「三瀬夏之介展 ぼくの神さま」 イムラアートギャラリー東京

イムラアートギャラリー東京新宿区西五軒町3-7 ミナト第三ビル4階)
「五島記念文化賞美術新人賞研修帰国記念 三瀬夏之介展 ぼくの神さま」
10/29-12/11



イムラアートギャラリー東京のこけら落とし展、「三瀬夏之介 ぼくの神さま」へ行ってきました。

本展の概要、及び作家プロフィールについては同画廊WEBサイトをご覧ください。

三瀬夏之介展「ぼくの神さま」/作家略歴@イムラアートギャラリー

なお三瀬さんはご自身でWEBサイトツイッターアカウントもお持ちです。


「ぼくの神さま」(一部)2010年

さて同ギャラリーの新スペースを飾るのは、古今東西の神々の響宴する横10メートルにも及ぶ大作、「ぼくの神さま」です。三瀬自身がネット上の他、様々な媒体から収集したという神と呼ばれる多様なアイコンが、宇宙ともまたうねる大山脈とも、さらには彼岸の地ともとれる空間にあまねく存在するかのように描かれていました。


「ぼくの神さま」(一部)2010年

しかしながら、そうした神は決して何か敢然と光り輝くキリストの肖像画のように目立っているわけではありません。半ばカオスの中に殆ど埋没するかのようにうっすらと浮かび上がっています。これは三瀬の言う「大きな存在を信じたいけどどんなものはどこにもない。」の故なのでしょうか。それこそ亡霊のようにすぐ消えてゆくかのようでした。


「ぼくの神さま」(一部)2010年

しかし興味深いのは、その一部に東北、とりわけ山形の神が召喚されていることです。画面一番右の暗がりには、珍しい信仰の形式で知られるムサカリ絵馬のモチーフが描かれていました。三瀬は2009年に奈良から山形へと制作の拠点を移しましたが、そこから生じた変化の一つの表れと言えるのかもしれません。


「ぼくの神さま」(一部)2010年

ちょうど展示室の角にあたる金色の空間には驚かされました。そこには巨大な目がいくつも登場しています。冒頭の無を思わせる白から一転してのSF的な宇宙、そしてこの金の目と続く空間の連なりもまたダイナミックでした。その画中世界にのめり込んでいるといつしか神に見られていることに気がつきます。簡単に画の中に入り込むことは許されません。



なお本展にあわせて、本日から有楽町の第一生命ギャラリーでも個展がはじまりました。こちらも是非拝見したいものです。

「三瀬夏之介展」-だから僕はこの一瞬を永遠のものにしてみせる-@第一生命ギャラリー 11月1日(月)~11月30日(火)
 注)開館時間:12:00~18:00、休館日:土・日・祝日

羽鳥書店より待望の作品集が出ました。図版の美しさはもちろん、力の入ったテキストで読み物としても非常に充実しています。是非書店でご覧ください。

「冬の夏/三瀬夏之介/羽鳥書店」

12月11日まで開催されています。まずはおすすめします。

*関連エントリ(今年4月に行われた三瀬夏之介、鴻崎正武、赤坂憲雄各氏の対談)
「東北画は可能か?其の一」トークイベント アートスペース羅針盤
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