眠れない夜の言葉遊び

折句、短歌、言葉遊び、アクロスティック、夢小説

ハイウェイ・テスト

2020-01-22 08:37:00 | 短い話、短い歌
 難しい問題は飛ばすこと。それがテストに打ち勝つコツだ。容易な問題から解いて、解いて、解きまくる。それこそがコツなんだ。冒険はスライムからはじまるものさ。一つ飛ばす。俺は正解に近づいている。一つ飛ばす。俺は勝利に近づいている。さあ、来い、容易な奴。一つ飛ばす。一つ飛ばす。一つ飛ばす。迷ったら飛ばす。俺は飛ばすのにも慣れてきた。この辺りはレベルが高い。難問が密集したゾーンだ。ここを抜けたら……。悩む時間は捨ててぶっ飛ばす。

 駆け足で飛ばすと来るところまで来た。そこは最終問題。こいつは容易じゃなさそうだ。そして、俺はふりだしに戻った。解くには至らなかったものの、問題のすべてに触れることはできた。もう初見の戸惑いを感じることもない。大丈夫。俺は成長している。俺の中に自信は漲っている。テストはこれからだ。「はい。そこまで!」ペンを置いて!



駄菓子屋と
犬で始まる
問い15
各しあわせに
いいねをつけよ

(折句「大都会」短歌)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

犬の力

2020-01-22 03:07:00 | 夢追い
 靴紐を結び直すためにしゃがみ込んでいた。犬が道と間違えて僕の懐に飛び込んできた。ふわふわとして犬は暖かかった。しばらくの間、犬は間違いに気づかないようだった。鼻を鳴らし、匂いを嗅ぎ、立ち止まり、座り込み、歩き出し、警戒し、興味を示し、まわってみせた。「ありがとう。まちがえてくれて」心の中で犬に感謝しながら、僕はずっと道の振りをしていた。ふわふわとした犬の体に癒されながら、僕はどんどん元気になっていくようだった。(ああ。犬ってこんなにすごいんだな)自分が道になって初めて犬の力を知ったような気がした。曲がり角の向こうから、誰かを呼ぶ声がした。犬の耳が激しく反応している。尾を立てて僕の頬をピシャリと弾いた。飼い主の声で正しい道を思い出したようだった。犬は勢いよく僕の中から抜け出した。「ありがとう。助かったよ」
 いつの間にか靴紐はきつく結ばれていた。






コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする