三無主義

 ~ディスパレートな日々~   耶馬英彦

金玉に核兵器

2006年09月12日 | 政治・社会・会社

 人のことを許せない人が増えています。そして同じように、人の迷惑を顧みない人が増えています。早稲田実業の高校生を追い掛け回すマスコミもそうですが、それに踊らされて同じようにその子を追い回すアホ丸出しの女性たちは、いったい何を考えているのかわかりません。あの子が芸能人などの人気商売だったらまだ理解できます。人気商売だったら高校生であるなしにかかわらず、追いかけられることに耐えなければなりません。人気を得てそれでギャラが上がるのが人気商売ですから、人気があることを喜びこそすれ、迷惑に感じることはありません。しかしあの子はいくら全国高校野球で優勝した投手だからと言って、一般人です。追い掛け回されるのは、普通に迷惑です。なぜそんな簡単なことが理解できないのか、なぜマスコミが造った人気者に振り回されるのか、いつから日本人はそんな浅薄な精神構造になってしまったのか、まるで理解できません。理解できないけれども、非常に悲しい事実ではあります。
 小型であるなら日本も核兵器を所有できる、と主張するのは安部さんだけだと思っていましたが、あれほど小泉さんに反対していた平沼さんも同じくタカ派のようで、核兵器所有ぐらいのことを言ってくれるなら自民党に復党してもいいと、平沼さんに投票した有権者を見事に裏切る発言をしています。選挙で勝つためなら節操がなくても許されるのがこの国の政治家ですが、それはともかく、日本も核を所有できるなら、世界中のどの国も核を所有できることになる、という論理に気づいていないのでしょうか。非核三原則を世界中に公表し、いかなる兵力もこれを保持しないという憲法を持ち、そして世界で唯一の核兵器被爆国である日本が核を保有できるなら、保有できない国はどんな国でしょうか?
 もちろん、そんな国はありません。北朝鮮でもトンガ王国でもみんな、核兵器を持つことになります。二十年以上前だと思いますが、筒井康隆が『アフリカの爆弾』という小説を書いていて、アフリカの部族国家の王様が、うちも核兵器を持つ、どうせなら馬鹿でかいのがいいと、武器商人に注文し、届いたのが一発で地球が滅んでしまうほど巨大な核弾頭を持つ核爆弾で、輸送手段がないからみんなでそれを抱え上げて運ぶという、いわゆるスラップスティック(ドタバタ)小説で、笑いながら読んでいましたが、今はもう笑いごとではなくなっています。武器商人は相手の国がどんなイデオロギーだろうがどんな政治体制だろうがお構いなしで、とにかく儲かればいいわけですから、どこにでも武器を売ります。もちろん金玉を奥さんにしている金正日にも売ります。
 もしかすると安部さんや平沼さんは、日本は核兵器を所有できるけれども、北朝鮮は持っちゃいかん、という理屈が通用すると思っているのかもしれません。普通の人は追い掛け回しちゃいかんけれども、あの高校生は追い掛け回してもいいのだ、迷惑に感じるのはおかしいのだ、という女性たちの論理と同じ精神構造です。
 自分の迷惑は喉が裂けんばかりにギャーギャーと叫んで権利を主張しますが、他人の人権を蹂躙したり迷惑をかけたりするのは全く平気、そういう精神構造です。日本が女性化した、と言うとまた女性差別だと元国会議員のおばさんあたりが騒ぎそうですが、そういう意味ではなくて、雄々しいとか女々しいとかいう言い方をするなら、日本は戦後60年を経て、本当に女々しい国になってしまいました。