都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「リバーシブルな未来 日本・オーストラリアの現代写真」 東京都写真美術館
東京都写真美術館
「リバーシブルな未来 日本・オーストラリアの現代写真」
2020/8/24~10/31
日本とオーストラリアの計8名の現代写真家を紹介する展覧会が、東京都写真美術館にて開催されています。
それが「リバーシブルな未来 日本・オーストラリアの現代写真」で、日本からは石内都、片山真理、畠山直哉、横溝静、そしてオーストラリアからはマレイ・クラーク、ポリクセニ・パパペトロウ、ローズマリー・ラング、ヴァル・ウェンズが出展していました。
まず目を引くのが、入口正面に展示されたローズマリー・ラングの風景の作品で、木立などの自然がぶれを伴った独特の動きをもって写し出されていました。まるで映画のワンシーンを見ているような印象も与えられるかもしれません。
4つの先住民族の血を引く写真家、マレイ・クラークの作品も興味深いのではないでしょうか。砂浜で3名の人物を写した「ロング・ジャーニー・ホーム2」のモデルは作家の家族で、いずれも伝統的なポッサムの毛皮のマントを身につけていました。クラークは自らの文化的な遺産に向き合いつつ、その知識の再生に焦点を当てた活動を行なっていて、同作においても伝統的な風習の記憶を蘇らせるべく写真にて表現しました。
自身の娘や友人を仮装させた写真を手がけるポリクセニ・パパペトロウは、動物の被り物をした人物が森の中に立つ「来訪者(世界のはざまで)」を出展していて、夢の中で見るようなファンタジックな世界を築き上げていました。ミステリアスで演劇的な要素も感じられるかもしれません。
日本の作家で目立っていたのは、自らの制限のある身体をモチーフにした片山真理の写真でした。9歳の時に先天性脛骨欠損症のために両足を切断した片山は、手縫いのオブジェと義足に囲まれた写真などを撮り続けていて、2020年には初の写真集「GIFT」にて第45回木村伊兵衛写真賞を受賞しました。赤く発疹した足に金色のラメが光る「in the water #008」も官能性をたたえた作品ではなかったでしょうか。
この他、故郷の陸前高田を撮り続けている畠山直哉や、広島平和記念資料館に寄贈された被爆者の遺品を撮影する石内都の作品も見応えがありました。
なお同館では過去にも「オーストラリア現代作家 デスティニー・ディーコン」展(2006年)などを開催し、オーストラリアの写真表現を紹介していて、今回の展覧会は実に15年ぶりになるそうです。
10月31日まで開催されています。
「リバーシブルな未来 日本・オーストラリアの現代写真」 東京都写真美術館(@topmuseum)
会期:2020年8月24日(火)~10月31日(日)
休館:月曜日。但し8/30と9/20は開館し、9/21は休館。
時間:10:00~18:00
*入館は閉館の30分前まで。
料金:一般700円、大学生560円、中学・高校生・65歳以上350円。
場所:目黒区三田1-13-3 恵比寿ガーデンプレイス内
交通:JR線恵比寿駅東口より徒歩約7分。東京メトロ日比谷線恵比寿駅より徒歩約10分。
「リバーシブルな未来 日本・オーストラリアの現代写真」
2020/8/24~10/31
日本とオーストラリアの計8名の現代写真家を紹介する展覧会が、東京都写真美術館にて開催されています。
それが「リバーシブルな未来 日本・オーストラリアの現代写真」で、日本からは石内都、片山真理、畠山直哉、横溝静、そしてオーストラリアからはマレイ・クラーク、ポリクセニ・パパペトロウ、ローズマリー・ラング、ヴァル・ウェンズが出展していました。
まず目を引くのが、入口正面に展示されたローズマリー・ラングの風景の作品で、木立などの自然がぶれを伴った独特の動きをもって写し出されていました。まるで映画のワンシーンを見ているような印象も与えられるかもしれません。
4つの先住民族の血を引く写真家、マレイ・クラークの作品も興味深いのではないでしょうか。砂浜で3名の人物を写した「ロング・ジャーニー・ホーム2」のモデルは作家の家族で、いずれも伝統的なポッサムの毛皮のマントを身につけていました。クラークは自らの文化的な遺産に向き合いつつ、その知識の再生に焦点を当てた活動を行なっていて、同作においても伝統的な風習の記憶を蘇らせるべく写真にて表現しました。
自身の娘や友人を仮装させた写真を手がけるポリクセニ・パパペトロウは、動物の被り物をした人物が森の中に立つ「来訪者(世界のはざまで)」を出展していて、夢の中で見るようなファンタジックな世界を築き上げていました。ミステリアスで演劇的な要素も感じられるかもしれません。
【新着】東京都写真美術館で開催中の『リバーシブルな未来 日本・オーストラリアの現代写真』 https://t.co/NBzBlmywQI
— Pen Magazine (@Pen_magazine) September 18, 2021
日本の作家で目立っていたのは、自らの制限のある身体をモチーフにした片山真理の写真でした。9歳の時に先天性脛骨欠損症のために両足を切断した片山は、手縫いのオブジェと義足に囲まれた写真などを撮り続けていて、2020年には初の写真集「GIFT」にて第45回木村伊兵衛写真賞を受賞しました。赤く発疹した足に金色のラメが光る「in the water #008」も官能性をたたえた作品ではなかったでしょうか。
この他、故郷の陸前高田を撮り続けている畠山直哉や、広島平和記念資料館に寄贈された被爆者の遺品を撮影する石内都の作品も見応えがありました。
なお同館では過去にも「オーストラリア現代作家 デスティニー・ディーコン」展(2006年)などを開催し、オーストラリアの写真表現を紹介していて、今回の展覧会は実に15年ぶりになるそうです。
10月31日まで開催されています。
「リバーシブルな未来 日本・オーストラリアの現代写真」 東京都写真美術館(@topmuseum)
会期:2020年8月24日(火)~10月31日(日)
休館:月曜日。但し8/30と9/20は開館し、9/21は休館。
時間:10:00~18:00
*入館は閉館の30分前まで。
料金:一般700円、大学生560円、中学・高校生・65歳以上350円。
場所:目黒区三田1-13-3 恵比寿ガーデンプレイス内
交通:JR線恵比寿駅東口より徒歩約7分。東京メトロ日比谷線恵比寿駅より徒歩約10分。
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