都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「平成17-18年度 文化庁買上優秀作品披露展」 日本芸術院会館
日本芸術院会館(台東区上野公園1-30)
「平成17-18年度 文化庁買上優秀作品披露展」
3/13-25
上野の日本芸術院の中へ入ったのは初めてです。最近、文化庁が購入した作品が紹介されています。入口の看板に出ていた三瀬夏之介の名にも引かれて見てきました。

全13名の作家による一点ずつの展示です。日本画、洋画、版画、立体の4ジャンルの作品が、比較的ゆとりのある空間にて紹介されています。重厚な佇まいの芸術院会館で見る現代美術もまた一興です。

三瀬夏之介の「日本の絵」(2005)はさすがに目立っていました。お馴染みの巨大な山々より裾野へと広がる奇怪な光景が、日本画の技法を用いてパノラマ的に描かれています。展示の環境によるのか、他で見るよりも幾分「白」が浮き上がり、線描もハッキリと見えるような印象を受けました。またいつもは混沌とした、何やらそのSF的カオスに呑まれてしまうのですが、今回はその精緻な描写がとても印象に残ります。遠くから眺めるよりも出来る限り近づき、まさに絵の中に入るようにしてモチーフを追っていきました。立ち並ぶビルよりエメラルドグリーンに煌めく星を望んで、山頂より吹き出す水蒸気(?)を眺めてみます。どこか祝祭的な華やかさも感じる作品です。

展示作品の中で一番強く印象に残ったのは、池田俊彦の「老腐人 - R」(2006)でした。まるで枯れ木のような腕とその根のような手先、それに闇に包まれ不気味な歯も覗かせた頭部が、一人の老人を象っています。手の表面に見る鱗を纏ったかのような不気味な表現と、爛れた白い衣服、そして巨大な蜘蛛が張り付いているような頭の装飾品もおどろおどろしい雰囲気でした。またぽっかりと開いた目よりこちらを見つめたその眼差しは、あたかも見る者を挑発するかのようです。ちなみにこの作品は、細やかな線描も目立つ版画の技法によってつくられています。そのインパクトは強烈です。

その他では、風間サチコの「風雲13号地」(2005)も印象に残りました。レインボーブリッジを望む海の上(まさに東京湾13号埋め立て地です。)を、ビックサイトやフジテレビなどを載せた軍艦が勇ましく進んでいます。細部にもう少しひねりがあっても良いとも感じましたが、その質感にも長けていました。横4メートルを越えるその大きさも圧倒的です。
VOCA展と合わせて楽しむのにも最適だと思います。(日本芸術院会館は、上野の森美術館のすぐ隣です。)また、やや味気ない装丁ではありますが、約30ページ弱にも及ぶ目録も配布されていました。入場は無料です。次の日曜日まで開催されています。(3/17鑑賞)
「平成17-18年度 文化庁買上優秀作品披露展」
3/13-25
上野の日本芸術院の中へ入ったのは初めてです。最近、文化庁が購入した作品が紹介されています。入口の看板に出ていた三瀬夏之介の名にも引かれて見てきました。

全13名の作家による一点ずつの展示です。日本画、洋画、版画、立体の4ジャンルの作品が、比較的ゆとりのある空間にて紹介されています。重厚な佇まいの芸術院会館で見る現代美術もまた一興です。

三瀬夏之介の「日本の絵」(2005)はさすがに目立っていました。お馴染みの巨大な山々より裾野へと広がる奇怪な光景が、日本画の技法を用いてパノラマ的に描かれています。展示の環境によるのか、他で見るよりも幾分「白」が浮き上がり、線描もハッキリと見えるような印象を受けました。またいつもは混沌とした、何やらそのSF的カオスに呑まれてしまうのですが、今回はその精緻な描写がとても印象に残ります。遠くから眺めるよりも出来る限り近づき、まさに絵の中に入るようにしてモチーフを追っていきました。立ち並ぶビルよりエメラルドグリーンに煌めく星を望んで、山頂より吹き出す水蒸気(?)を眺めてみます。どこか祝祭的な華やかさも感じる作品です。

展示作品の中で一番強く印象に残ったのは、池田俊彦の「老腐人 - R」(2006)でした。まるで枯れ木のような腕とその根のような手先、それに闇に包まれ不気味な歯も覗かせた頭部が、一人の老人を象っています。手の表面に見る鱗を纏ったかのような不気味な表現と、爛れた白い衣服、そして巨大な蜘蛛が張り付いているような頭の装飾品もおどろおどろしい雰囲気でした。またぽっかりと開いた目よりこちらを見つめたその眼差しは、あたかも見る者を挑発するかのようです。ちなみにこの作品は、細やかな線描も目立つ版画の技法によってつくられています。そのインパクトは強烈です。

その他では、風間サチコの「風雲13号地」(2005)も印象に残りました。レインボーブリッジを望む海の上(まさに東京湾13号埋め立て地です。)を、ビックサイトやフジテレビなどを載せた軍艦が勇ましく進んでいます。細部にもう少しひねりがあっても良いとも感じましたが、その質感にも長けていました。横4メートルを越えるその大きさも圧倒的です。
VOCA展と合わせて楽しむのにも最適だと思います。(日本芸術院会館は、上野の森美術館のすぐ隣です。)また、やや味気ない装丁ではありますが、約30ページ弱にも及ぶ目録も配布されていました。入場は無料です。次の日曜日まで開催されています。(3/17鑑賞)
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