『千田泰広 ― 視野の外は何色か?』 ギャラリーエークワッド

ギャラリーエークワッド
『千田泰広 ― 視野の外は何色か?』
2022/3/3~5/26



ギャラリーエークワッドで開催中の『千田泰広 ― 視野の外は何色か?』を見てきました。

1977年生まれのアーティストの千田泰広は、「空間の知覚」などを主題にインスタレーションを制作し、国内外の芸術祭や展覧会などで作品を発表してきました。

その千田の個展が『視野の外は何色か?』で、いずれも光を素材にした『Myrkviðr(ミュルクヴィズ)』と『0.04』のインスタレーションなどを展示していました。



まずはじめに展開するのが『Myrkviðr(ミュルクヴィズ)』で、回転する光源に応じて無数の屈折光が真っ暗闇の空間へと広がる作品でした。

その光は細かく砕いた粒子のように空間全体へと拡張していて、暗黒の宇宙から星々の明かりを見るかのようでした。また光の粒が体にまとわりつくような錯覚にも囚われて、そもそも一体全体どのような構造で光が放たれているか見当すらつきませんでした。



これらはテグスを真っ暗な空間へ無数に張り、小さなLEDから光を照射したもので、光源が回転していることから、光が生き物のように動くようにできていました。



しばらくして目が慣れるとテグスや光源の存在に気づくものの、光の粒が伸縮を伴いながらうごめいていくようで、神秘的とも呼べる空間が築かれていました。なおタイトルの『ミュルクヴィズ』とは、北欧神話などに登場する黒い森や暗い森を意味していて、それこそ暗い森の奥深くへ立ち入って光を探すように、しばし浮遊する光に身を委ねました。



もう1点の『0.04』は、LEDの光源と水を用いたインスタレーションで、上から落ちていく水の滴を透過した光が、純白の空間の床面に雲のような環を描いていました。



この作品を千田自身は「光の鹿威し」と呼び、タイトルの0.04は水1粒の体積を表していましたが、ひたすら繰り返しながら落ちる水の軌跡と床の波紋は美しくもはかなく感じられました。

『Myrkviðr(ミュルクヴィズ)』と『0.04』ともに、繊細の極みともいえるようなインスタレーションだったかもしれません。その光景を手持ちのスマホの写真にておさめるのは困難でした。

入場時に検温や手指の消毒のほか、氏名や連絡先を記入する必要があります。5月26日まで開催されています。

『千田泰広 ― 視野の外は何色か?』 ギャラリーエークワッド
会期:2022年3月3日(木)~5月26日(木)
休廊:日曜・祝日。4月29日(金)、5月1日(日)~5月5日(木)。
時間:10:00~18:00。*土曜・最終日は17時まで。
料金:無料。
住所:江東区新砂1-1-1 竹中工務店東京本店1階。
交通:東京メトロ東西線東陽町駅3番出口徒歩3分。
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