都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「にっぽんの客船 タイムトリップ展」 INAXギャラリー
INAXギャラリー1(中央区京橋3-6-18 INAX:GINZA2階)
「にっぽんの客船 タイムトリップ展」
3/3-5/21
第二次大戦前の僅かな期間、世界を航海した大型客船の軌跡を辿ります。INAXギャラリー1で開催中の「にっぽんの客船 タイムトリップ展」へ行ってきました。
今でこそ世界各地への旅は飛行機が主流ですが、それ以前、とりわけ20世紀前半までは客船がその役割を担っていたことは言うまでもありません。
この展示ではそれらのうち日本の客船、特に1930年後半に作られた「あるぜんちな丸」と「橘丸」にスポットをあて、デザインや室内装飾、また航海の様子などを紹介しています。(出品リスト)
客船建造の黎明期は海外の模倣からはじまりましたが、「動く国土」とも謳われたそれは次第に国の威信をかけたものとなり、昭和前期には日本独自の様式を持つ客船も誕生しました。それが今回の主役「あるぜんちな丸」(1939年竣工)に他なりません。
ブエノスアイレス港に寄港する『あるぜんちな丸』 写真:商船三井
「あるぜんちな丸」は神戸からシンガポール、さらにはケープタウンよりパナマ運河を経て、再び神戸を結んだ世界一周用の豪華客船です。その内装デザインにはかの建築家、村野藤吾も加わっていました。
あるぜんちな丸(大阪商船)一等食堂 村野藤吾
モダンで合理的なデザインを基調としながらも、和を取り入れた空間はかなり独特です。当時の運賃は当然ながらかなり高額で、乗る人々も外交官や富裕層などに限られたそうですが、写真パネルなどを見ていると、まさにホテルのような室内でくつろいだ彼らの様子も目に浮かび上がってきます。
また長旅ということもあり、重要視されたのはレクリエーション機能の他、食事の質でした。仏料理のフルコースが基本の中、日本の客船はオリジナリティを出すため、時にスキヤキパーティーなどをして客をもてなしていたそうです。また日本郵船の食事は評判がよく、チャップリンが好んで利用していたというエピソードも紹介されていました。
さて一番はじめに「僅かな期間」と記したのにはもちろん理由があります。大戦が勃発すると「あるぜんちな丸」は徴用、つまりは海軍に売却され、航空母艦として改装、さらには終戦後に解体されてしまいました。つまり「あるぜんちな丸」が客船として活躍していたのは1939年から1942年前、僅か3年程度に過ぎません。日本が総力をあげて建造した唯一無比の豪華客船は、戦争によりあっけなくも失われてしまいました。
「にっぽんの客船 タイムトリップ展」展示内容(既に終了した名古屋展の会場風景写真が掲載されています。)
展示では船の模型はもちろん、室内の写真、また村野直筆の設計図の他、航路図や渡航パンフレット、さらには空間を再現したCG映像までが用意されています。いつもながらの手狭な空間ではありますが、なかなか盛りだくさんでした。乗り物好きにはたまりません。
ギャラリー東京:3月3日(木)~5月21日(土)
ギャラリー大阪:6月4日(土)~8月18日(木)
「にっぽんの客船 タイムトリップ/INAX BOOKLET」
5月21日まで開催されています。
*開廊日時:月~土(日祝休) 10:00~18:00
「にっぽんの客船 タイムトリップ展」
3/3-5/21
第二次大戦前の僅かな期間、世界を航海した大型客船の軌跡を辿ります。INAXギャラリー1で開催中の「にっぽんの客船 タイムトリップ展」へ行ってきました。
今でこそ世界各地への旅は飛行機が主流ですが、それ以前、とりわけ20世紀前半までは客船がその役割を担っていたことは言うまでもありません。
この展示ではそれらのうち日本の客船、特に1930年後半に作られた「あるぜんちな丸」と「橘丸」にスポットをあて、デザインや室内装飾、また航海の様子などを紹介しています。(出品リスト)
客船建造の黎明期は海外の模倣からはじまりましたが、「動く国土」とも謳われたそれは次第に国の威信をかけたものとなり、昭和前期には日本独自の様式を持つ客船も誕生しました。それが今回の主役「あるぜんちな丸」(1939年竣工)に他なりません。
ブエノスアイレス港に寄港する『あるぜんちな丸』 写真:商船三井
「あるぜんちな丸」は神戸からシンガポール、さらにはケープタウンよりパナマ運河を経て、再び神戸を結んだ世界一周用の豪華客船です。その内装デザインにはかの建築家、村野藤吾も加わっていました。
あるぜんちな丸(大阪商船)一等食堂 村野藤吾
モダンで合理的なデザインを基調としながらも、和を取り入れた空間はかなり独特です。当時の運賃は当然ながらかなり高額で、乗る人々も外交官や富裕層などに限られたそうですが、写真パネルなどを見ていると、まさにホテルのような室内でくつろいだ彼らの様子も目に浮かび上がってきます。
