眠れない夜の言葉遊び

折句、短歌、言葉遊び、アクロスティック、夢小説

ナンセンス・フューチャー

2020-01-16 10:43:00 | 短い話、短い歌
 ラーメン屋を探して街を歩いた。噂を頼りに歩いている内にいつしか探しているのはラーメン屋ではなく河童に入れ替わっていた。公園を越えた辺りに河童の生息地があるのだと言う。「この自転車を少し預かって欲しいの」女は有無を言わさぬ強さで自転車を押し付けた。変な女だ。(変な街だ)渋々押して歩く自転車は錆びが酷く重たかった。すれ違うパトカーから警官の鋭い視線が見えた。目を伏せて歩きすぎるとサイレンの音が背後から迫って来た。「そこの盗難自転車の男は手を上げて止まれ!」僕ではない。辺りにそれらしい人もいない。僕は手を上げた。自転車は倒れなかった。「ヒヒーン!」行こうよ! 馬が力強く誘った。愛馬にまたがるとその瞬間に憂いは晴れていた。行こうぜ!



からからの
河童がさらす
未来史に
一語をのせる
首都のあまおう

(折句「鏡石」短歌)
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