「東大寺大仏展 期間限定 正倉院宝物 特別公開」 東京国立博物館

東京国立博物館台東区上野公園13-9
「東大寺大仏展 期間限定 正倉院宝物 特別公開」
11/2-11/21(展覧会会期は12/12まで)



上野の東大寺展もそろそろ佳境です。東京国立博物館で開催中の「東大寺大仏展 期間限定 正倉院宝物 特別公開」へ行って来ました。

目玉の「八角燈籠」をはじめ、東大寺にまつわる様々な文物にて大仏創建の偉業を辿る展覧会ですが、それには欠かせない正倉院の宝物がようやくお目見えしました。

本展に出品の正倉院宝物は以下の通りです。 (時代は全て奈良時代・8世紀)

「天平宝物筆」中倉35 1枝
「天平宝物墨」中倉36 1挺
「縹縷(開眼縷)」南倉82 1条
「福纈屏風 鸚烏武・象木」北倉44 2扇
「桂心」北倉88 一括
「桂心袋」北倉90 1口
「人参」北倉122 一括
「人参袋」北倉94-3 1口
「沙金桂心請文」 北倉168 1巻
「銀壺 乙」南倉13 1口
「斑犀如意及び素木如意箱」南倉51 1枚・1合
「金銅雲花形裁文」南倉162
「金銅鳳形裁文」南倉163 1枚
「墨画仏像」南倉154 1躯


そもそも正倉院とは「東大寺な宝物を納める蔵」(東博ニュースより引用)でしたが、今回はその中よりとりわけ大仏開眼時に用いられた品が紹介されていました。


「縹縷(開眼縷)」 奈良時代(8世紀) 正倉院宝物

まずその開眼会の必須アイテムとして注目したいのが全長200メートルにも及ぶ紐、「開眼縷」です。これは開眼の際、瞳を描く僧侶の筆に繋ぎ、その先を聖武天皇と光明皇后が握ったものですが、大切に保存されてきたからなのか、鮮やかに染まった空色の美しさには目を奪われます。これ一点でも当時の息吹が伝わってくるかもしれません。密かに前々から是非見たいと思っていた品だったので、ここは感激もひとしおでした。

また紐に続いて欠かせないのが「天平宝物筆」と呼ばれる筆です。こちらも開眼時に用いられたものですが、一般的な長さをゆうに超えた全長65センチの筆の姿に接すると、改めて大仏のスケールを感じとれるのではないでしょうか。まさに堂々たる姿でした。


「桂心」 奈良時代(8世紀) 正倉院宝物

さて一方、光明皇后ゆかりの品として興味深いのは、創建時に献納したもの一つ、「桂心」です。これは漢方薬の材料でもあり、またシナモンとしても知られている薬物ですが、当時は必要に応じて実際に使われたことから、百年後には10分1ほどになってしまったとのことでした。


「福纈屏風 象木」 奈良時代(8世紀) 正倉院宝物

いわゆる美術品としても見応えがあるのは、「福纈屏風 鸚烏武・象木」や「銀壺 乙」です。臈纈染めの屏風は奈良の正倉院展でもお馴染みですが、後者の壺における細やかな線刻もまた見事でした。唐風とされる紋様は何とも風雅です。獣を狙う狩人の動きも軽やかでした。

出品数は多くなく、また大仏開眼に関連する文物のみの公開とのことで、本家・正倉院展ほどの華やかさは皆無ですが、そもそもこうした品を東京で見られる機会など滅多にありません。ここは素直に楽しめました。

なお本展に関連し、平成館一階の企画展示室でも正倉院にまつわる染物の特集陳列が行われています。



特集陳列「東京国立博物館所蔵 正倉院の染物」

奈良時代の染物をまとめて見るチャンスです。お見逃しなきようご注意下さい。(また本館2階の国宝室では、伝聖武天皇筆の「賢愚経断簡」を11月14日まで展示。)


*本写真は内覧時に主催者の許可を得て撮影しています。

なおプレビュー時の展覧会の様子は以下のエントリにまとめてあります。宜しければご覧下さい。

「東大寺大仏 天平の至宝」 東京国立博物館(拙ブログ)

正倉院宝物出品期間中は無休です。11月8日、15日の月曜日も開館します。

ブログをお持ちの方に朗報です。 以下、リンク先の手順により展示のレビューを書くと、抽選で展覧会フィギュアやグッズが当たる企画があります。これからお出かけの方は参加されてみては如何でしょう。(画像などもダウンロード可能だそうです。)

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11月13日(13:30~)には東博にせんとくんがやってくるイベントがあるそうです。

「期間限定 正倉院宝物 特別公開」は11月21日まで開催されています。*東大寺大仏展の会期は12月12日まで。
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