また長旅ということもあり、重要視されたのはレクリエーション機能の他、食事の質でした。仏料理のフルコースが基本の中、日本の客船はオリジナリティを出すため、時にスキヤキパーティーなどをして客をもてなしていたそうです。また日本郵船の食事は評判がよく、チャップリンが好んで利用していたというエピソードも紹介されていました。
さて一番はじめに「僅かな期間」と記したのにはもちろん理由があります。大戦が勃発すると「あるぜんちな丸」は徴用、つまりは海軍に売却され、航空母艦として改装、さらには終戦後に解体されてしまいました。つまり「あるぜんちな丸」が客船として活躍していたのは1939年から1942年前、僅か3年程度に過ぎません。日本が総力をあげて建造した唯一無比の豪華客船は、戦争によりあっけなくも失われてしまいました。
「にっぽんの客船 タイムトリップ展」展示内容(既に終了した名古屋展の会場風景写真が掲載されています。)
展示では船の模型はもちろん、室内の写真、また村野直筆の設計図の他、航路図や渡航パンフレット、さらには空間を再現したCG映像までが用意されています。いつもながらの手狭な空間ではありますが、なかなか盛りだくさんでした。乗り物好きにはたまりません。
ギャラリー東京:3月3日(木)~5月21日(土)
ギャラリー大阪:6月4日(土)~8月18日(木)
「にっぽんの客船 タイムトリップ/INAX BOOKLET」
5月21日まで開催されています。
*開廊日時:月~土(日祝休) 10:00~18:00
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「アキバタマビ 第7回展 act」 アキバタマビ21
アキバタマビ21(千代田区外神田6-11-14 3331ArtsChiyoda 201・202)
「アキバタマビ 第7回展 act - 青秀祐、市川裕司、日比野拓史 - 」
2/26-3/27
多摩美術大学卒業の3名の若手作家がコラボレーションします。アキバタマビで開催中の「第7回展 act」へ行ってきました。
出品作家は以下の3名です。(3331WEBサイトより転載。)
青秀祐 (2004年 多摩美術大学絵画科日本画専攻卒業)
市川裕司 (2005年 多摩美術大学大学院日本画領域修了)
日比野拓史 (2008年 多摩美術大学大学院日本画専領域修了)
さて全て日本画専攻作家のグループ展ということで、いわゆるオーソドックスな絵画展などを想像していくと良い意味で意表を突かれるかもしれません。
市川裕司「archeocyte」(2010)
素材こそ絵画であるものの、そこにおける表現方法は三者三様です。設計図の描かれた和紙製の飛行機が怒濤のように連なる青秀祐はもちろん、市川裕司の大きな透明板を支持体に白い絵具の波がたゆたうインスタレーションは、旧教室跡の空間を巧みに演出していました。
青秀祐「1,000PAXINVASION」(2011)
しかし青秀祐の飛行機がこれだけまとめて出撃する光景だけでもかなり壮観です。近づいて見るとそれこそジェットエンジンの轟音が聞こえてくるかのような錯覚さえ覚えました。
なお青秀祐は現在、やや東京から離れますが、成田空港近くの航空科学博物館(千葉県山武郡芝山町)にて個展を開催中です。
青秀祐「TRIAL」@航空科学博物館 1/1~3/31
また市川裕司も北浦和の埼玉県立近代美術館の「ニュー・ヴィジョン・サイタマ4」に出品があります。
ニュー・ヴィジョン・サイタマ4@埼玉県立近代美術館 1/29~3/21
埼玉の展示は私も既に拝見してきましたが、そちらでは照明を駆使しての、より美しいインスタレーションが展開されていました。
なおここ3331内のアキバタマビは多摩美の運営するスペースです。卒業生プロデュースのグループ展やシンポジウムなどが開催されているとのことでした。
座談会「作家を目指す現在」:3月6日(日) 15:00~17:00
ギャラリートーク:3月12日(土) 15:00~17:00 ゲスト(野地耕一郎/練馬区美術館主任学芸員)
27日まで開催されています。
*開廊日時:水~月(火休) 11:00~19:00
「アキバタマビ 第7回展 act - 青秀祐、市川裕司、日比野拓史 - 」
2/26-3/27
多摩美術大学卒業の3名の若手作家がコラボレーションします。アキバタマビで開催中の「第7回展 act」へ行ってきました。
出品作家は以下の3名です。(3331WEBサイトより転載。)
青秀祐 (2004年 多摩美術大学絵画科日本画専攻卒業)
市川裕司 (2005年 多摩美術大学大学院日本画領域修了)
日比野拓史 (2008年 多摩美術大学大学院日本画専領域修了)
さて全て日本画専攻作家のグループ展ということで、いわゆるオーソドックスな絵画展などを想像していくと良い意味で意表を突かれるかもしれません。
市川裕司「archeocyte」(2010)
