「東北画は可能か?」 ニュートロン東京

ニュートロン東京
「東北画は可能か?」
1/11-1/29



ニュートロン東京で開催中の「東北画は可能か?」へ行ってきました。

2009年の東北芸術工科大学のチュートリアルを皮切りに、「東北」の名を冠にして絵画の可能性を考える「東北画とは可能か」プロジェクトですが、昨年のイムラアートに引き続き、ここ東京での展示がスタートしました。

出品作家は画家の三瀬夏之介と鴻崎正武をはじめ、以下のチュートリアルメンバー6名などです。日本画を基本に油画、また立体からインスタレーションなどが出品されていました。

チュートリアルメンバー:あるがあく、サイトウケイスケ、塩澤清志、金子拓、多田さやか、藤原泰祐

イムラアートではともかくも震災とも関連した大作、「方舟計画」に度肝を抜かれましたが、今回のニュートロンでは、3層構造の同ギャラリーの特徴的な空間を活かした流れ、ようは一つのストーリーに注目すべきかもしれません。


金子拓「おと」他 2008年

薄暗い一階のスペースはさながら原始世界、また地の底です。グレーを基調に、時に表現主義を思わせる激しいタッチで森や人物を表した金子拓や、あたかもこの空間を支配する魔物を描いたかのような土井沙織の作品が周囲を取り囲みます。思わず後ずさりするほどに暗鬱な雰囲気が漂っていました。


土井沙織「右の蛇、左の蛇」2011年

とりわけ土井沙織の「右の蛇、左の蛇」の迫力は並大抵のものではありません。イムラアートでの展示でも印象に深かった作家だけに、今回の力強い作品にはまた改めて感心しました。


左奥:多田さやか「prelude」2011年、右:藤原泰祐「人、家の不文律」2011年

外の明かりも差し込む2階のメインフロアでは多田さやかが目を引きます。うさぎや鹿などの動物から悶える人、それに都市から飛行船などをコラージュ的に配した作品は、その色彩の美しさはもとより、どことなく破滅的な終末を予感させながらも、幻想的な感覚が魅力だと言えるのではないでしょうか。


3階会場風景

天空や宇宙、そして未来を思わせる最上階の3階では、イラストに映像までをあわせたサイトウケイスケのインスタレーションが異彩を放っています。


三瀬夏之介「権現」2010年

また最奥部には三瀬の「権現」が鎮座していました。その深淵かつ終始運動を続ける絵画平面はまるで星々の浮遊する宇宙空間です。星は分裂してとどめもなく、激しくぶつかり合っていました。


中庭会場風景 

会場の随所にはまるで来場者を導くかのように土井沙織の「わちゃわちゃ鳥」が生息しています。中庭の木にとまっているのもその「わちゃわちゃ鳥」でした。(写真上)

なお「東北画は可能か」は本年の岡本太郎現代芸術賞に入選しました。2月には川崎市岡本太郎美術館にて受賞展も行われます。

「第15回 岡本太郎現代芸術賞」@川崎市岡本太郎美術館 2月4日(土)~4月8日(日)

こちらも是非伺いたいと思います。

1月29日までの開催です。*「東北画は可能か」ツイッターアカウント→@touhokuga

「東北画は可能か?」 ニュートロン東京@neutron_tokyo
会期:1月11日 (水) ~29日 (日)
休館:月曜日
時間:10:00~19:00
住所:港区南青山2-17-14
交通:東京メトロ銀座線外苑前駅より徒歩約8分。東京メトロ銀座線・半蔵門線、都営大江戸線青山一丁目駅より徒歩約15分。
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