都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「MOTコレクション 第2部 つくる、つかう、つかまえる」 東京都現代美術館
東京都現代美術館
「MOTコレクション 第2部 つくる、つかう、つかまえるーいくつかの彫刻から」
2013/10/3~2014/1/19
東京都現代美術館の常設展として年に何度か入れ替わる「MOTコレクション」。企画展の影に隠れている感は否めないものの、毎回の展示は大変に見応えがあります。
今回は「私たちの90年 1923ー2013」と「つくる、つかう、つかまえるーいくつかの彫刻から」の2つのテーマを設定。所蔵品をいくつかの切り口から紹介しています。
私がとりわけ感心したのは後半の第2部。タイトルにもあるように彫刻に焦点を当てた企画です。「使う」、「選ぶ」、「組み合わせる」。主に90年代後半の作家の制作を紹介しながら、彫刻の諸相を探るような展示となっていました。
[展示構成]
1.物について
2.行為の記録、写真をとおして
3.歌う彫刻
4.特集展示:冨井大裕
5.作られるかたち
6.特集展示:金氏徹平
7.特集展示:高柳恵里
広大な都現美ならではの展示です。冒頭のスペースを飾るのはマリオ・メルツの「加速・夢・まぼろし」とジルベルト・ゾリオの「いす」。ともにイタリアの作家。前者はずばりオートバイです。ネオン管が連なりバイクが疾走していく。それが何とほぼ天井部分に高らかに掲げられている。迫力があります。
さて今回重要なのが3名の日本人作家。冨井大裕(1973~)、金氏徹平(1978~)、高柳恵里(1962~)の制作。それぞれフロア一室。特集展示として紹介されています。
冨井大裕「鉛筆のテーブル」2010年
いわゆる既製品を用いるのは冨井大裕です。ゴムホースや木に針金、そしてアルミホイルからお馴染みの色鉛筆やスーパーボールまで。2011年度に購入された近作が展示されています。また冨井といえばご本人のツイッター(@mtomii)での「今日の彫刻」。作家の捉えた物の状態を、作品として成立し得るのかと問いかけていく。それを思わせるような写真も並んでいました。
金氏徹平「White Discharge(建物のようにつみあげたもの)#4」2009年
また身近な素材から彫刻を展開する金氏徹平も作品を展示。一定のルールによって集められたという素材に白色の石膏や樹脂をかける「White Discharge」などが目を引きます。横浜美術館の回顧展の記憶も甦りました。
高柳恵里「置物セット」2002年
ラストは高柳恵里。ハンカチにカーテンに文庫本。やはりここでも身近なモノが。相互の関係はあるのかないのか。謎解き的な面白さもある。ガランとしながらも、それぞれが緩やかに繋がっていくような感覚。空間の使い方に惹かれました。
この他にも1970年に行われた「第10回日本国際美術展」の展示記録写真や、ロンドンでともに美術を学んだギルバートとジョージの「歌う彫刻」(映像)など、言わば変化球も。単に彫刻展という先入観で見ると、良い意味で期待を裏切られます。
吉岡徳仁展は意外なほどあっさりと見終えた上、うさぎスマッシュは率直なところ殆ど入って来ませんでしたが、最後に見たこの常設展で改めて都現美の底力を感じました。簡単な感想になってしまい恐縮ですが、三つの展覧会で最も印象深かったのは、この「つくる、つかう、つかまえる」でした。
入口が美術館の最奥部ということもあるのでしょうか。都現美の常設、いつも企画展からの人の流れが少なく、どこかもどかしい思いもします。是非ともお見逃しなきようおすすめします。
2014年1月19日までの開催です。
「MOTコレクション 第2部 つくる、つかう、つかまえるーいくつかの彫刻から」 東京都現代美術館(@MOT_art_museum)
会期:2013年10月3日(木)~2014年1月19日(日)
休館:月曜日。但し10/14、11/4、12/23、2014/1/13は開館。10/15、11/5、12/24、年末年始(12/28~1/1)、2014/1/14は休館。
時間:10:00~18:00
料金:一般500円 、大学生・専門学校生400円、65歳以上・高校生250円、中学生以下無料。
*企画展チケットで入場可。
住所:江東区三好4-1-1
交通:東京メトロ半蔵門線清澄白河駅B2出口より徒歩9分、都営地下鉄大江戸線清澄白河駅A3出口より徒歩13分。
