どんな勇ましいことを言っても、所詮はテレビ芸人なのである。橋下徹があれだけ脱原発を主張していたのに、裏では経産省や民主党関係者と接触し、落しどころを探していた。会った日付までも特定されているわけだから、正直に橋下も語るべきだろう。橋下は大阪府知事の当選したときには、自民党の推薦を受けていた。しかし、政権交代時の総選挙では、民主党を評価して、世の中の流れに迎合した。原発の再稼動についても、その手続きを問題にしているのであって、絶対反対ではない。いくら何でも、政治的な著書を一冊も著せない男が、どうして第二のヒットラーになろう。広松渉は全体主義思想の中枢的な論点として「決して独裁的な指導者の存在や彼と被指導者との一体性といったところに存するのではなく、また、領土拡大後のナチスが弁じた通り、必ずしも民族排外主義に存するのではない。ヒットラー一派はユダヤ民族をスケー・ゴートに仕立てたが、これとて全体主義思想の論理必然的な契機ではなく、そもそも人種主義的な民族有機体論ですら本質必然的な論点をなしていない。事は一に懸かって国家共同体なるものを物神的に形象化し、全国民にそれへの帰依的帰入を求める点にある」(「全体主義イデオロギーの陥穽」)と書いている。日本という国家への忠誠を全国民に強制するには、強固な思想がなくてはならないが、橋下にとっては、それはゴッコの世界なのである。どうして世間が持ち上げるのか、私には理解できない。ヒットラーと同列に扱うなどというのは、買い被りでしかないからだ。
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