キンモクセイ(金木犀)の花が満開である。春は桜やハナミズキなど花の姿を見て楽しむものが多いが、キンモクセイの香りを嗅いで深まりゆく秋を感じることが多い。
金木犀の漢字表記には『犀』という動物が入っているが、これは樹皮が犀の足に似ているから『木犀』と付いたのだという。ヒイラギも金木犀に近い種類で花をつけると同じように香る。
今の時期には黄色い小さな花をたくさん付けるが、花が小さく、また葉が茂っているため、ビジュアルは地味である。しかし、甘い香りはかなり強く、道を歩いていると金木犀がどこにあるのかを思わず探してしまう。
この時期、雨が降るとアスファルトが一面オレンジ色になっていることがあるが、よく見るとキンモクセイの花が溢れているのである。
どうも芳香剤に使われたため、あまり良くない印象を持つ人がいるかもしれないが、中国では白ワインに漬けた酒(桂花陳酒)があるくらいその香りは好まれている。
家から駅まで歩く道すがら、キンモクセイの香りを何度となく嗅ぎながら歩く朝は毎日少しずつ寒くなり、また、夜明けも遅くなってきた。