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見もの・読みもの日記

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みほとけを感じる民藝/美の法門(日本民藝館)

2016-02-18 23:41:03 | 行ったもの(美術館・見仏)
日本民藝館 『美の法門-柳宗悦の美思想』(2016年1月9日~3月21日)

 日本民藝館は、春が近づくと行ってみたくなる美術館。この春の展覧会は、同館の創設者である柳宗悦(やなぎむねよし、1889-1961)の美思想に焦点をあてる。もともと宗教哲学者として世に出た柳は、美と宗教的真理に深い関係を見続けた。日本民藝館の所蔵品は「弥陀の本願の実証品でもある」とパンフレットの解説にある。

 さて、玄関を入ると、すでに選りすぐりの名品の数々が視界に入って、これは気合の入った展覧会だなと思ったが、あまりまわりを見ないようにして、2階の大展示室に向かう。入口に立つと、展示室の中央の床に8つの島のような展示台が設けられていて、壺や石仏や木喰仏や漢代の明器の厨子や、足の高い鼎のような釜(陣中釜)、弥生時代の丹塗りの甕(極端に裾つぼまり)などが並んでいる。ふらふらとその間を縫うように進んでいくと、奥の壁に机と本棚が並んでいた。宗悦の書斎机は黒田辰秋作。靴べらみたいな大きなペーパーナイフ、湯のみにピッチャー。水色に柳文様のペン立て(富本憲吉作)がかわいくて欲しい。ふと振り返ると、くぐってきた入口の上に「美の法門」という書(美は変わった異体字)が貼られていた。

 展示物は、どこを見ても調和がとれていたが、実は作られた時代も地域もバラバラなのが面白かった。アジア、ヨーロッパ、中南米など。私の大好きな「つきしま物語」と「浦島物語」、それから朝鮮絵画の瀟湘八景(ゆるいw)も出ていた。2階の大階段裏の展示ケースは書蹟(軸)と書籍の特集。海印寺版本の維摩経もあり、上下の余白が広くて、版形が大きいのは朝鮮本らしいと思った。大津絵など民間の宗教画を特集した中に、中国・元代の阿弥陀如来像があって、四角い顔とがっしりした太い首が、楽山大仏を思い出させた。2階は他に「朝鮮時代の諸工芸」「河井寛次郎作品」「秀衡椀と漆絵」の特集。河井寛次郎作品は青みがかったピンク色の釉薬がとても好き。

 1階に下り、あらためて玄関ホールの展示を見る。大階段の上には、大きな種字(梵字)の軸が左右に掛かっていて、何だか分からなかったのだが、メモしてきたものを見ると、文殊と普賢をあらわす種字ではないかと思う。違っているかもしれない。大階段前の展示ケースには、各種の信仰の対象。木彫の女神像、獅子(どちらも室町時代)、素朴な恵比須大黒、石の羅漢。オシラ様はちょっと怖い。まとめて見た記憶のないコレクションで、興味深かった。また、階段裏のトイレにまわる通路に、石彫の薬師如来像(薬壺?のようなものを持っている)があって、異様に頭でっかちのプロポーションが、兵庫・一乗寺の観音菩薩立像に似ていた。他に「日本の陶磁器」「西洋の民芸」「日本の染織」。西洋の民芸の部屋に18世紀の教会のベンチ(ほぼ丸太に足をつけただけのもの)があって、座ってみたい強い誘惑にかられたが、展示品だった。

 庭の紅梅・白梅も咲きそろって、春を迎える準備万端。昨年の今頃は札幌で、まだ雪に埋もれていた。久しぶりの本州の春は、風情があっていいなあ。

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