都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「色部義昭:WALL」 ギンザ・グラフィック・ギャラリー
ギンザ・グラフィック・ギャラリー
「色部義昭:WALL」
9/2-9/28
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ギンザ・グラフィック・ギャラリーで開催中の「色部義昭:WALL」を見てきました。
「中央区銀座七丁目7」と表記された一枚の街区表示板。ギンザ・グラフィック・ギャラリーの所在地です。青い看板に白く浮き出た文字。もちろん銀座に限らず、都内ほか、住所表示をしている地域であれば、あちこちに貼られています。見慣れている方も多いのではないでしょうか。
その街区表示板を変えようとするのがグラフィックデザイナーの色部義昭です。街区表示板を「街々の表札」、ないしは「町の風情をつくる要素」(パネルより)として捉え、東京らしい書体やサインシステムを提案しています。歴史や地域の特性を踏まえた街区表示板を作りました。
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新たな街区表示板が上の写真の左手、グレーの板です。どうでしょうか。既存のものと比べてどこかスタイリッシュ。縦ではなく横書きです。写真では分かりにくいかもしれませんが、表面の凹凸は踏襲されています。やや細目のフォントは東京シティフォントと名付けられました。
このフォントは街区表示板だけでなく、インフォメーションセンターやバス停、路上案内のサイン、それに街頭のバナーフラッグなどでの展開も想定しているそうです。そもそもの出発点は、2020年の東京オリンピックに向けて設置された「東京デザイン2020」フォーラムでのプレゼンテーションでもあります。
それにしても既存の街区表示板、規格が全て統一されているのかと思いきや、実際には色も書体もバラバラで、取り付け位置などのルールも特に決まっていないそうです。
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色部は「街区表示板の観察」にて既存の問題点を整理。特にローマ字の表記が粗雑であることを指摘しています。ちなみに街区表示板のはじまりは明治時代です。原型は縦書き、京都の森下仁丹が考案しました。また現在の表示板の設置が決まったのは1962年のことです。「住居表示に関する法律」の施行に遡ります。
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新たな街区表示板にグレーを採用したのは、東京にある「バラバラな色を吸収する」(パネルより)ためだそうです。確かに既存の青も目立ちますが、家屋やビルの外観からすればやや浮いている感も否めません。
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会場内には銀座を中心とした街区表示板の写真がずらりと並んでいます。もちろん色部の提唱した新しい表示板のサンプルもありました。どちらが街に溶け込み、なおかつサインシステムとして有用なのか。見比べてみるのも楽しいかもしれません。
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さて展示は二部構成です。階下のフロアでは過去に色部が手がけてきた様々なプロジェクトを紹介。色部の仕事は美術ファンにとっても身近です。例えばDIC川村記念美術館や市原湖畔美術館のサインシステムも色部によるもの。さらに山種美術館のサインも同様です。
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ちなみに私が最も好きなのは川村記念美術館のサインです。同館のリニューアルにあわせて生み出されたサイン。特に注意点に関するサインが実に明快でかつ、またどこか可愛らしくもあります。トイレ、エレベーター、また出口案内や展示室の表記も親しみやすい。初めて見た時から愛着がわきました。
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いちはらアートミックスも色部の仕事でした。また竹尾ペーパーショウのデザインなども行っています。街区表示板を起点に色部の各方面の仕事を見知る展覧会。なかなか楽しめました。
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9月28日まで開催されています。
「色部義昭:WALL」 ギンザ・グラフィック・ギャラリー(ggg)
会期:9月2日(水)~9月28日(月)
休廊:日曜・祝日
時間:11:00~19:00 土曜は18時まで。
料金:無料
住所:中央区銀座7-7-2 DNP銀座ビル1F
交通:東京メトロ銀座線・日比谷線・丸ノ内線銀座駅から徒歩5分。JR線有楽町駅、新橋駅から徒歩10分。
「色部義昭:WALL」
9/2-9/28
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ギンザ・グラフィック・ギャラリーで開催中の「色部義昭:WALL」を見てきました。
「中央区銀座七丁目7」と表記された一枚の街区表示板。ギンザ・グラフィック・ギャラリーの所在地です。青い看板に白く浮き出た文字。もちろん銀座に限らず、都内ほか、住所表示をしている地域であれば、あちこちに貼られています。見慣れている方も多いのではないでしょうか。
その街区表示板を変えようとするのがグラフィックデザイナーの色部義昭です。街区表示板を「街々の表札」、ないしは「町の風情をつくる要素」(パネルより)として捉え、東京らしい書体やサインシステムを提案しています。歴史や地域の特性を踏まえた街区表示板を作りました。
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新たな街区表示板が上の写真の左手、グレーの板です。どうでしょうか。既存のものと比べてどこかスタイリッシュ。縦ではなく横書きです。写真では分かりにくいかもしれませんが、表面の凹凸は踏襲されています。やや細目のフォントは東京シティフォントと名付けられました。
このフォントは街区表示板だけでなく、インフォメーションセンターやバス停、路上案内のサイン、それに街頭のバナーフラッグなどでの展開も想定しているそうです。そもそもの出発点は、2020年の東京オリンピックに向けて設置された「東京デザイン2020」フォーラムでのプレゼンテーションでもあります。
それにしても既存の街区表示板、規格が全て統一されているのかと思いきや、実際には色も書体もバラバラで、取り付け位置などのルールも特に決まっていないそうです。
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色部は「街区表示板の観察」にて既存の問題点を整理。特にローマ字の表記が粗雑であることを指摘しています。ちなみに街区表示板のはじまりは明治時代です。原型は縦書き、京都の森下仁丹が考案しました。また現在の表示板の設置が決まったのは1962年のことです。「住居表示に関する法律」の施行に遡ります。
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新たな街区表示板にグレーを採用したのは、東京にある「バラバラな色を吸収する」(パネルより)ためだそうです。確かに既存の青も目立ちますが、家屋やビルの外観からすればやや浮いている感も否めません。
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会場内には銀座を中心とした街区表示板の写真がずらりと並んでいます。もちろん色部の提唱した新しい表示板のサンプルもありました。どちらが街に溶け込み、なおかつサインシステムとして有用なのか。見比べてみるのも楽しいかもしれません。
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さて展示は二部構成です。階下のフロアでは過去に色部が手がけてきた様々なプロジェクトを紹介。色部の仕事は美術ファンにとっても身近です。例えばDIC川村記念美術館や市原湖畔美術館のサインシステムも色部によるもの。さらに山種美術館のサインも同様です。
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ちなみに私が最も好きなのは川村記念美術館のサインです。同館のリニューアルにあわせて生み出されたサイン。特に注意点に関するサインが実に明快でかつ、またどこか可愛らしくもあります。トイレ、エレベーター、また出口案内や展示室の表記も親しみやすい。初めて見た時から愛着がわきました。
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いちはらアートミックスも色部の仕事でした。また竹尾ペーパーショウのデザインなども行っています。街区表示板を起点に色部の各方面の仕事を見知る展覧会。なかなか楽しめました。
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9月28日まで開催されています。
「色部義昭:WALL」 ギンザ・グラフィック・ギャラリー(ggg)
会期:9月2日(水)~9月28日(月)
休廊:日曜・祝日
時間:11:00~19:00 土曜は18時まで。
料金:無料
住所:中央区銀座7-7-2 DNP銀座ビル1F
交通:東京メトロ銀座線・日比谷線・丸ノ内線銀座駅から徒歩5分。JR線有楽町駅、新橋駅から徒歩10分。
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