ヒューマン・ギルドの岩井俊憲です。
日頃とは違った時間に、会社でベートーヴェンの弦楽四重奏曲「ラズモフスキー」シリーズを聴きながら記事を書いています。
精神科医の香山リカの最新著『しがみつかない生き方』(幻冬舎新書)は、副題が「『ふつうの幸せ』を手に入れる10のルール」となっていて、
「恋愛にすべてを捧げない」
「自慢・自己PRをしない」
などの10のルールの最後に
「勝間和代を目指さない」
と、経済評論家・公認会計士の勝間和代を例に
「本当にマスコミ二に登場している成功者のような人生を、すべての人が歩む必要があるのだろうか」
と結んでいます。
人の生き方を真似るよりも自分なりの生き方 ― 言い方を変えれば、ナンバー1よりオンリー1の生き方 ― を勧めている点で好感が持てます。
ところで、このことでさらに一段と取材の増えた勝間和代、
9月19日のMSN産経ニュースの【人生戦略の立て方】「ガンバリズムからの脱却」
で“勝間和代的な生き方”は「努力至上主義」「自己責任徹底主義」でもない、と反論しています。
「もっとパワフルな人かと思っていたら、意外とひょうひょうとしていますね」とか、「意外と努力好きじゃないのですね」と、よほど、努力の人と思われている彼女、「自分の努力だけでなんとかなる」と思うことは、周りが見えなくなってしまい、かえって道を誤る可能性が高いと考えている人のようで、次のように語っています。
それでは何がポイントになるのでしょうか。重要なことは、戦略という視点からとらえたときに、私たちの「やる気」と「希望」をどこにうまく配分するかということです。すなわち、努力至上主義も自己責任主義も否定し、なるべく努力しなくていい仕組みと、なるべく自分がワクワクできる領域を探す、ということなのです。
「やる気」は有限です。24時間、やる気を保ち続けられる人はいません。せいぜい、1日数時間がいいところでしょう。だからこそ、いわゆるガンバリズムは危険で、自分の生活習慣の中でやる気がなくても適切な行動ができるような、「無理なく続けられる」仕組みの構築が重要なのです。とにかく、やる気には決して頼らないことです。
そして、さらに、「希望」も重要な要素です。すわなち、自分が毎日期待に満ちて、ワクワクと過ごせるところがどこか、ということを考え抜く必要があるのです。そういう分野であれば、たとえ短期間に成果が出なくても、そこに時間を使うプロセスそのものを楽しむことができます。
さらに、もう一つ大事なことは、やる気を出すことに疲れた、努力することに疲れた、と自分で気づいたのなら、すぐさま、いまの資源配分を見直すことです。疲れるほど努力してしまうのは、それは資源配分のやり方や場所、あるいは量が間違っているのです。基本的には、自分が得意で、ワクワクして、そして、結果を周りが評価してくれるところを見つけるプロセスになります。
「勝間和代的な生き方」は、どうやら「努力至上主義」や「自己責任徹底主義」ではなく、「資源重点配分主義」の人生戦略らしい。
ちなみに、勝間和代、香山リカ、どちらともお友だちになりたくない私。
<お目休めコーナー> 横浜の山下公園③