おはようございます。アドラー心理学に基づく勇気づけの研修(外部研修も)とカウンセリングを行う ヒューマン・ギルド の岩井俊憲です。
『叱らない、ほめない、命じない。- あたらしいリーダー論』(岸見一郎 (著)・小野田鶴 (編集)、日経BP、1.980円)を読みました。
第1部 「自信が持てない『心若きリーダー』との対話」の部分を読んでいてまるで『嫌われる勇気』(ダイヤモンド社)のビジネス版のような気がしました。
課長に昇進したけど不安な「わたし」が、哲学者の「先生」との対話を通して、戸惑いながらも成長していく姿を追っています。
ただ、残念ながら『嫌われる勇気』のような迫力は感じられませんでした。
編集担当の小野田鶴さんがまるで「青年」のような枠割りを演じているのですが、インパクトが弱い感じがしました。
岸見さんがあまりお得意でないビジネス分野だからかもしれません。
「競争は精神的な健康を損ねる」とアドラーが言っていると岸見さんは語っていますが、これは「過度の」競争を言うのであって、ビジネス分野だけでなく、アドラーが重んじる人類の進化のためには建設的な競争は不可欠です。
このことは「生産性」を巡る議論も同様です。
うちなみに、第1部「自信が持てない『心若きリーダー』との対話」の部分は次のようです。
◆ リーダーの悩み、こう解決します!
◇ 責任感がない若手に「ありがとう」をいおう
◇ リーダーとして自信が持てないことに、問題はない
◇ 同じ失敗を繰り返す人に対し、存在を承認する
◇ 頑固なベテランでも、未来の可能性に注目する
◇ 上司であることがつらいとき、何が幸福かを考え直す
『嫌われる勇気』であまり語られていなかった「共同の課題」のゴールとしての「共同の課題」についてしっかりと触れているについては好感を持ちました。
第2部の「社会を変えたい『起業家』とのリーダーシップをめぐる対話」は、それぞれ個性的な経営者との対話部分だけに惹きつける部分がありました。
私個人は、 ユーグレナ・出雲充社長 との対話部分が面白かったです。
◆ 気鋭の起業家3人との対話を収録
◇ サイボウズ・青野慶久社長 「本気で死にたかった社長就任1年目に学びを得た」
◇ ユーグレナ・出雲充社長 「我慢しても、部下に怒りが伝わってしまうのです」
◇ 面白法人カヤック・柳澤大輔CEO 「パワハラ組織のほうが案外、強いのではないですか?」
この本を読み終えて「私に経営者ともっともっと対話をさせてください」と言いたくなりました。
◆ご関心のある方は是非、タナベコンサルティングの若松 孝彦社長と私とのTCG REVIEWの「百年経営対談」をお読みください。
アドラー心理学のポジティブ思考を経営に生かす(2019.1031)
https://review.tanabeconsulting.co.jp/
interview/100fcc/17476/
若松社長もアドラー心理学に造詣の深い人だけに経営のリアルな領域に踏み込んだ話が展開されています。
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