素材こそ絵画であるものの、そこにおける表現方法は三者三様です。設計図の描かれた和紙製の飛行機が怒濤のように連なる青秀祐はもちろん、市川裕司の大きな透明板を支持体に白い絵具の波がたゆたうインスタレーションは、旧教室跡の空間を巧みに演出していました。
青秀祐「1,000PAXINVASION」(2011)
しかし青秀祐の飛行機がこれだけまとめて出撃する光景だけでもかなり壮観です。近づいて見るとそれこそジェットエンジンの轟音が聞こえてくるかのような錯覚さえ覚えました。
なお青秀祐は現在、やや東京から離れますが、成田空港近くの航空科学博物館(千葉県山武郡芝山町)にて個展を開催中です。
青秀祐「TRIAL」@航空科学博物館 1/1~3/31
また市川裕司も北浦和の埼玉県立近代美術館の「ニュー・ヴィジョン・サイタマ4」に出品があります。
ニュー・ヴィジョン・サイタマ4@埼玉県立近代美術館 1/29~3/21
埼玉の展示は私も既に拝見してきましたが、そちらでは照明を駆使しての、より美しいインスタレーションが展開されていました。
なおここ3331内のアキバタマビは多摩美の運営するスペースです。卒業生プロデュースのグループ展やシンポジウムなどが開催されているとのことでした。
座談会「作家を目指す現在」:3月6日(日) 15:00~17:00
ギャラリートーク:3月12日(土) 15:00~17:00 ゲスト(野地耕一郎/練馬区美術館主任学芸員)
27日まで開催されています。
*開廊日時:水~月(火休) 11:00~19:00
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「高嶺格 とおくてよくみえない」 横浜美術館
横浜美術館(横浜市西区みなとみらい3-4-1)
「高嶺格 とおくてよくみえない」
1/21-3/20
意外にも関東圏では初めての大規模な個展だそうです。横浜美術館で開催中の「高嶺格 とおくてよくみえない」へ行ってきました。
作家、高嶺格のプロフィールについては同館WEBサイトをご参照下さい。
高嶺格(たかみね・ただす)@とおくてよくみえない 作家と作品
近年ではせんだいメディアテークの他、丸亀市猪熊弦一郎現代美術館などで個展がありました。
ともかく高嶺というと私の中では何とも捉えがたい、また謎めいた作家という印象がありましたが、今回の個展でそれは少し変化したかもしれません。
ちらしに記された言葉を借りれば、ここにあるのは確かに「不条理」で「思いもよらない」作品ばかりです。
お馴染みの巨大吹き抜けのエントランスには大きな布製の幕がゆらゆらと靡き、スピーカーからは奇妙なうめき声が終始ひっきりなしに発せられています。まさに摩訶不思議、一筋縄にはいきません。一体どのような展示が待ち構えているのかと、身を構えるようにして足を進めました。
とすると第一の「緑の部屋」(2011)と名付けられた暗がりの展示室には、落ち着いた緑色の壁面をバックに、それこそ草花や抽象文様をした、一見するところ絵画的でありまた美しい刺繍作品がずらりと並んでいます。その数は20点以上、まさに正統派名画展のような雰囲気をたたえて堂々と展示されていました。
もちろんこれらは高嶺が自身の手で作った刺繍というわけではありません。しばらく見ていると気がつきますが、これらは単なる既製の毛布などに過ぎません。高嶺はそれらに輝かしいスポットライトをあて、もっともらしいタイトルとキャプションをつけることで、さも有り難みのある作品を半ば偽装することに成功しました。
美術館の中にあるのは当然ながら美術作品であるということを、高嶺は半ば揶揄するかのようにして毛布を並べ立ています。それこそ普通の名画展などでよくみえなくてもみたつもりになっている自分のような人間は、結局その気になっているだけに過ぎないのではないかと問いただされているような気がしてなりませんでした。 (あえて種明かしをすると、この展示室は前回のドガ展をそのまま用いているそうです。)
横浜トリエンナーレで不思議と印象的だった鹿児島エスペラント風のインスタレーション、「A Big Blow-job」(2004/2011再制作)も、よくみえないのにも関わらずみた気にさせるような作品と言えるかもしれません。暗闇の中を音楽にのせて浮かび上がるのは、例えば「自明性」や「感覚」といった断片的な言葉の群れでした。
実際、これらのテキストは吉岡洋の「新・共通感覚論」を元にしているそうですが、インスタレーションの中ではその文脈は切り刻まれ、全体をみることは叶いません。
しばらくその文字を追っていると奇妙な浮遊感、また居心地の悪さを覚えるのが不思議でした。そしてひょっとするとそれは、例えばわからないことをわからないとして受け流した時に味わう自己嫌悪に似たような感覚でもあるかもしれません。
在日韓国人を通して国家や個人のアイデンティティーを問う「ベイビー・インサドン」(2004)や、東近美の「わたしいまめまいしたわ」展にも出ていた「God Bless America」(2002)など、非常に社会的な問題を捉えた作品を経由すると、最後にはまた謎めいた作品が控えています。それが展示タイトルの通りの新作映像インスタレーション、「とおくてよくみえない」(2011)でした。
スクリーン上に写し出されるのはシルエット状の人物たちです。彼ら彼女らは時に這いつくばり、一心不乱に床一面へ散らばったとある突起物を吸い続けています。その様子はまるで性的なエネルギーでも得ようとする宗教儀式のようです。エンドレスで続くその儀式は、新たに不穏でみえない何かを鑑賞者に投げかけていました。
しかしながらその作品のメッセージが、スクリーンを抜けたすぐ先にあるのも重要なポイントです。そこには高嶺の主張とともに、突起物の正体も明らかになっています。
「野性の法則」(2011)
先の社会的な作品をはじめ、冒頭の既存の美術の在り方を問う「緑の部屋」など、高嶺は表現方法こそ奇をてらったものであれ、そのメッセージは常に強く打ち出しています。そうした意味ではとても戦略的な展示と言えるのかもしれません。あえてこうした表現を美術館の枠の中で行うことの意味までは良く分かりませんでしたが、少なくとも彼の作品に頭を悩ませる体験は私にとってかなりスリリングでした。
「高嶺格 とおくてよくみえない/フィルムアート社」
展示の後、いつものように常設へ回りましたが、どこかおさまりの悪い、またいつもより落ち着かない不安感のようなものを感じてなりませんでした。これも高嶺の世界に触れたこと、もしくはその気にさせられたことの現れなのかもしれません。
高嶺格トークイベント
日時:3月19日(土)15:00~16:30
会場:横浜美術館レクチャーホール(定員240名、無料) *開場は開演の30分前
3月20日まで開催されています。
*開館日時:金~水(木休) 10:00~18:00(金曜は20:00まで開館、入場は閉館の30分前まで。)
「高嶺格 とおくてよくみえない」
1/21-3/20
意外にも関東圏では初めての大規模な個展だそうです。横浜美術館で開催中の「高嶺格 とおくてよくみえない」へ行ってきました。
作家、高嶺格のプロフィールについては同館WEBサイトをご参照下さい。
高嶺格(たかみね・ただす)@とおくてよくみえない 作家と作品
近年ではせんだいメディアテークの他、丸亀市猪熊弦一郎現代美術館などで個展がありました。
ともかく高嶺というと私の中では何とも捉えがたい、また謎めいた作家という印象がありましたが、今回の個展でそれは少し変化したかもしれません。
ちらしに記された言葉を借りれば、ここにあるのは確かに「不条理」で「思いもよらない」作品ばかりです。
お馴染みの巨大吹き抜けのエントランスには大きな布製の幕がゆらゆらと靡き、スピーカーからは奇妙なうめき声が終始ひっきりなしに発せられています。まさに摩訶不思議、一筋縄にはいきません。一体どのような展示が待ち構えているのかと、身を構えるようにして足を進めました。
とすると第一の「緑の部屋」(2011)と名付けられた暗がりの展示室には、落ち着いた緑色の壁面をバックに、それこそ草花や抽象文様をした、一見するところ絵画的でありまた美しい刺繍作品がずらりと並んでいます。その数は20点以上、まさに正統派名画展のような雰囲気をたたえて堂々と展示されていました。
もちろんこれらは高嶺が自身の手で作った刺繍というわけではありません。しばらく見ていると気がつきますが、これらは単なる既製の毛布などに過ぎません。高嶺はそれらに輝かしいスポットライトをあて、もっともらしいタイトルとキャプションをつけることで、さも有り難みのある作品を半ば偽装することに成功しました。
美術館の中にあるのは当然ながら美術作品であるということを、高嶺は半ば揶揄するかのようにして毛布を並べ立ています。それこそ普通の名画展などでよくみえなくてもみたつもりになっている自分のような人間は、結局その気になっているだけに過ぎないのではないかと問いただされているような気がしてなりませんでした。 (あえて種明かしをすると、この展示室は前回のドガ展をそのまま用いているそうです。)
横浜トリエンナーレで不思議と印象的だった鹿児島エスペラント風のインスタレーション、「A Big Blow-job」(2004/2011再制作)も、よくみえないのにも関わらずみた気にさせるような作品と言えるかもしれません。暗闇の中を音楽にのせて浮かび上がるのは、例えば「自明性」や「感覚」といった断片的な言葉の群れでした。
実際、これらのテキストは吉岡洋の「新・共通感覚論」を元にしているそうですが、インスタレーションの中ではその文脈は切り刻まれ、全体をみることは叶いません。
しばらくその文字を追っていると奇妙な浮遊感、また居心地の悪さを覚えるのが不思議でした。そしてひょっとするとそれは、例えばわからないことをわからないとして受け流した時に味わう自己嫌悪に似たような感覚でもあるかもしれません。
