三無主義

 ~ディスパレートな日々~   耶馬英彦

処方箋の行方

2006年07月11日 | 健康・病気
 今日は朝の九時から整形外科で診察を受けました。起きてから病院に着くまで約1時間と短かったからなのかもしれませんが、まだ腰の痛みがはじまる前で、診察を受けている最中にはあまり痛みを感じなかったので医者にそう告げると「少しずつよくなっているみたいですね」と希望的なことを言うので、こちらもその気になっていましたが、帰りにツタヤに寄ってゲームを買い、薬局に処方箋を出したあとに生協で食料品を買って、それから帰宅してすぐに料理を作り始めたときに、ついに痛みがやってきました。間の悪いことにちょうどビーフシチューに入れるルウを作っているときだったので、色がよくなるまでには時間がかかるけれども火から離れるわけにいかないし、かといって火を強めたら小麦粉が焦げてしまうし、ということで我慢しつつルウを作りました。気を紛らすために、小麦粉を色がつくまで炒めるその色というのは狐色なんだけど小麦色ともいうのかな、ん? 小麦粉を小麦色に炒める? そもそも小麦粉というのにどうして小麦色ではないのか? あ、小麦と小麦粉は当然別なものだからか、などとくだらないことを考えつつ、ひたすら炒めて、そこにスープを注いで延ばしてからシチューの圧力鍋に戻してやっと一息つきました。
 薬局に処方箋を出して、いつもすぐには揃わないから後日取りに来ることにしたときに思ったことなんですが、病院からもらうこの処方箋というやつに関しても当然健康保険が使われているわけで、国の側から見ると7割負担ですよね。病院は社会保険庁に対して国庫負担額を請求することになりますが、処方箋の薬に対してはどの段階で請求を決定するのでしょうか? わかりにくい話ですがつまり、東京では(地方ではどうなのか知らないので)医者が処方箋を患者に渡し、患者はそれを自宅や仕事場の近くの「処方箋受付」の看板がある薬局に提出して薬をもらいます。代金は薬と引き換えにその薬局に支払います。ここで疑問なんですが、もし薬をもらわなかった場合、つまり処方箋を薬局に提出することなく期限(3、4日)が過ぎてしまった場合はどうなるんでしょうか? その場合もやはり病院が提出したとおりに薬品に係わる国庫負担額が病院に支払われるのか? もし支払われるとすれば誰も受け取っていない薬について社会保険庁から病院にその代金の7割が支払われることになり、それはおかしい。かといって、処方箋を受け取って薬を患者に渡した薬局が処方箋を根拠に国から7割を受け取るのも変ですよね。いや、要するにそうなると病院が儲からない気がするからです。たとえば今日の診察料は410円でしたが、それに対して薬の代金は1か月分で約4~5千円くらいかかります。薬のほうが国庫負担額が断然大きく、病院がその儲けを全額見知らぬ薬局に渡すはずがないし、「患者を薬漬けにして儲ける悪徳医者」の事件が説明できなくなるし、そのあたりのからくりがどうなっているのか、素人にはよくわかりません。
 医療費の問題だけではなくて医療そのものに関しても、もし患者が処方箋をなくしたりお金がなかったり単にいやだったりして薬を受け取っていない場合、医者は自分が処方したはずの薬を患者が飲んでいない、ということを知らないままですよね。それとも処方箋を受け付けた薬局が医者に連絡することになっているのかもしれませんが、もし連絡がなかった場合もそれに気づくかどうか、または気づいても薬局の人が連絡を忘れたかな、と思ってしまう場合もあるでしょう。どこの薬局に行くかは患者に任されているわけですから医者には確認のしようがない。そもそも次から次に患者が来る状態では、処方箋を渡した患者が薬を受け取ったかどうか確認するなんて物理的時間的に不可能でしょう。
 かといって病院の薬局ですべての患者の薬を賄うのもまた不可能だと思います。大きな病院では総合受付の事務員でさえ10人以上いて、しかも「現在の待ち人数」が平均50人だったりします。薬を病院で揃えるとなると大規模の薬局が必要になって、雇う薬剤師も大人数、それでも患者は大行列、ということになりますから、現在の「患者の近くの薬局」制度は病院の混雑緩和のためにも必要なんでしょう。しかし医者との連携が不十分という問題が生じてしまいます。
 健康保険料や厚生年金を黙って支払い続けている側としては、制度がしっかり機能しているのか知りたいところですが、社会保険庁ホームページを開いてみても、各種手続きだとか保険料の徴収対象を広げたことその他の言い訳だとかばかりが書かれていて、全体像がちっとも見えてきません。情報公開というか社会告知というか、このあたりをちゃんとしないと「百年安心できる年金制度」も少しも安心できませんよね。