都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「クリーブランド美術館展」 森アーツセンターギャラリー
森アーツセンターギャラリー(港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー52階)
「クリーブランド美術館展 - 女性美の肖像 モネ、ルノワール、モディリアーニ、ピカソ」
9/9-11/26(会期終了)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2a/78/590635e241cc7849b3d914b5a3b4a27d.jpg)
森アーツセンターギャラリーにて、先日まで開催されていた「グリーブランド美術館」展です。この手の名画展に相応しいような印象派の名品はもちろんのこと、最後の「北ヨーロッパの光」(セクション5)で紹介されていた作品にも見応えがありました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/10/f6/95ae66e6824e5d856200dbcac00d30e1.jpg)
印象派ではモネが目立ちます。特に、透き通るような水色の空とサーモンピンクの屋根が眩しい「アンティーブの庭師の家」(1888)と、くすんだ灰色の窓から赤いスカーフが浮かび出す「赤いスカーフ、モネ夫人の肖像」(1868-78)の二点が心に残りました。画中の色遣いなどは対照的ですが、ともにモネならではとも言える柔らかで、またマチエールに温もりのあるタッチが絶品です。「庭師の家」では、その燦々と降り注ぐ陽の光に大自然の恵みすら感じさせます。前景の木の淡い緑と、家の控えめなピンク、それに空と山の抜け行くような青が美しいコントラストを描いていました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/57/bd/49e91d48d33d4bf3e256e5f47077a7f8.jpg)
後期印象派は僅か4点ほど紹介されているのみですが、その中でもやはりゴッホの存在感は抜きんでいています。「サン=レミのポプラ」(1889)は、今にもガタガタと音を立てて崩れそうな危うい構図感に、ゴッホの独特な心象風景を思わせる作品です。まるで木枠を描くように分厚く塗り込まれた白い丘には、ポプラがまるで浮いているかのように描かれていました。(特に右のポプラはもはや地面から離れてしまっているように見えます。)また空を覆う深い青もゴッホの手にかかると何やら不穏な雰囲気です。晴れ渡っているはずの空が、それこそ暗雲漂う嵐のように思えるのがとても不思議でした。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/01/12/d7563d4c510e2b48ac18e07c1a4f93ff.jpg)
殆ど唐突に登場するロダンの彫刻を抜け、ブラック風のピカソ(「扇子、塩入れ、メロン」)などを横目に見やると、この展覧会で最も特徴的な北ヨーロッパ絵画を紹介するコーナーに到着します。ここではバルラハやニコルソン、それにヘンリー・ムーアらが一緒に展示されていましたが、私はモンドリアンの三作が一番印象に残りました。まだ抽象に進むの前の段階の「前景に若い木のある野原」(1907)と、後の「赤と黄色、青のコンポジション」(1927)を同列で拝見するのはなかなか興味深いことです。それまでの流れからするとやや違和感のある展示ではありますが、このセクションだけを拡大した展覧会があればまた面白いのではないかと思いました。そろそろ表現主義あたりをターゲットとした大規模な展覧会が見たいものです。
一つの展覧会として考えるとかなりコストパフォーマンスが悪いようにも感じましたが、サブタイトルにある「女性美の肖像」のイメージとは似ても似つかないような面白い作品に出会うことも出来ました。また、グリーブランド美術館には充実した日本美術コレクションがあるそうです。そちらもまたいつか拝見出来ればと思います。(11/19鑑賞)
「クリーブランド美術館展 - 女性美の肖像 モネ、ルノワール、モディリアーニ、ピカソ」
9/9-11/26(会期終了)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2a/78/590635e241cc7849b3d914b5a3b4a27d.jpg)
森アーツセンターギャラリーにて、先日まで開催されていた「グリーブランド美術館」展です。この手の名画展に相応しいような印象派の名品はもちろんのこと、最後の「北ヨーロッパの光」(セクション5)で紹介されていた作品にも見応えがありました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/36/58/0bf1f1f2eafff8e95737c86526b0424d.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/10/f6/95ae66e6824e5d856200dbcac00d30e1.jpg)
印象派ではモネが目立ちます。特に、透き通るような水色の空とサーモンピンクの屋根が眩しい「アンティーブの庭師の家」(1888)と、くすんだ灰色の窓から赤いスカーフが浮かび出す「赤いスカーフ、モネ夫人の肖像」(1868-78)の二点が心に残りました。画中の色遣いなどは対照的ですが、ともにモネならではとも言える柔らかで、またマチエールに温もりのあるタッチが絶品です。「庭師の家」では、その燦々と降り注ぐ陽の光に大自然の恵みすら感じさせます。前景の木の淡い緑と、家の控えめなピンク、それに空と山の抜け行くような青が美しいコントラストを描いていました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/57/bd/49e91d48d33d4bf3e256e5f47077a7f8.jpg)
後期印象派は僅か4点ほど紹介されているのみですが、その中でもやはりゴッホの存在感は抜きんでいています。「サン=レミのポプラ」(1889)は、今にもガタガタと音を立てて崩れそうな危うい構図感に、ゴッホの独特な心象風景を思わせる作品です。まるで木枠を描くように分厚く塗り込まれた白い丘には、ポプラがまるで浮いているかのように描かれていました。(特に右のポプラはもはや地面から離れてしまっているように見えます。)また空を覆う深い青もゴッホの手にかかると何やら不穏な雰囲気です。晴れ渡っているはずの空が、それこそ暗雲漂う嵐のように思えるのがとても不思議でした。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/01/12/d7563d4c510e2b48ac18e07c1a4f93ff.jpg)
殆ど唐突に登場するロダンの彫刻を抜け、ブラック風のピカソ(「扇子、塩入れ、メロン」)などを横目に見やると、この展覧会で最も特徴的な北ヨーロッパ絵画を紹介するコーナーに到着します。ここではバルラハやニコルソン、それにヘンリー・ムーアらが一緒に展示されていましたが、私はモンドリアンの三作が一番印象に残りました。まだ抽象に進むの前の段階の「前景に若い木のある野原」(1907)と、後の「赤と黄色、青のコンポジション」(1927)を同列で拝見するのはなかなか興味深いことです。それまでの流れからするとやや違和感のある展示ではありますが、このセクションだけを拡大した展覧会があればまた面白いのではないかと思いました。そろそろ表現主義あたりをターゲットとした大規模な展覧会が見たいものです。
一つの展覧会として考えるとかなりコストパフォーマンスが悪いようにも感じましたが、サブタイトルにある「女性美の肖像」のイメージとは似ても似つかないような面白い作品に出会うことも出来ました。また、グリーブランド美術館には充実した日本美術コレクションがあるそうです。そちらもまたいつか拝見出来ればと思います。(11/19鑑賞)
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