古森義久氏のブログによると、北朝鮮による不法な日本人拉致に対して、米政府へ協力を要請するために、昨日から日本国民の救出を求める「家族会」「救う会」「拉致議連」の合同訪米団がワシントンで働きかけを行っているが、こともあろうに東アジア・太平洋担当のキャンベル国務次官補から、拉致と親権をめぐる問題を一緒くたにする発言があった。米国人との結婚が破たんした日本人妻が、無断で子供を連れて日本に帰国することを取り上げ、北朝鮮のテロ行為と同列に論じたのである。これに対して「家族会」の増元照明事務局長は「夫婦間の親権の問題と、北朝鮮のテロ行為は別ではないか」と激しく抗議したといわれる。会津人でズーズー弁の国際法学者であった大平善梧は、昭和35年の日米安保条約の改訂にあたって、岸信介首相を断固支持し孤軍奮闘したが、それでも、国際社会でも通用する道義を主張したのだった。大平は「判断はイデオロギーに捕らわれずに、是々非々で、世界の良心となり、とくに国連総会などにおいては、健全な浮動票を構成すべきだと思う」(『日本の安全保障と国際法』)と書いたのである。今回の米政府の仕打ちは、日本としては、片思いの相手から邪険に扱われたようなものだが、臆することなく、すぐに反論した増元事務局長は立派だと思う。いくら同盟国であろうとも、道義や正義を無視した意見には、服する必要などないからだ。
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