンとデリラ」(1635)
サムソンの秘密を聞き出したデリラが、彼の巻き毛を切らしている。サムソンの神性の喪失。旧約のあまりにも有名なエピソード。
27.ヤン・リス「放蕩息子」(1625-29)
放蕩息子(兄)を温かく迎える父親と、それに反感を抱く弟が描かれている。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/60/f3/def13e7cbbf658a70d72a82ea6b13568.jpg)
55.フランチェスコ・グアルディ「サン・マルコ広場と時計塔」(1770頃)
建造物などを鳥瞰的に描いている。聖マルコを象徴するライオンの列柱など。
56.フランチェスコ・グアルディ「サン・マルコ図書館のある小広場」(1770頃)
55の作品と合わせて一つのパノラマが完成。(景観画)同じモチーフを用いたものとしてはカナレットの作品が有名。当時、富を蓄積していたイギリス人が多く購入していた。(これらの絵の所有することがステータスに。)一種の観光写真でもある。
以上です。(実際にはもっと他にもたくさん、また詳しいご解説がありましたが、とりあえず私がメモ出来たのはこれだけです。)展覧会は今月12日までの開催です。最後になりましたが、恵泉女学園大学の学生さんと池上先生には大変お世話になりました。どうもありがとうございまいした。(10/28鑑賞)
*関連エントリ
「ウィーン美術アカデミー名品展」 損保ジャパン東郷青児美術館(私の拙い感想です。)
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