おはようございます。アドラー心理学に基づく勇気づけの研修(法人研修も)とカウンセリングを行う岩井俊憲です。
私がアドラー派のカウンセリングでもっとも大切だと捉えている4つのキーワードがあります。
ルドルフ・ドライカースの「カウンセリング的人間関係」です。
「相互尊敬」「相互信頼」「協力」「目標の一致」からなる、カウンセリングにおいて心がけなければならない態度です。
このことについて初めて書かれた本は、ルドルフ・ドライカースの "Psychodynamics, Psychotherapy and Counseling"という本で、そこには ”Therapeutic relationship”(治療的関係)として書かれています。
その本の中では、「治療抵抗が生じるのは、セラピストと患者の間の目標の一致がされていないとき」だという記述もあります。
12月24日(月・祝)に カウンセリング演習 が行われたとき、クライアントが「イエス・バット」を繰り返す治療抵抗に出合って、カウンセリングなかなか前進しないことがありました。
その時、私は「カウンセリング的人間関係」の「目標の一致」とそれを支える「相互尊敬」「相互信頼」「協力」についてコメントしました。
コメントしながら、「道に迷った人を目的地にどうガイドするか」のたとえを使ったW.B.ウルフの『どうすれば幸福になれるか 上・下』(一光社)の中の第10章の「失敗のパターン―神経症について」のところで神経症にかかった人を治そうとするとき、援助者としてその人に道を教え、元の道に戻すための10の段階を思い出しました。
カウンセリング/セラピーに協力的に関わる人は、この文章をクライエント/患者を旅人(外国人)にたとえた「比喩」として読んでいただくととても参考になります。
1.われわれの善意を示して、その外国人(注:道に迷った人のこと)との間に信頼関係を作る。
2.彼の現在の位置をはっきりと教える(地図上で彼のいる位置を示してあげる)。
3.彼のやり方の間違った点を分析する(ニューヨークから彼のコースをたどって、旅の最初の頃の間違いを説明する)。
4.旅を続けられるという自信を取り戻させる(彼の間違いは致命的ではないということと、ほんの少しの時間と努力を無駄にしただけだということを示す)。
5.旅人と、彼が迷い込んだ見知らぬ土地の人とを和解させ、旅の途中でまた見知らぬ人に出会ったら、上手に適応するように勇気づける(相手が敵意があるように見えたのは、その国の習慣を彼自身が知らなかったためだと説明する)。
6.目的地までの新しい道順の計画を立てる(目的地が彼の力、あるいは車以上の能力であるなら、目的地を変更することも必要である)。
7.もっと独立心を持ち、間違いを繰り返さないために、地図の読み方を教える。
8.それまでの失敗に気落ちせずに、旅を続けるように勇気づける。
9.同じような目的地に向かう他の旅行者と一緒に旅をするように勇気づける。
10.脇道に入れば、どのような美しいものを見ることができるかを教え、彼がそこにあるとは気づかなかった美しい場所を訪れるように勇気づける(芸術的、創造的能力を伸ばし視野を広める)。
この10段階は、そのままクライエント/患者とカウンセラー/セラピストとの協力関係にそのまま置き換えられます。
特に大切なのは、信頼関係を確保し、現在地を明らかにすることが最初の2つになり、その上で「勇気づけ」を加えながら「目的地までの新しい道順の計画を立てる」(いわゆる「目標の一致」)のプロセスであることです。
このところ私は、アドラー心理学のカウンセリング/セラピーの奥行きの深さをしみじみと味わっています。
◆アドラー心理学に基づくカウンセラー志す人は こちら をご参照ください。
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