◆ちゃんとしゃべれ!治納由気(はるなゆき)◆

変な日本語、敬語もどき、崩れていく日本語、そして、正しい日本語とハムスター。

「634メートルに達したと見られています」って?

2012-05-27 09:19:12 | 気になる言葉、具体例
                                ・・・と思われる

 スタジオでしゃべっているのは、大抵はアナウンサーですが、現場でしゃべっているのはアナウンサーだったりディレクターだったり、画面に出る小さな文字を見逃さなければ分かりますが、私はずっと画面を見ているわけではないので分かりません。ディレクターは、しゃべるプロではありませんが、原稿を書くという仕事がありますから、日本語の力が必要であることは言うまでもありません。
 ついにスカイツリーがオープンしましたね。「モーニングバード」を見ていたとき、工事の過程を振り返る映像が出て、ヘリコプターからスカイツリーのてっぺんを見下ろしてリポートしているアナウンサーもしくはディレクターが「作業員が拍手しています。○時○分に高さ634メートルに達したと見られています」と言いましたが、これは「作業員が拍手しています。○時○分に高さ634メートルに達したと見られます」ですね。「見られています」ではなく、「見られます」です。
 でも、これが、やはりこの人だけではないのです。「20分ほどかかる距離と思われています」というのを聞いたことがあるのですが、これも「思われています」ではなく「思われます」です。このほかにも、アナウンサーが「思われます」と言うべきところで「思われています」と言うのを見たことがあります。
 例えば、受身表現「周りの人から見られる」「怖い人だと思われる」、それが現在のことなら「周りの人から見られている」「怖い人だと思われている」となりますが、「高さ634メートルに達したと見られます」「20分ほどかかる距離と思われます」は、受身ではなく自発です。思われる、感じられる、見られる、そうしようと思わなくても自然にそうなるという意味で、自分がそう見るということではなく、この状況を見たら分かるよね、ということです。
 文法を持ち出して説明すれば受身と自発の区別ができていないということですが、こんなものは、何がどうだと説明するまでもない、日本語をしゃべる日本人がなぜここで「見られています」「思われています」なのか理解できない、それほどおかしいですよ。そんな人が放送でしゃべるって、どうなの( ̄ ̄)?
コメント
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