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「美術館ボランティアが選ぶ千葉市美術館コレクション展」 千葉市美術館

千葉市美術館千葉市中央区中央3-10-8
「美術館ボランティアが選ぶ千葉市美術館コレクション展」
10/17-12/3



略称「美ボ展」です。千葉市美術館の誇る約7000点の所蔵作品の中から、ボランティアスタッフの選んだ57点が展示されています。応挙、歌麿らの江戸絵画から、堂本尚郎や李禹煥などの現代アートまでを楽しむことが出来ました。



展示は現代美術から始まります。ここでは私が以前、初めて拝見してとても惹かれた勅使河原蒼風の「萬木千草」や、お馴染みの李禹煥の「With Winds」が一際目立っていました。特に李の「風と共に」は印象的です。巨大な4面のキャンバスに、線と点が自由な感覚で配されています。その様子は、まるで白い砂利の上に石の並ぶ日本庭園のようです。白地に伸び、またどっしりと置かれたストロークは、砂利を僅かに巻き込み、静寂の中に佇んでいます。そして刷毛の跡が生々しいクリーム色のざわめき。まるでその庭に降りた鳥のさえずりのようにも聞こえてきました。「風と共に」シリーズらしい、静と動の間が興味深い作品です。



そびえ立つ富士の凛々しい北斎の「富嶽三十六景 凱風快晴」や、広重、巴水などのコーナーを過ぎると、お目当て(?)の酒井抱一の「老子図」が登場です。まるで足を泳がせているような牛の背中に跨がる、軽やかな老子の姿。流麗な線と、牛の顔などにみる微笑ましい描写は、抱一ならでは気品すら感じさせました。また江戸絵画では、春章や歌麿の浮世絵も多く並んでいます。千葉市美術館の浮世絵コレクションも相当なレベルです。



白霞に覆われた野山を幻想的に描いた円山応挙の「秋月雪峽図」も見事でした。この美術館の応挙と言えば、以前の「海に生きる」の展覧会にて出品されていた「富士三保松原図」がすぐに思いつきますが、この作品の方がはるかに重厚な味わいです。金箔の交じる雪景色が、広がる山々や湖にある種の神々しさを演出していました。その巧みな空間構成には思わず引き込まれます。

最後に、会場出口付近に掲載されていた、ボランティアと来場者によるトップ10を挙げておきます。やはり特定の作品に人気が集中しているようです。



トップ10 来場者

喜多川歌麿 「納涼美人図」
鏑木清方  「薫風」
円山応挙  「秋月雪峽図」
葛飾北斎  「富嶽三十六景 凱風快晴」
歌川広重  「東海道五拾三次之内 庄野」
関主税   「刻」
酒井抱一  「老子図」
浜口陽三  「19と1つのさくらんぼ」
磯辺行久  「WORK65-60」
棟方志功  「二菩薩釈迦十六弟子」

ボランティア

喜多川歌麿 「納涼美人図」
棟方志功  「二菩薩釈迦十六弟子」
円山応挙  「秋月雪峽図」
鏑木清方  「薫風」
浜口陽三  「19と1つのさくらんぼ」
北代省三  「蝕る日の軌跡」
窪俊満   「砧打ち図」
歌川広重  「東海道五拾三次之内 庄野」
葛飾北斎  「富嶽三十六景 凱風快晴」
酒井抱一  「老子図」

現在も、「みんなで選ぼうわたしの1点」と題する人気投票が行われています。同美術館の良質なコレクションを一覧出来る良い機会でした。12月3日までの開催です。(11/5鑑賞)

*関連エントリ
「浦上玉堂展」 千葉市美術館
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