眠れない夜の言葉遊び

折句、短歌、言葉遊び、アクロスティック、夢小説

翻訳家を呼んで

2020-01-15 15:04:33 | ポトフのゆ
  洗剤をつけても鈍感な戦艦はまだ航海を続けて、町中の保安官たちを震撼させたものだった。全般的にモンハンの権威を歌う者たちは、新人を含めてみな乾パンを心底愛していたし、円盤投げにおいては、チンパンジーの鍵盤に合わせて斬新かつ献身的な方針を貫くばかりか、全面的にボンカレー好きの審判の機転を端的に信頼していたのである。
 
「ご案内いたします」
 戦艦の中には、剣も銃剣もない。とんでもない広がりの本棚の中には、漫画ばかりがありそのすべてがフランス語で書かれているのだった。
「翻訳家を呼んでください」
「今は戦後ではない」
「でも、前後ということで言うなら後ではないですか?」
「だったら、今は食後かね?」
 と館長の本田が言った。
「食間です」
 とアランは答えた。
 
「ご案内いたします」
 再び案内人が言った。
「いやだ。連れて行かないでくれ。また来たと思われたくはない」
「そんなことは誰も思いません。100回、1000回、足を運んだとしても、そんな風には誰も思いません。なぜなら、あなたはそれくらい平凡な、どこにでもいるような平凡な存在にすぎないのだから」
「どこか、別のところに案内してくれ」
「この道をまっすぐ、2つ目の柱を右に曲がり、3本目の木の下で空を見上げてください。そこからちょうど星が見えます」
 
「ランランラン、ランランラン」
「どうして歌っているのだ?」
「いいえ、私は歌っているの」
「何か楽しいことがあったの?」
「いいえ、喧嘩をしたのよ」
 
 私たちは元々は1つの木であって1つの物語であった。天使の濁点レミントンが訪れるまでは。漠然とした不安が延々と続いたかと思えば、感情の上を音階が滑り落ちていくように、計算された天体の可憐な曲線が無意識の内に侵食を始めており、気がつけば私たちは月の傍の雲であり、海の傍の波であった。「私も一緒につれていって」声または懇願は、天の中の推論に溶けてしまった。歳月はランランと流れ、相棒を失った文脈の中、挑戦と巡礼の時間が流れる。ある時、1人の凡人が現れ、純粋論理によって再現は可能だと教えてくれた。それには自身が変容を待つことなく専念することだと言った。私は凡人の言葉を信頼する他はなかった。歳月はランランと流れた。
 
「ランランラン、ランランラン」
「まだ流れている途中なの?」
「そう。凡人が私の中のもう1つの中に専念してくれたら、私は、私たちは再現できるのに……」
「宇宙は広いね」
「そう。全米は宇宙のほんの片田舎なんだよ!」
 アランは星を見上げた。それから再び、翻訳家を探して歩き始めた。
 
 
 
 
 
 
 
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明日のサンド

2020-01-15 07:29:00 | 短い話、短い歌
 とてもよい卵が届いた。せっかくの卵だから、みんなで炊き立てのご飯と……。ご飯? 「パンに挟んで」唯一の反対意見は風にかき消されてしまった。長いものには巻かれなければ。僕は悔しさに耐えた。さあ、ご飯だ、ご飯だ、ニッポンだ。浮かれた飯の裏で僕は密かに卵をサンドに仕込み始めた。この卵だから包み込める絶妙のサンドを。今日はご飯でいい。でも、明日は僕の番だ!



抜きん出た
卵に惹かれ
生まれ出た
99
義理のベーコン

(折句「ヌタウナギ」短歌)
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