在日韓国人を通して国家や個人のアイデンティティーを問う「ベイビー・インサドン」(2004)や、東近美の「わたしいまめまいしたわ」展にも出ていた「God Bless America」(2002)など、非常に社会的な問題を捉えた作品を経由すると、最後にはまた謎めいた作品が控えています。それが展示タイトルの通りの新作映像インスタレーション、「とおくてよくみえない」(2011)でした。
スクリーン上に写し出されるのはシルエット状の人物たちです。彼ら彼女らは時に這いつくばり、一心不乱に床一面へ散らばったとある突起物を吸い続けています。その様子はまるで性的なエネルギーでも得ようとする宗教儀式のようです。エンドレスで続くその儀式は、新たに不穏でみえない何かを鑑賞者に投げかけていました。
しかしながらその作品のメッセージが、スクリーンを抜けたすぐ先にあるのも重要なポイントです。そこには高嶺の主張とともに、突起物の正体も明らかになっています。
「野性の法則」(2011)
先の社会的な作品をはじめ、冒頭の既存の美術の在り方を問う「緑の部屋」など、高嶺は表現方法こそ奇をてらったものであれ、そのメッセージは常に強く打ち出しています。そうした意味ではとても戦略的な展示と言えるのかもしれません。あえてこうした表現を美術館の枠の中で行うことの意味までは良く分かりませんでしたが、少なくとも彼の作品に頭を悩ませる体験は私にとってかなりスリリングでした。
「高嶺格 とおくてよくみえない/フィルムアート社」
展示の後、いつものように常設へ回りましたが、どこかおさまりの悪い、またいつもより落ち着かない不安感のようなものを感じてなりませんでした。これも高嶺の世界に触れたこと、もしくはその気にさせられたことの現れなのかもしれません。
高嶺格トークイベント
日時:3月19日(土)15:00~16:30
会場:横浜美術館レクチャーホール(定員240名、無料) *開場は開演の30分前
3月20日まで開催されています。
*開館日時:金~水(木休) 10:00~18:00(金曜は20:00まで開館、入場は閉館の30分前まで。)
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3月の展覧会・ギャラリーetc
月初め恒例のエントリです。今月中に見たい展示をリストアップしてみました。
展覧会
・「松伯美術館コレクション 上村松園 素描、下絵と本画」 川村記念美術館(~3/27)
#ギャラリートーク:上村淳之(松柏美術館館長、日本画家) 3/6 14:00~ 要入館料
#講演会:「松園芸術の原点」 鬼頭美奈子(松柏美術館学芸員) 3/19 14:00~ 要入館料。先着60名
・「発信//板橋//2011 けしきをいきる」 板橋区立美術館(~3/27)
#イベント:「音楽室」 出演:青木隼人・スッパマイクロパンチョップ、企画:はい島伸彦 3/13 14:00~ 要入場料。予約不要。
・「六本木アートナイト2011」 六本木ヒルズ/森美術館/東京ミッドタウン/サントリー美術館/国立新美術館他(3/26~27)
・「VOCA展2011」 上野の森美術館(3/14~3/30)
#シンポジウム:「隠された物語」 高階秀爾、酒井忠康、建畠晢、本江邦夫、光田由里、南嶌宏 3/14 17:15~ 要事前申込
・「曽根裕展 Perfect Moment」 東京オペラシティアートギャラリー(~3/27)
・「第30回 損保ジャパン美術財団選抜奨励展」 損保ジャパン東郷青児美術館(~4/3)
#ガイドスタッフによる対話型ギャラリートーク 3/24~27 14:00~ 自由参加
・「古鏡とひなかざり」 根津美術館(~4/6)
・「ボストン美術館 浮世絵名品展」 山種美術館(~4/17)
・「MOTアニュアル2011/田窪恭治展」 東京都現代美術館(~5/8)
#対談:田窪恭治×宮本亜門(演出家) 3/19 14:00~ 要観覧券
#ワークショップ:冨井大裕×近藤恵介 3/12 14:00~ 定員30名、無料、事前申込制。
・「生誕100年 岡本太郎展」 東京国立近代美術館(3/8~5/8)
・「千住の琳派 - 村越其栄・向栄父子の画業」 足立区立郷土博物館(3/19~5/8)
・「江戸の人物画 姿の美、力、奇」 府中市美術館(3/19~5/8)
#展示替えあり。前期:3/19~4/17 後期:4/19~5/8
・「シュルレアリスム展 - パリ、ポンピドゥセンター所蔵作品による」 国立新美術館(~5/9)
#講演会:「シュルレアリスムと美術」 巖谷國士(明治学院大学教授) 3/12 14:00~ 先着260名、要観覧券。
・「フェルメール地理学者とオランダ・フランドル絵画展」 Bunkamura ザ・ミュージアム(3/3~5/22)
・「美を結ぶ。美をひらく。1 夢に挑む コレクションの軌跡」 サントリー美術館(3/19~5/22)
#感謝企画:入場券を受付で購入の場合、同シリーズ展2~4のいずれか1展に使用可能な招待券をプレゼント。
