都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「若冲展」 記者発表会
江戸時代の京都で活動した絵師、伊藤若冲(1716~1880)。来年、生誕300年を迎えます。それを記念しての展覧会です。2016年4月22日(金)より東京都美術館で「生誕300年 若冲展」が開催されます。
「生誕300年 若冲展」
会場:東京都美術館
期間:2016年4月22日(金)~5月24日(火)
http://jakuchu2016.jp
出品は約80点(一部、展示替えあり)。うち最大の目玉は「動植綵絵」30幅と「釈迦三尊像」3幅が同時に公開されることです。両作品は一括して若冲が相国寺に献上したもの。現在は「動植綵絵」が宮内庁三の丸尚蔵館、「釈迦三尊像」が相国寺に分かれて所蔵されています。2007年には同寺の承天閣美術館で120年ぶりに展示されたことも話題となりましたが、そもそも東京では一度たりとも揃ったことがありません。
ちなみに「動植綵絵」自体、東京に出品されるのも2009年に東京国立博物館で行われた「皇室の名宝展」以来のことです。そこからさらに時代を戻すと、同じく東京国立博物館で1971年に開かれた若冲展(特別展ではなく特集展観でした。)まで遡らなくてはなりません。
もう一つの見どころは若冲の主要作品を網羅していることです。まず「鹿苑寺大書院障壁画」などの初期作を見た上で、「動植綵絵」+「釈迦三尊像」の全点展示を挟み、最後に「菜蟲譜」などの晩年の作品を追う流れとなります。大まかには3部構成です。美術館の3層のフロアを用い、順に初期、「動植綵絵+釈迦三尊像」、晩期の作品を並べ分けて展示します。(予定)
なお製作当時、「動植綵絵」がどのように並んでいたのか正確に分かっていませんが、配列については2007年の相国寺での「若冲展」の並びを踏襲するそうです。ちなみに相国寺では一つの空間を囲み、以下の順で「動植綵絵」が展示されていました。
[釈迦三尊像及び動植綵絵 全33幅 展示順]
正面 「釈迦三尊像」(左より順に、普賢菩薩像、釈迦如来像、文殊菩薩像。)
左 「動植綵絵」(順に、老松白鳳図、牡丹小禽図、梅花小禽図、向日葵雄鶏図、秋塘群雀図、椶櫚雄鶏図、雪中錦鶏図、芙蓉双鶏図、梅花群鶴図、芦雁図、桃花小禽図、大鶏雌雄図、貝甲図、紅葉小禽図、群魚図・鯛)
右 「動植綵絵」(順に、老松孔雀図、芍薬群蝶図、梅花皓月図、南天雄鶏図、蓮池遊魚図、老松白鶏図、雪中鴛鴦図、紫陽花双鶏図、老松鸚鵡図、芦鵞図、薔薇小禽図、群鶏図、池辺郡虫図、菊花流水図、群魚図・蛸)
ほかの出品作については「一番の傑作、良作を集めようとし」、「極上のリスト」を作成しては、最終的に作品を選定したそうです。(*「 」内は本展監修で美術史家の小林忠先生による。)
主な展示予定作品は以下の通りです。
[若冲、そのはじまり]
「糸瓜群虫図」(細見美術館)、「隠元豆・玉蜀黍図」(草堂寺)、「牡丹・百合図」(慈照寺)、「旭日鳳凰図」(宮内庁三の丸尚蔵館)
[若冲、祈りを込めて]
「釈迦三尊像」(相国寺)、「動植綵絵」(宮内庁三の丸尚蔵館)
[若冲、生きものたちの楽園]
「鳥獣花木図屏風」(エツコ&ジョー・プライスコレクション)
[若冲、障壁画]
「仙人掌群鶏図屏風」(西福寺)、「蓮池図」(西福寺)、「葡萄小禽図襖絵(鹿苑寺大書院襖絵)」(鹿苑寺)、「松鶴図襖絵(鹿苑寺大書院襖絵)」(鹿苑寺)、「芭蕉叭々鳥図襖絵(鹿苑寺大書院襖絵)」(鹿苑寺)
[若冲、画に遊ぶ]
「果蔬涅槃図」(京都国立博物館)、「花鳥版画」(平木浮世絵財団)、「乗興舟」(京都国立博物館)
[若冲、ますます活躍]
「三十六歌仙図押絵貼屏風」(岡田美術館)、「百犬図」(個人蔵)、「菜蟲譜」(佐野市立吉澤記念美術館)、「象と鯨図屏風」(MIHO MUSEUM)
