声のする方へ。
前景の置きそこへ意識を向ける見せ方としては新鮮に見えたかな。
今作ではあまりこういう見せ方はあまりなかったので特に。
極度に大きく描かれる照明から画面の不安定さを印象付けられる。
今回は迂闊な場面っていうのが多くてそれが気になった。
ヴァイオレットに戦場で待つ客の話を聞かれたり、
戦場で恋人の写真を眺める男だったり、
行ったはいいけど寒冷地でヴァイオレットの準備が足りてなかったり。
それぞれがどこか足りない面が出ていて、
それが不幸を呼び込んでいるような。
ヴァイオレットが話を立ち聞きするところの構図から既に不安定だったので、
そういう部分を意識させるのにやっているのかなという感。
戦場と手紙というヴァイオレットにとって切っても切れない縁、
戦場でいつ敵に撃たれるかもしれない、
両手をふさいでしまいには手に持ったまま後ろに手を回す兵士、
戦場の兵士に思いを馳せてしまったのか、
6話ではコートを着ていたのに今回は何の準備もなしに向かうヴァイオレット。
ヴァイオレットがブローチを握るところもちょっと意味深に感じられる。
飛行郵便っていう。
如何にもパイロット風な感じだけど?
からの実はっていう。
今まで郵便社のマークなんかを見せてきていたので、
意外性のある感じだったなぁ、と。
主観と死。
そういえば建設中の鉄道の話が出てきますが、
8話でヴァイオレットが彷徨ってる場面で出たのがそれなんですかね。
兵士の見たヴァイオレット。
ヴァイオレットを空から舞い降りた救世主的な、天使的な、
見てる方としてはそういう風に見せたいのかなとか考えてしまうな。
個人的に気になったのは強調されるヴァイオレットの目。
ヴァイオレットの意思を印象付けるカットでもありますが、
兵士の主観と思しきカットからのシーンとしてみると、
なぜその瞳を見るのか、という風に思えてしまって。
ヴァイオレットにとってのエメラルド的なものを、
兵士はこの瞳に見たのかもしれないと思わされるなと。
今までの話でも見ていて度々感じましたが、
エメラルドが強調されるからこそ、
他の人の目をどのように感じているのか、そこに何を見ているか、
というのを思わず気にしてしまいます。
ここはそれが強く出たカットかなという風に感じたな、と。
死に際の手紙。
機械の手を綺麗だと伝えているのは初めてでしたね。
エアタイピングっていうのもヴァイオレットならではな書き方かも。
タイプライターを持って行ける場所ではないからこそという。
もしかしたら他にも手段があったのかもしれませんが、
ヴァイオレットの準備不足感というのがここにも出ているのかなと。
そもそも飛行機で行かないととか、
そこから始まってるのも準備不足な部分かもしれませんね。
考えてみたら、行き方を考えるシーンというのは今話が初めてでしたね。
逆位置。
横になっている兵士が死を覚悟してるからですかね。
逆さまで映すことで向かっている方向が違ってきていることを意識させられる。
度々死を扱ってきた作品ですが、
その死のどれとも違う形として扱っているような印象を受けるかな。
ヴァイオレットを見る兵士、かと思いきや既に目が見えていない。
手紙を書いているのか不安になっていますが、
ヴァイオレットの義手を動かす音が聞こえないからでしょうかね。
また兵士がヴァイオレットの瞳を意識していたことを念頭に置いてみると、
それが見えない構図っていうのがやや不安感を煽られている感じがするかな。
しかし両親への手紙では死を覚悟し、
恋人への手紙では生への思いを綴っているのが印象的ですね。
ヴァイオレットが思わず手を止めてしまうのも頷ける。
機械の手で手を握る。
献身的な一面や客に付き従うというのは、
ちょっと6話で揶揄されていた面を意識しちゃいますが、
目前の死を意識したら、
そんな揶揄を見ている側が意識するのもなんか違うか。
消された音、あいしてる。
このシーンでは逆さまの構図から脱却しているので、
彼が生きていることを強調するような感じがしたかな。
あいを口にすることで、彼は元の心へと戻ってきた感じというか。
ヴァイオレット自身の体験から、
死に際のあいしているを強く意識してしまうのかなという感。
兵士と少佐の姿がややダブる。
あいしてるを発した口と閉ざされた口。
それにヴァイオレットの口。
口と口のキスはできなかったことも意識しさせられますね。
タイムラプス。
今回は2カットにわけて見せるのが印象的でしたね。
日の出と共に墓を作り、
その墓が日の下で不変のもののように見せられるのが印象的かなと。
普段は星の動きや雲の動き、光の変化を空で意識させられますが、
影だけの日時計的な見せ方、大地を印象付ける感じがそうさせるのかな。
山から出る煙?で凄い久々に京アニのエフェクト見たぜという気分に。
狼煙で居場所を教えてたんですね。
考えてみたらヴァイオレットがどう帰るかっていう問題がありましたね。
目を背け、目元を揺らすヴァイオレットが印象的。
なぜ涙をこらえるのか、と。
遺族、恋人が感謝を伝えたことでヴァイオレットの心中が吐露される。
ちょっといい家族すぎやしないかとも思ったけど、
ヴァイオレットの中にある罪の意識に触れるには、癒すには、
こういうアプローチが必要だったのかな。
このような空の下にヴァイオレットを置くのは少佐の死を知った時以来かな。
ヴァイオレット自身が少佐の死という体験をしてきているので、
兵士として助けることができなかったことを謝罪している風なのが気になるなと。
自動人形ではなく、兵士としての心情を喚起させられてるのが不安というか。
もう、誰も死なせたくない。
それは自動人形の仕事ではない、というか。
人の死を前にして助けられなかった後悔や残されたものへの申し訳なさとか、
色々ある中で音にならないセリフでこう出てくるのが不安だな、と。
脚本:浦畑達彦
絵コンテ・演出:北之原孝將
作画監督:明見裕子 池田晶子 丸子達就
北之原回。
こういう死を扱うような冷めた話は北之原回だよなぁという感。
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