おはようございます。ヒューマン・ギルドの岩井俊憲です。
勇気づけとつながる「カミさんのフィードバック」ネタを、私のではなく、ヤマ場を超え、閉会式間近な北京オリンピックの話から。
男子4百メートルリレー決勝でラストランを軽やかに駆け抜けた朝原宣治選手(36歳)のカミさんは、元シンクロナイズドスイミング銅メダリスト、奥野史子さん。
「最後の走りを近くで見守りたい」。史子さんは急遽、北京に行くことを決め、熱気渦巻く「鳥の巣」(国家体育場)で5歳の長女とともにトラックを見つめていました。
朝原選手は、選手生命が長く、アトランタ五輪に出場して百メートルで準決勝進出を果たし、その後も、シドニー、アテネも連続出場しました。
ところが、北京オリンピックまで残り1年となった昨年夏の世界陸上大阪大会後、朝原選手は一度、引退を決めました。
しかし、考え抜いた末に翻意し、北京への挑戦を決断したのです。
その背後には、カミさんのフィードバックがありました。
「続けようと思うだけど、どう?」と朝原選手。
「そう言うと思った。ぼろぼろになるまでやったらいいやん」
競技が優先となりがちな生活には「夫であり、父親であることを忘れないで」と注文をつけるのも忘れませんでした。
カミさんのフィードバックにより朝原選手は引退を撤回、北京オリンピックにも出場。男子4百メートルリレーのアンカーとして3番目のゴールを駆け抜けました。見事銅メダル。
その姿を見届ける史子さんの瞳は濡れていました。
カミさんのフィードバックは、朝原選手にとっても最も信頼性が高かったのです。
(注)この話のネタは、8月23日「MSN産経ニュース」(『朝原を支えた妻、奥野史子さんは「手が震えて大泣き」 北京で雄姿焼付け』)を参考にしました。