日本に独裁者が出ることはまずない。橋下徹を独裁者呼ばわりするのも、大人気ない話である。橋下には一貫したイデオロギーがない。政治家橋下徹というのは、マスコミ、それもテレビがつくりあげた虚像でしかない。ヒットラーなどは「雇用の場を確保する」という一大スローガンで、失業者の心をつかんだ。さらに、政治というのは「敵は殺せ」ということであり、個人的な恨みはなくても、相手を抹殺することなのである。そこまでの信念が橋下にはない。国家や国旗に敬意を表すると言っても、それは橋下から見て、カッコいいからだろう。行き場を失った無定形な大衆が、全体主義を容認するとしても、その前提としては、国家共同体への呼びかけがなければならないが、そんなことを話題にしたこともない。テレビ芸人特有の口から出まかせでは、誰も付いてこないのである。H・マウ、H・クラウスニックは『ナチスの時代』(内山敏訳)で「彼らはすでに大衆の感情や気分を一定の方向にみちびき、自発性の欠けているところでは、これをつくり出す助力を与えるすべを心得ていたのである」と書いている。橋下にそこまでの芸当ができるわけがない。日本を背負う偉大な政治家になりたいのであれば、大言壮語をしないで、まずは実績を積み重ねるべきだ。そうでなければ、橋下もまた、横山ノックと同じ運命を辿ることになるだろう。マスコミの寵児であったのが、ある日突然、全国民の物笑いの種になってしまったのだから、他人事ではないはずだ。
←もうすぐ橋下の化けの皮がはがれると思う方はクリックを