三無主義

 ~ディスパレートな日々~   耶馬英彦

麻婆豆腐

2006年07月13日 | 食・レシピ
 こんばんは。休職中の耶馬英彦です。今日は料理の話を。
 会社を休み始めたのは3月の始めからですから休職も5ヶ月目に突入してしまっているわけで、どうも坐骨神経痛が治りそうもないし、この間は病院に行ったら担当医が変わっていて、その医者が言うには、少しよくなっているがと前置きされたあと、どうもこれまでは椎間板ヘルニアと腰椎分離症の併発だったといわれていたのが、さらに脊椎管狭窄症も発症している模様とのことで少なからずショックでした。会社の好意ということで休職という形(給料は出ないが健康保険は有効)にしてもらっていますが、だんだん心苦しくなってきました。しかし少し歩いたり立ち続けたりすると途端に腰からつま先にかけて痺れと痛みが襲ってきますので、この状態で復帰してもまた迷惑をかけるだけなのがわかりきっているだけに、なんともつらいところ。お金も減っていきますしね。
 ということでほとんど外食せずに自炊しています。最初の頃は調味料や調理器具などを揃えるのにやたらに金がかかって、もしかしたら外食のほうがかなり安いかも、と思っていましたが、揃ってしまえばあとはそのときどきの材料を少しだけ買えばよく、とても安上がりになることがわかりました。刺身やステーキなんかを食べたらそれは外食並みにかかってしまいますが、簡単な和食や中華、パスタや鍋なんかを作っている分にはかなり安く出来ます。
 たとえば麻婆豆腐を作るにしても、木綿豆腐と挽き肉とニラを買うだけで、豆板醤その他の調味料は大体揃っているので大体200円程度で出来ます。

 私の作り方は、
 ネギ、ニンニク、ショウガのみじん切りを炒めて
 そこに豆板醤と挽き肉を入れてさらに炒め
  お湯とガラスープの素、
  老酒
  甜麺醤
  搾菜
  豆鼓
  冬菜
  芽菜
  醤油
  砂糖
  中国醤油
  山椒
 を入れてから味を見て、
 塩味と辛味を調整したあと
 湯通しした角切りの木綿豆腐を入れてしばし煮込み
 片栗を打ってとろみをつけてから
 ニラとネギ油と胡麻ラー油を入れ
 ひとあおりしてから器に盛り
 粉山椒を振りかけて
 ハイ出来上がり。

 木綿豆腐じゃなくて絹豆腐を使う人もいらっしゃると思いますが、私は湯通しした木綿豆腐だと味が入りやすく、食べたときも「麻婆+豆腐の豆腐」ではなくて「麻婆豆腐の豆腐」を食べている感じがするので木綿のほうがいいかな、と思っています。
 ちなみに麻婆豆腐の名前の由来はたいていの人がご存知の通り「麻」(あばた顔のこと)のおばあさん(婆)が作った料理だから、となっています。この「麻」には痺れるという意味もあって、字で書くと一目瞭然ですが、麻痺の麻、麻薬の麻ですね。料理の場合は山椒の痺れる辛さの意味になります。唐辛子の辛さはラー油の「辣」で、山椒と唐辛子の両方が聞いた料理には「麻辣」(マーラー)という作曲家みたいな名前がつくことになります。
 さて、麻婆豆腐のような辛い料理はご存知カプサイシンのおかげで新陳代謝が活発になり汗をかくくらい体温を上昇させて体内の脂肪を燃焼させますが、同時に食欲増進効果もあるのでついつい、カプサイシンの働き以上に食べてしまうこともあります。それに辛さは味覚に働きかけてもともとの料理をよりおいしく感じさせる効果もありますからね。かつて道場六三郎さんが「料理の鉄人」というテレビ番組の中で「辛くすりゃ何でもうまいんだよ」と吐き捨てるように言っていました。たしかに和食の料理人は胡椒も山椒も唐辛子も使わない繊細な料理を苦心して作りますからね。それはそれで大したものですが、かといって辛い料理がズルをしているわけではありません。単に辛いだけではおいしくありませんから。
 麻婆豆腐の話に戻りますが、注目すべきは材料の中に搾菜と芽菜と冬菜という三種類の漬物を入れていること。漬物は最近スーパーで売られているものは漬物という名の味付け野菜ですが、本来は発酵食品のひとつで、胃腸が動物性脂肪に対して強くない日本人は漬物で乳酸菌を補給していました。たいていの場合体に良いものはおいしいもの、ということで漬物を三種類も入れることで単に辛いだけの麻婆豆腐ではなく、味に奥行きのある麻婆豆腐が出来ますよ。料理に興味のある方はぜひお試しください。