おはようございます。アドラー心理学に基づく勇気づけの研修(外部研修も)とカウンセリングを行う ヒューマン・ギルド の岩井俊憲です。
中村天風師の語り口のままに、本に書いてあったことを書きます。
ドイツのケーニヒスブルグの貧しい、馬の蹄鉄打ちの息子として生まれ、やがて大哲学者になったイマヌエル・カントは、背中に瘤、脈がしょっちゅう120、30、ゼイゼイ喘息で今にも死にそうでした。
17歳の時、巡回診察の町の医者にこう言われました。
「気の毒だな。苦しかろう、辛かろう。しかし、気の毒だなというのは、体を見ただけのことだよ。心はどうでもないだろう。そして、どうだい、苦しい、辛い、と言ったところで、治るものじゃないだろう。苦しい、辛い、言ったって何もならない。かえって、おっかさん、おとっつぁんが、心配するのはわかっているだろ。お前は、丈夫な心のおかげで、死なずに生きているじゃないか。それを喜びと感謝へ変えていったらどうだね。そうすれば、苦しい、辛いもだいぶ軽くなるよ。できるだろう」
それまでは、寝ても覚めても、苦しかった、辛かった、そればかりが口癖だった。嬉しいとか有難いと、冗談にも言ったことがない。
考えても、治らないことを考えるのは止めるんだ。嬉しいとか有難いと、言ってどうなるか、わからないが、言っても損はないから言ってみよう。
嬉しいとか有難いと言ってる間は、苦しい、痛いは言わない。3日ばかり経つうちに、ひらめいた。苦しい、辛いと言わないと、こういう気持ちでいるだけで、今までとは、いくらか違って来た。当分は死なないだろう。それだけではつまらない、死んだのと同じだ。
そうだ。心と体とどっちが本当の自分なのか、これを一つ考えてみよう。
この言葉を契機に、カントは自分の苦しみを抱えたまま、嘆き悲しむ生き方と決別し、大哲学者になったのです。
私たちの身の回りにも、いろいろな身体的・心理的要因を口実にして過去の原因から決別できない人がいます。
こんな人たちに私は言いたいです。
「目的論の、現在から未来を創造しようとする世界に住み直しませんか? 一時的にはしんどくても、長期的にはあなたに充実した生き方をもたらしてくれますよ」と。
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