これまでにも若冲といえば、2000年の京都国立博物館の「若冲展」にはじまり、「動植綵絵」と「釈迦三尊像」が揃い踏みした2007年の承天閣美術館、さらには2009年の「若冲ワンダーランド」(MIHO MUSEUM)と翌年の「若冲アナザーワールド」(千葉市美術館ほか)と大きな展示が続きました。
ほかにも「プライスコレクション展」などで若冲が大きくクローズアップされたこともありました。最近ではサントリー美術館の「若冲と蕪村展」の記憶も新しいところです。その都度、若冲の人気に火が付き、高まり、さらに不動のものになったという印象があります。私も京都国立博物館の若冲展以外は全て追いかけました。
辻惟雄先生が「空前絶後」とまで語った今回の若冲展。今世紀の若冲の受容史に大きな足跡を残すことは間違いありません。
若冲展は来春の上野限定。東博ではなく都美館です。期間は1ヶ月のみ。巡回はありません。
「生誕300年 若冲展」
http://jakuchu2016.jp
公式の仮サイトも開設されました。なお本サイトについては来年1月下旬頃、チームラボの制作によりオープンするそうです。(前売券情報なども追って掲載されます。)そちらにも期待しましょう。
「生誕300年 若冲展」は2016年4月22日より東京都美術館で開催されます。
*関連エントリ(実際に見てきました。)
「若冲展」 東京都美術館(はろるど)
「生誕300年 若冲展」 東京都美術館(@tobikan_jp)
会期:2016年4月22日(金)~5月24日(火)
時間:9:30~17:30
*毎週金曜日は夜8時まで開館。
*入館は閉館の30分前まで
休館:4月25日(月)、5月9日(月)。
主催:東京都美術館、日本経済新聞社、NHK、NHKプロモーション
協力:宮内庁
料金:一般1600円(1300円)、大学生1300円(1100円)、高校生800円(600円)、65歳以上1000(800)円、中学生以下無料。
*( )内は前売券、及び20名以上の団体料金。
住所:台東区上野公園8-36
交通:JR線上野駅公園口より徒歩7分。東京メトロ銀座線・日比谷線上野駅7番出口より徒歩10分。京成線上野駅より徒歩10分。
「生誕300年 若冲展」
会場:東京都美術館
期間:2016年4月22日(金)~5月24日(火)
http://jakuchu2016.jp
出品は約80点(一部、展示替えあり)。うち最大の目玉は「動植綵絵」30幅と「釈迦三尊像」3幅が同時に公開されることです。両作品は一括して若冲が相国寺に献上したもの。現在は「動植綵絵」が宮内庁三の丸尚蔵館、「釈迦三尊像」が相国寺に分かれて所蔵されています。2007年には同寺の承天閣美術館で120年ぶりに展示されたことも話題となりましたが、そもそも東京では一度たりとも揃ったことがありません。
ちなみに「動植綵絵」自体、東京に出品されるのも2009年に東京国立博物館で行われた「皇室の名宝展」以来のことです。そこからさらに時代を戻すと、同じく東京国立博物館で1971年に開かれた若冲展(特別展ではなく特集展観でした。)まで遡らなくてはなりません。
もう一つの見どころは若冲の主要作品を網羅していることです。まず「鹿苑寺大書院障壁画」などの初期作を見た上で、「動植綵絵」+「釈迦三尊像」の全点展示を挟み、最後に「菜蟲譜」などの晩年の作品を追う流れとなります。大まかには3部構成です。美術館の3層のフロアを用い、順に初期、「動植綵絵+釈迦三尊像」、晩期の作品を並べ分けて展示します。(予定)
なお製作当時、「動植綵絵」がどのように並んでいたのか正確に分かっていませんが、配列については2007年の相国寺での「若冲展」の並びを踏襲するそうです。ちなみに相国寺では一つの空間を囲み、以下の順で「動植綵絵」が展示されていました。
[釈迦三尊像及び動植綵絵 全33幅 展示順]
正面 「釈迦三尊像」(左より順に、普賢菩薩像、釈迦如来像、文殊菩薩像。)
