「森村泰昌展 ベラスケス頌:侍女たちは夜に甦る」 資生堂ギャラリー

資生堂ギャラリー
「森村泰昌展 ベラスケス頌:侍女たちは夜に甦る」 
9/28-12/25



資生堂ギャラリーで開催中の森村泰昌個展、「ベラスケス頌:侍女たちは夜に甦る」へ行ってきました。

古今東西、様々な絵画や著名人になりきり、全身でセルフポートレートを表現する森村泰昌。現在、原美術館では平成6年にレンブラントに扮した連作をリメイク。20年ぶりとなる「レンブラントの部屋」を再現しています。



一方でここ資生堂ギャラリーは新作の展示です。舞台はプラド美術館。画家は17世紀スペインのディエゴ・ベラスケス。作品は「ラス・メニーナス」でした。

さてまたいつものように森村が「ラス・メニーナス」の登場人物に扮しているわけですが、今回は単にそれだけではないのがポイント。何やら絵画中には誰にも扮していない森村の姿が見られるではありませんか。



と言うのも森村が「ラス・メニーナス」の再現に留まらず、絵画の解釈を踏まえ、新たな物語を構築しているのです。絵画を超えて美術館そのものも舞台となる。森村と画中の登場人物、そしてベラスケスと美術館。それらが入れ子と化して交錯しながら芝居が繰り広げられる。全8幕。ラストはクリスティならぬ「そしてだれもいなくなった」。ガランとした美術館の空間。絵画から登場人物がいなくなってしまいます。


「第八幕 そしてだれもいなくなった」

「ラス・メニーナス」の複雑な構成。王と王妃の姿の在処など、元々どこか謎掛け的な要素のある絵画ですが、その中に入り込むことでさらに世界がねじれる。誰が消え、誰が現れ、誰が取って代わられたのか。絵画の内と外が反転。半ば狐の化かしあい。惑わされます。

絵画から森村を通して観客までを引込むインスタレーション。作家のまた新たな一ページが切り開かれたような気がしました。



なおこれまで通り絵画中の個々の人物に扮した作品も展示されていました。

会場内は写真の撮影が可能です。12月25日まで開催されています。

「森村泰昌展 ベラスケス頌:侍女たちは夜に甦る」 資生堂ギャラリー
会期:9月28日(土)~12月25日(水)
休館:月曜日
時間:11:00~19:00(平日)/11:00~18:00(日・祝)
住所:中央区銀座8-8-3 東京銀座資生堂ビル地下1階
交通:東京メトロ銀座線・日比谷線・丸ノ内線銀座駅A2出口から徒歩4分。東京メトロ銀座線新橋駅3番出口から徒歩4分。
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