「森山大道 モノクローム」 武蔵野市立吉祥寺美術館

武蔵野市立吉祥寺美術館
「森山大道 モノクローム」
11/23~12/27



武蔵野市立吉祥寺美術館で開催中の「森山大道 モノクローム」を見てきました。

大都会東京の街角。場末の路上や薄汚れた地下通路、そして街頭の怪し気な看板。それらが森山のファインダーを経由すると、すぐさま目に焼き付くような力強いビジュアルとして立ち上がっていく。

本展では森山の主に近作を紹介します。東京を捉えた「モノクローム」シリーズをメインに「狩人より」などの旧作まで。約60点ほどが並んでいました。



さて「モノクローム」が撮影されたのは2008年から2012年の間。言わば最近の東京を写しているわけですが、やはりどこかノスタルジックでもある。また何故か異国の見知らぬ景色を見ているような錯覚も。まるで異邦人が見た東京です。不安感に孤独感。様々な印象を与えられます。

個々の感想をあげていくとキリがありませんが、あえて一枚だけとりわけ心にとまった作品を。それが地下鉄の通路を写したものです。



長く続く通路、彼方には階段、そして出口表示の明かりが灯る。さらにはそこへ向かって歩む女性。場所はどうやら東京メトロの池袋駅。ひょっとしたら私も通ったかもしれないような身近な場所です。

にも関わらず、通路はどことなく非現実的。階段の先はそれこそ彼岸への入口なのか。どこへ繋がっているか分からないような一種の恐怖感さえ覚えます。そして女性との距離感です。人と深く接し合わないような都会のよそよそしい人間の関係。後ろ姿はあまりにも寂し気です。何とも言い難い疎外感に押しつぶされそうにもなります。



現実にも関わらず夢を見ているような感覚。一方での写真としてのカッコ良さ。好きな写真家は誰かと問われれば、私がまず挙げるのは森山大道です。久々にある程度まとまって楽しむことが出来ました。



武蔵野市立吉祥寺美術館は旧伊勢丹、現コピス吉祥寺のA館7階に位置する美術館です。本展もフロアは僅か1室。突き詰めてしまば小さな小さな展覧会です。

とはいえ入館料は100円。また森山展にあわせて版画家の浜口陽三や萩原英雄の作品も展観出来ます。また連日19時半までの開館。仕事帰りなどに立ち寄ってみるのも良いかもしれません。

「モノクローム/森山大道/月曜社」

12月27日まで開催されています。

「森山大道 モノクローム」 武蔵野市立吉祥寺美術館
会期:11月23日(土・祝)~12月27日(金)
休館:11/27、12/25の各水曜日。
時間:10:00~19:30
料金:一般100円、小学生以下・65歳以上無料。
住所:武蔵野市吉祥寺本町1-8-16 FFビル(コピス吉祥寺A館)7階
交通:JR線・京王井の頭線吉祥寺駅より徒歩5分。

*作品図版はいずれも森山大道「モノクローム」より。
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