・「五百羅漢 幕末の絵師 狩野一信」 江戸東京博物館(3/15~5/29)
・「ベルナール・ビュフェのまなざし フランスと日本」 ニューオータニ美術館(3/19~5/29)
・「フレンチ・ウィンドウ展 デュシャン賞にみるフランス現代美術の最前線」 森美術館(3/18~6/3)
・「アーティストファイル2011 現代の作家たち」 国立新美術館(3/16~6/6)
・「レンブラント 光の探求/闇の誘惑」 国立西洋美術館(3/12~6/12)
ギャラリー
・「冨井大裕個展」 ラディウム-レントゲンヴェルケ(3/4~3/26)
・「αM2011成層圏 プレイベント 下道基行リフォート・アーカイブ」 gallery αM(3/5~3/19)
・「第5回展覧会企画公募」 トーキョーワンダーサイト本郷(~3/27)
・「act:青秀祐、市川裕司、日比野拓史」 アキバタマビ21(~3/27)
・「第5回shiseido art egg 川辺ナホ」 資生堂ギャラリー(3/4~3/27)
・「川島小鳥展」 GALLERY MoMo両国(3/5~4/2)
・「田中偉一郎展 - 平和趣味」 Yuka Sasahara Gallery(3/5~4/9)
・「鴻池朋子展 - 隱れマウンテン逆登り MIZUMA ART GALLERY(3/9~4/9)
・「激凸展」 unseal contemporary(3/12~4/9)
まずは春の大型展対決に注目です。人気のフェルメールがやってくる文化村の「フェルメール地理学者とオランダ・フランドル絵画展」と、版画メインながらも世界各地の重要な作品で構成されるという回顧展、西美レンブラント展はそれぞれ大きな話題を集めるのではないでしょうか。
また直接展覧会の内容とは関係ないかもしれませんが、レンブラント展のツイッターのつぶやきが色々な意味で感心させられます。是非フォローしてみてください。
もう一つ、春の大型展で最もメディアの露出、また広告でも目につくのは東近美の岡本太郎展です。こちらは混雑も予想されるので早々に出かけたいと思います。
ともかく今年は抱一のメモリアルということで琳派イヤーではありますが、足立区の郷土博物館で興味深い展覧会が開催されます。
それがこの「千住の琳派 - 村越其栄・向栄父子の画業」(3/19~5/8)です。抱一、其一の系譜を継ぐという知られざる絵師、村越父子の作品が紹介されます。なお4月には琳派研究ではお馴染みの玉蟲氏の講演も予定されています。会場が千住ではなく亀有、もしくは綾瀬からのバス便必須という場所ではありますが、こちらも是非伺いたいと思います。
なお江戸関連の展示では真打ち府中の「江戸の人物画 姿の美、力、奇」(3/19~5/8)も当然ながら見逃せません。既に同館WEBサイトでは出品リストも公開されています。府中の江戸絵画展に外れはありません。前後期の両方に駆けつけたいです。
アニュアル、またVOCA2011と現代アートでも新たな展覧会が始まります。なおアニュアルに出品されている冨井大裕については、馬喰町のレントゲンでも個展があるようです。こちらもたのしみです。
拙ブログでも大推奨中の「五百羅漢 幕末の絵師 狩野一信」がいよいよ3月15日より江戸東京博物館で始まります。これについてはこれまでにもいくつか記事に致しました。そちらも是非ご覧ください。
「狩野一信 五百羅漢」展 記者発表会 (前編)
「狩野一信 五百羅漢」展 記者発表会 (後編)
「狩野一信 五百羅漢展」トークショー(シンポジウム)を開催!
六本木アートナイトも今月下旬に控えています。ともかく多様なイベントが僅か2日間の間に集中する短期決戦のお祭りです。出来れば拙ブログでも各企画を一度まとめたいと思います。
それでは今月も宜しくお願いします。
展覧会
・「松伯美術館コレクション 上村松園 素描、下絵と本画」 川村記念美術館(~3/27)
#ギャラリートーク:上村淳之(松柏美術館館長、日本画家) 3/6 14:00~ 要入館料
#講演会:「松園芸術の原点」 鬼頭美奈子(松柏美術館学芸員) 3/19 14:00~ 要入館料。先着60名
・「発信//板橋//2011 けしきをいきる」 板橋区立美術館(~3/27)
#イベント:「音楽室」 出演:青木隼人・スッパマイクロパンチョップ、企画:はい島伸彦 3/13 14:00~ 要入場料。予約不要。
・「六本木アートナイト2011」 六本木ヒルズ/森美術館/東京ミッドタウン/サントリー美術館/国立新美術館他(3/26~27)
・「VOCA展2011」 上野の森美術館(3/14~3/30)
#シンポジウム:「隠された物語」 高階秀爾、酒井忠康、建畠晢、本江邦夫、光田由里、南嶌宏 3/14 17:15~ 要事前申込
・「曽根裕展 Perfect Moment」 東京オペラシティアートギャラリー(~3/27)
・「第30回 損保ジャパン美術財団選抜奨励展」 損保ジャパン東郷青児美術館(~4/3)
#ガイドスタッフによる対話型ギャラリートーク 3/24~27 14:00~ 自由参加
・「古鏡とひなかざり」 根津美術館(~4/6)
・「ボストン美術館 浮世絵名品展」 山種美術館(~4/17)
・「MOTアニュアル2011/田窪恭治展」 東京都現代美術館(~5/8)
#対談:田窪恭治×宮本亜門(演出家) 3/19 14:00~ 要観覧券
#ワークショップ:冨井大裕×近藤恵介 3/12 14:00~ 定員30名、無料、事前申込制。
・「生誕100年 岡本太郎展」 東京国立近代美術館(3/8~5/8)
・「千住の琳派 - 村越其栄・向栄父子の画業」 足立区立郷土博物館(3/19~5/8)
・「江戸の人物画 姿の美、力、奇」 府中市美術館(3/19~5/8)
#展示替えあり。前期:3/19~4/17 後期:4/19~5/8
・「シュルレアリスム展 - パリ、ポンピドゥセンター所蔵作品による」 国立新美術館(~5/9)
#講演会:「シュルレアリスムと美術」 巖谷國士(明治学院大学教授) 3/12 14:00~ 先着260名、要観覧券。
・「フェルメール地理学者とオランダ・フランドル絵画展」 Bunkamura ザ・ミュージアム(3/3~5/22)
・「美を結ぶ。美をひらく。1 夢に挑む コレクションの軌跡」 サントリー美術館(3/19~5/22)
#感謝企画:入場券を受付で購入の場合、同シリーズ展2~4のいずれか1展に使用可能な招待券をプレゼント。
・「五百羅漢 幕末の絵師 狩野一信」 江戸東京博物館(3/15~5/29)
・「ベルナール・ビュフェのまなざし フランスと日本」 ニューオータニ美術館(3/19~5/29)
・「フレンチ・ウィンドウ展 デュシャン賞にみるフランス現代美術の最前線」 森美術館(3/18~6/3)
・「アーティストファイル2011 現代の作家たち」 国立新美術館(3/16~6/6)
・「レンブラント 光の探求/闇の誘惑」 国立西洋美術館(3/12~6/12)
ギャラリー
・「冨井大裕個展」 ラディウム-レントゲンヴェルケ(3/4~3/26)
・「αM2011成層圏 プレイベント 下道基行リフォート・アーカイブ」 gallery αM(3/5~3/19)
・「第5回展覧会企画公募」 トーキョーワンダーサイト本郷(~3/27)
・「act:青秀祐、市川裕司、日比野拓史」 アキバタマビ21(~3/27)
・「第5回shiseido art egg 川辺ナホ」 資生堂ギャラリー(3/4~3/27)
・「川島小鳥展」 GALLERY MoMo両国(3/5~4/2)
・「田中偉一郎展 - 平和趣味」 Yuka Sasahara Gallery(3/5~4/9)
・「鴻池朋子展 - 隱れマウンテン逆登り MIZUMA ART GALLERY(3/9~4/9)
・「激凸展」 unseal contemporary(3/12~4/9)
まずは春の大型展対決に注目です。人気のフェルメールがやってくる文化村の「フェルメール地理学者とオランダ・フランドル絵画展」と、版画メインながらも世界各地の重要な作品で構成されるという回顧展、西美レンブラント展はそれぞれ大きな話題を集めるのではないでしょうか。
また直接展覧会の内容とは関係ないかもしれませんが、レンブラント展のツイッターのつぶやきが色々な意味で感心させられます。是非フォローしてみてください。
もう一つ、春の大型展で最もメディアの露出、また広告でも目につくのは東近美の岡本太郎展です。こちらは混雑も予想されるので早々に出かけたいと思います。
ともかく今年は抱一のメモリアルということで琳派イヤーではありますが、足立区の郷土博物館で興味深い展覧会が開催されます。
それがこの「千住の琳派 - 村越其栄・向栄父子の画業」(3/19~5/8)です。抱一、其一の系譜を継ぐという知られざる絵師、村越父子の作品が紹介されます。なお4月には琳派研究ではお馴染みの玉蟲氏の講演も予定されています。会場が千住ではなく亀有、もしくは綾瀬からのバス便必須という場所ではありますが、こちらも是非伺いたいと思います。
なお江戸関連の展示では真打ち府中の「江戸の人物画 姿の美、力、奇」(3/19~5/8)も当然ながら見逃せません。既に同館WEBサイトでは出品リストも公開されています。府中の江戸絵画展に外れはありません。前後期の両方に駆けつけたいです。
アニュアル、またVOCA2011と現代アートでも新たな展覧会が始まります。なおアニュアルに出品されている冨井大裕については、馬喰町のレントゲンでも個展があるようです。こちらもたのしみです。
拙ブログでも大推奨中の「五百羅漢 幕末の絵師 狩野一信」がいよいよ3月15日より江戸東京博物館で始まります。これについてはこれまでにもいくつか記事に致しました。そちらも是非ご覧ください。
「狩野一信 五百羅漢」展 記者発表会 (前編)
「狩野一信 五百羅漢」展 記者発表会 (後編)
「狩野一信 五百羅漢展」トークショー(シンポジウム)を開催!