「MOTコレクション 第2部 つくる、つかう、つかまえるーいくつかの彫刻から」
2013/10/3~2014/1/19
東京都現代美術館の常設展として年に何度か入れ替わる「MOTコレクション」。企画展の影に隠れている感は否めないものの、毎回の展示は大変に見応えがあります。
今回は「私たちの90年 1923ー2013」と「つくる、つかう、つかまえるーいくつかの彫刻から」の2つのテーマを設定。所蔵品をいくつかの切り口から紹介しています。
私がとりわけ感心したのは後半の第2部。タイトルにもあるように彫刻に焦点を当てた企画です。「使う」、「選ぶ」、「組み合わせる」。主に90年代後半の作家の制作を紹介しながら、彫刻の諸相を探るような展示となっていました。
[展示構成]
1.物について
2.行為の記録、写真をとおして
3.歌う彫刻
4.特集展示:冨井大裕
5.作られるかたち
6.特集展示:金氏徹平
7.特集展示:高柳恵里
広大な都現美ならではの展示です。冒頭のスペースを飾るのはマリオ・メルツの「加速・夢・まぼろし」とジルベルト・ゾリオの「いす」。ともにイタリアの作家。前者はずばりオートバイです。ネオン管が連なりバイクが疾走していく。それが何とほぼ天井部分に高らかに掲げられている。迫力があります。
さて今回重要なのが3名の日本人作家。冨井大裕(1973~)、金氏徹平(1978~)、高柳恵里(1962~)の制作。それぞれフロア一室。特集展示として紹介されています。
冨井大裕「鉛筆のテーブル」2010年
いわゆる既製品を用いるのは冨井大裕です。ゴムホースや木に針金、そしてアルミホイルからお馴染みの色鉛筆やスーパーボールまで。2011年度に購入された近作が展示されています。また冨井といえばご本人のツイッター(@mtomii)での「今日の彫刻」。作家の捉えた物の状態を、作品として成立し得るのかと問いかけていく。それを思わせるような写真も並んでいました。
金氏徹平「White Discharge(建物のようにつみあげたもの)#4」2009年
また身近な素材から彫刻を展開する金氏徹平も作品を展示。一定のルールによって集められたという素材に白色の石膏や樹脂をかける「White Discharge」などが目を引きます。横浜美術館の回顧展の記憶も甦りました。
高柳恵里「置物セット」2002年
ラストは高柳恵里。ハンカチにカーテンに文庫本。やはりここでも身近なモノが。相互の関係はあるのかないのか。謎解き的な面白さもある。ガランとしながらも、それぞれが緩やかに繋がっていくような感覚。空間の使い方に惹かれました。
この他にも1970年に行われた「第10回日本国際美術展」の展示記録写真や、ロンドンでともに美術を学んだギルバートとジョージの「歌う彫刻」(映像)など、言わば変化球も。単に彫刻展という先入観で見ると、良い意味で期待を裏切られます。
吉岡徳仁展は意外なほどあっさりと見終えた上、うさぎスマッシュは率直なところ殆ど入って来ませんでしたが、最後に見たこの常設展で改めて都現美の底力を感じました。簡単な感想になってしまい恐縮ですが、三つの展覧会で最も印象深かったのは、この「つくる、つかう、つかまえる」でした。
入口が美術館の最奥部ということもあるのでしょうか。都現美の常設、いつも企画展からの人の流れが少なく、どこかもどかしい思いもします。是非ともお見逃しなきようおすすめします。
2014年1月19日までの開催です。
「MOTコレクション 第2部 つくる、つかう、つかまえるーいくつかの彫刻から」 東京都現代美術館(@MOT_art_museum)
会期:2013年10月3日(木)~2014年1月19日(日)
休館:月曜日。但し10/14、11/4、12/23、2014/1/13は開館。10/15、11/5、12/24、年末年始(12/28~1/1)、2014/1/14は休館。
時間:10:00~18:00
料金:一般500円 、大学生・専門学校生400円、65歳以上・高校生250円、中学生以下無料。
*企画展チケットで入場可。
住所:江東区三好4-1-1
交通:東京メトロ半蔵門線清澄白河駅B2出口より徒歩9分、都営地下鉄大江戸線清澄白河駅A3出口より徒歩13分。
コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )