大牟田から鈍行列車で、約1時間半余 終点の八代駅へ到着した。
到着はしたもののどこへ行くあてもなく、一直線に駅傍の観光案内所にとびこんだ。
「あの~八代は初めてで、何もわからないのですが・・・2~3時間で
周れるところってありますか?」
「はぁ、そうですね。日帰りでしたらこんなコースもありますよ」と
案内所の女性。
だされたのが写真のパンフレット。
「じゃ これでいってきましょう。さて どこから出発ですか?」
「あ、ちょうどいま停車中のバスで行けますよ。
市役所前で降りてください。あ、急いでください! バスが出ます」
云われて慌てて乗り込んだ。
空いていた席に腰をおろしたらすぐに発車!
お隣の席には年配のお爺さんが帽子をかぶり、スーパーの袋を膝に
しっかり手摺をにぎってあった。
観光客には見えなかったので、私はおとなしくして窓の外をながめていた。
走りはじめて30分ほどしても、なかなか目的地の市役所前にバスは着かない。
おかしいな、駅から数分のところと聞いていたのに・・・
退屈なので横のおじいさんに質問してみた。
「私は大牟田市から八代観光にきたのですが、
駅の傍でみた巨大な工場はいったい何ですか?」
「あれはですな、日本製紙の八代工場です」
「大きな工場ですねぇ」
「昔は盛況でしたが、今は紙を使うことが少なくなったから・・・」
「そう、パソコンやスマホの時代ですものね。でも私は万年筆で手紙ですよ」
「わしも同じです。筆書きです・・・」とにっこり。
再びおじいさんにたずねてみた。
「あのう、市役所前はまだでしょうか?」
「それなら、まだだいぶ先ですな」
「え?駅前からすぐだと聞いていたのですが」
「このバスは、市内循環バスなので、そのうち着きますよ」
のんびりした返事がかえってきた。
なんと駅前から発車のこのバスは、右まわりと左回りのコースがあり
乗ったバスは、目的地とは反対方向へ先に回る循環バスだったのだ。
「どこまでいっても100円。一日中乗っていても100円です」とも。
結局 約1時間余バスに乗ったままで、八代市内近辺をぐるっとまわる
結果になった。
得したのか、時間のロスをしたのか?
わからないままにようやく目的地の市役所前に到着。
ブーゲンビリアの赤紫色の花にむかえられた、市内観光の第一歩だった。
ブーゲンビリア
(中国・北海市との友好の花)
帰りに一枝、さし芽にと思い頂いてきました
うまく活きてくれますように。