左 「動植綵絵」(順に、老松白鳳図、牡丹小禽図、梅花小禽図、向日葵雄鶏図、秋塘群雀図、椶櫚雄鶏図、雪中錦鶏図、芙蓉双鶏図、梅花群鶴図、芦雁図、桃花小禽図、大鶏雌雄図、貝甲図、紅葉小禽図、群魚図・鯛)
右 「動植綵絵」(順に、老松孔雀図、芍薬群蝶図、梅花皓月図、南天雄鶏図、蓮池遊魚図、老松白鶏図、雪中鴛鴦図、紫陽花双鶏図、老松鸚鵡図、芦鵞図、薔薇小禽図、群鶏図、池辺郡虫図、菊花流水図、群魚図・蛸)
ほかの出品作については「一番の傑作、良作を集めようとし」、「極上のリスト」を作成しては、最終的に作品を選定したそうです。(*「 」内は本展監修で美術史家の小林忠先生による。)
主な展示予定作品は以下の通りです。
[若冲、そのはじまり]
「糸瓜群虫図」(細見美術館)、「隠元豆・玉蜀黍図」(草堂寺)、「牡丹・百合図」(慈照寺)、「旭日鳳凰図」(宮内庁三の丸尚蔵館)
[若冲、祈りを込めて]
「釈迦三尊像」(相国寺)、「動植綵絵」(宮内庁三の丸尚蔵館)
[若冲、生きものたちの楽園]
「鳥獣花木図屏風」(エツコ&ジョー・プライスコレクション)
[若冲、障壁画]
「仙人掌群鶏図屏風」(西福寺)、「蓮池図」(西福寺)、「葡萄小禽図襖絵(鹿苑寺大書院襖絵)」(鹿苑寺)、「松鶴図襖絵(鹿苑寺大書院襖絵)」(鹿苑寺)、「芭蕉叭々鳥図襖絵(鹿苑寺大書院襖絵)」(鹿苑寺)
[若冲、画に遊ぶ]
「果蔬涅槃図」(京都国立博物館)、「花鳥版画」(平木浮世絵財団)、「乗興舟」(京都国立博物館)
[若冲、ますます活躍]
「三十六歌仙図押絵貼屏風」(岡田美術館)、「百犬図」(個人蔵)、「菜蟲譜」(佐野市立吉澤記念美術館)、「象と鯨図屏風」(MIHO MUSEUM)
これまでにも若冲といえば、2000年の京都国立博物館の「若冲展」にはじまり、「動植綵絵」と「釈迦三尊像」が揃い踏みした2007年の承天閣美術館、さらには2009年の「若冲ワンダーランド」(MIHO MUSEUM)と翌年の「若冲アナザーワールド」(千葉市美術館ほか)と大きな展示が続きました。
ほかにも「プライスコレクション展」などで若冲が大きくクローズアップされたこともありました。最近ではサントリー美術館の「若冲と蕪村展」の記憶も新しいところです。その都度、若冲の人気に火が付き、高まり、さらに不動のものになったという印象があります。私も京都国立博物館の若冲展以外は全て追いかけました。
辻惟雄先生が「空前絶後」とまで語った今回の若冲展。今世紀の若冲の受容史に大きな足跡を残すことは間違いありません。
若冲展は来春の上野限定。東博ではなく都美館です。期間は1ヶ月のみ。巡回はありません。
「生誕300年 若冲展」
http://jakuchu2016.jp
公式の仮サイトも開設されました。なお本サイトについては来年1月下旬頃、チームラボの制作によりオープンするそうです。(前売券情報なども追って掲載されます。)そちらにも期待しましょう。
「生誕300年 若冲展」は2016年4月22日より東京都美術館で開催されます。
*関連エントリ(実際に見てきました。)
「若冲展」 東京都美術館(はろるど)
「生誕300年 若冲展」 東京都美術館(@tobikan_jp)
会期:2016年4月22日(金)~5月24日(火)
時間:9:30~17:30
*毎週金曜日は夜8時まで開館。
*入館は閉館の30分前まで
休館:4月25日(月)、5月9日(月)。
主催:東京都美術館、日本経済新聞社、NHK、NHKプロモーション
協力:宮内庁
料金:一般1600円(1300円)、大学生1300円(1100円)、高校生800円(600円)、65歳以上1000(800)円、中学生以下無料。
*( )内は前売券、及び20名以上の団体料金。
住所:台東区上野公園8-36
交通:JR線上野駅公園口より徒歩7分。東京メトロ銀座線・日比谷線上野駅7番出口より徒歩10分。京成線上野駅より徒歩10分。
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