映画「宇宙人のあいつ」を観た。
ほのぼのとする家族コメディだ。長兄を演じたバナナマン日村がいい。昭和の両親の家父長主義を引きずってはいるものの、それを上回る優しさがある。安心してみていられるホームドラマである。
飯塚健監督は人の心の機微を描くのがとても上手で、これまでの作品では原作脚本監督の「FUNNY BUNNY」が一番の傑作だったが、重松清原作の「ステップ」も、山田孝之の名演もあって、かなりよかった。
どの作品にも食べるシーンが出てくるのは、飯塚監督が食べることを人間の生活の基本であるくらい重要だと考えているからだろう。本作品はさらに一歩踏み込んで、人間の生活は食べて出すことだという世界観を披露している。数多くの人が同じことを言っているが、いつ聞いても新しい真実だ。
兄妹それぞれに悩みや事情を抱えているが、帰宅してまかないを食べれば、元気指数が回復する。そのあたりも飯塚監督の世界観が出ていると思う。最初に出たまかないは、カオマンガイ(タイ料理)とナシゴレン(インドネシア料理)の組み合わせである。焼肉屋(韓国料理)がこのメニューを出すところに、食べることはワールドワイドの幸せなのだという思いがあるのだろう。よく伝わってきた。