「池田光弘 - 漂う濃度 - 」 シュウゴアーツ

シュウゴアーツ江東区清澄1-3-2 5階)
「池田光弘 - 漂う濃度 - 」
6/27-7/25



大野、阪本、佐伯と、見逃せない展示の続いた清澄の画廊ですが、中でも特に充実していたのがこの池田の個展ではなかったでしょうか。シュウゴアーツで開催中の「池田光弘 - 漂う濃度 - 」へ行ってきました。

奥行きのある同ギャラリーの空間に入った瞬間、奥の壁面のペイントにすっと引き込まれたのは私だけではないかもしれません。まるで漆黒の闇に覆われた宇宙に浮かぶ梯子のようなモチーフが、観客の視線を画廊のスペースを超えたさらなる地平へと誘っています。また星屑のように散る色の粒は、この深淵の画面に小さな光の命をもたらしていました。まさに神秘の景色です。

上記DMにも掲載された大作の油彩にも、そのどことなく神秘でかつ不思議な空気感を得ることが出来ます。純白の壁に覆われた平屋建ての家は、不穏に開ける赤い空と、白く爛れた線を垂らす木立に覆われ、人気もなく、ただひっそりと静かに建っていました。住人の気配もまた生活の匂いも感じられないこの家の主は一体何者であるのでしょうか。背筋がゾクゾクするような恐怖感さえ覚えました。

なお前述の通り、今の清澄界隈は実力派の展示が目白押しです。まだの方は最終日の明日にでも駆けつけては如何でしょうか。(以下、明日まで開催される展示の関連リンク。小山登美夫ギャラリーは画廊サイト、他は拙ブログのエントリへと飛びます。)

「阪本トクロウ展」 キドプレス
「佐伯洋江展」 タカ・イシイギャラリー
「井上有一展」@小山登美夫ギャラリー(書と表装、そして現代美術をテーマとした2日限りの限定企画だそうです。)

明日までの開催です。遅くなりましたがおすすめします。
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「佐伯洋江展」 タカ・イシイギャラリー

タカ・イシイギャラリー江東区清澄1-3-2 5F)
「佐伯洋江展」
6/27-7/25



原のマイクロポップ、そして上野のネオテニーにも出品のあった佐伯洋江が、ここタカ・イシイにて3回目となる個展を開催しています。新作ドローイングによって構成された展示を見てきました。

白の余白も伸びやかに、細密なペンによってシュールな景色を生み出す佐伯のドローイングは、今回の新作群によっていささかその趣きを変化させたかもしれません。本展示で紹介される新作のどれもは、例えば余白であればそれ自体が画面の大半を占めるように広がり、またモチーフもかつて見られた花とも植物とも似つかない、何やら細胞分裂をして生き続ける奇怪な軟体動物のようなものへと半ば変種していました。前述の植物はもとより、時に和のイメージをも喚起させた佐伯の平面空間は、ここにもっと生々しく、また事物というよりも何らかの現象を捉えたかのような景色に生まれ変わってはいたのではないでしょうか。また所々、意味ありげに余白へと闖入する赤丸をはじめ、どこかコンセプチュアル的な要素を感じる部分もありました。具体性はほぼ消えかかってもいます。

佐伯の作品は、まとまって見ると俄然に魅力を増してきます。先にも触れた両展覧会にて印象に残った方は是非ともお見逃しないようご注意下さい。

25日までの開催です。
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