六本木アートナイトも今月下旬に控えています。ともかく多様なイベントが僅か2日間の間に集中する短期決戦のお祭りです。出来れば拙ブログでも各企画を一度まとめたいと思います。
それでは今月も宜しくお願いします。
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六本木ピラミデビルにギャラリー4軒がオープン
2月の第3週、G-Tokyoや五大美展など現代アート関連のイベントで露出機会の多かった六本木一帯でしたが、その最中の2月16~18日、ヒルズにも至近のピラミデビルに4つのギャラリーが移転オープンしました。少し遅れましたが、こちらでも簡単にご紹介したいと思います。
今回、新たにオープンしたのは以下のギャラリーです。
オオタファインアーツ(勝どき)
ワコウ・ワークス・オブ・アート(西新宿/初台)
禪フォトギャラリー(渋谷)
タカ・イシイギャラリー フォトグラフィー/フィルム
オオタファイン、ワコウワークス、禪フォトはそれぞれ勝どき、西新宿、また渋谷より移転し、タカ・イシイについては清澄の施設をそのままに、新たなスペースをオープンさせました。
場所はちょうど青山ブックセンター六本木店の裏手です。(地図)六本木交差点からヒルズ方向へ向かう裏道の中間地点でもあるので、よく前を通られる方も多いのではないでしょうか。
ピラミデビルは飲食店などの入居するいわゆる雑居ビルですが、その2階と3階に、ギャラリーがそれぞれに独立したスペースでオープンしています。敷地内部には屋根のない開放型の吹き抜けがあることもあり、例えば雨の際の移動に際しては多少濡れてしまうかもしれませんが、ともかく同じビルに入ったということで、とても便利になりました。
各ギャラリーではオープニングを飾る展示が開催されていますが、私として特に印象深かったのは、それぞれ写真展の禪フォトとタカ・イシイでした。前者では中国の作家の写真作品が、またタカ・イシイではアラーキーの若い頃の未発表作品が紹介されています。
禪フォトギャラリー:「CHINA FOTO」(~3/30)
タカ・イシイギャラリー フォト/フィルム:「荒木経惟個展 - 愛の劇場」(~3/26)
元々、六本木にあったオオタファインも再びこの地へ戻ってきました。勝どきの個性的なスペースはかなり好きでしたが、こちらでもまた意欲的な展覧会が拝見出来ればと思いました。
オオタファインアーツ:「New Address, New Works」(~4/1)
ワコウワークスではお馴染みのティルマンスやリヒターの新作が展示されています。こちらはスペースとして西新宿の時よりも広くなったかもしれません。また当然ながら西新宿の時よりも駅から格段に近くなりました。
ワコウ・ワークス・オブ・アート:「New Space, New Works」(~3/26)
しばらく前はそれこそレントゲンなど、多くのギャラリーがあった六本木でしたが、ここ数年、東京の東側にギャラリーが移転したこともあってか、しばらく寂しい時期が続いていました。これを契機にギャラリーの展示でも六本木に注目が集まるかもしれません。
なおこのピラミデビルのすぐ近くにはもう一軒、以前より六本木の地でも活動を続けているギャラリーがあります。それは言うまでもなくギャラリーモモです。両国の新スペースも定着した感がありますが、従来の六本木のスペースも健在です。こちらもお見逃しなきようご注意下さい。
GALLERY MoMo Roppongi:「分岐展 - 大久保如彌・大坂秩加・亀山恵・丸山恭世」(~3/19)
3月いっぱいはお披露目の展示が続きます。詳細は各ギャラリーのWEBサイトをご参照下さい。
今回、新たにオープンしたのは以下のギャラリーです。
オオタファインアーツ(勝どき)
ワコウ・ワークス・オブ・アート(西新宿/初台)
禪フォトギャラリー(渋谷)
タカ・イシイギャラリー フォトグラフィー/フィルム
オオタファイン、ワコウワークス、禪フォトはそれぞれ勝どき、西新宿、また渋谷より移転し、タカ・イシイについては清澄の施設をそのままに、新たなスペースをオープンさせました。
場所はちょうど青山ブックセンター六本木店の裏手です。(地図)六本木交差点からヒルズ方向へ向かう裏道の中間地点でもあるので、よく前を通られる方も多いのではないでしょうか。
ピラミデビルは飲食店などの入居するいわゆる雑居ビルですが、その2階と3階に、ギャラリーがそれぞれに独立したスペースでオープンしています。敷地内部には屋根のない開放型の吹き抜けがあることもあり、例えば雨の際の移動に際しては多少濡れてしまうかもしれませんが、ともかく同じビルに入ったということで、とても便利になりました。
各ギャラリーではオープニングを飾る展示が開催されていますが、私として特に印象深かったのは、それぞれ写真展の禪フォトとタカ・イシイでした。前者では中国の作家の写真作品が、またタカ・イシイではアラーキーの若い頃の未発表作品が紹介されています。
禪フォトギャラリー:「CHINA FOTO」(~3/30)
タカ・イシイギャラリー フォト/フィルム:「荒木経惟個展 - 愛の劇場」(~3/26)
元々、六本木にあったオオタファインも再びこの地へ戻ってきました。勝どきの個性的なスペースはかなり好きでしたが、こちらでもまた意欲的な展覧会が拝見出来ればと思いました。
オオタファインアーツ:「New Address, New Works」(~4/1)
ワコウワークスではお馴染みのティルマンスやリヒターの新作が展示されています。こちらはスペースとして西新宿の時よりも広くなったかもしれません。また当然ながら西新宿の時よりも駅から格段に近くなりました。
ワコウ・ワークス・オブ・アート:「New Space, New Works」(~3/26)
しばらく前はそれこそレントゲンなど、多くのギャラリーがあった六本木でしたが、ここ数年、東京の東側にギャラリーが移転したこともあってか、しばらく寂しい時期が続いていました。これを契機にギャラリーの展示でも六本木に注目が集まるかもしれません。
なおこのピラミデビルのすぐ近くにはもう一軒、以前より六本木の地でも活動を続けているギャラリーがあります。それは言うまでもなくギャラリーモモです。両国の新スペースも定着した感がありますが、従来の六本木のスペースも健在です。こちらもお見逃しなきようご注意下さい。
GALLERY MoMo Roppongi:「分岐展 - 大久保如彌・大坂秩加・亀山恵・丸山恭世」(~3/19)
3月いっぱいはお披露目の展示が続きます。詳細は各ギャラリーのWEBサイトをご参照下さい。
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