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「インポッシブル」 J・A バヨナ監督 米西 ○
2004年の年末に起きたスマトラ島沖地震の際、タイのリゾート地で津波に流された一家が傷だらけになりながらもなんとか再会をはたすという本当にあった話を映画化しました。
行きの機内では「弟たちを無視」している長男のルーカスですが、大けがを負った母親を助けながら離れ離れになった父と弟たちを探すうちにたくましく成長していきます。再現された津波やその後の瓦礫の風景は息をのむほどの緊張感と喪失感にあふれています。生々しい傷(特殊メイクがすばらしい)で死の淵から生還する母親役のナオミ ワッツの演技はアカデミー賞ものです。
3・11から2年以上が過ぎ、都会にいるともう過去のこととなりつつありますが、この作品をみてもう一度被災者たちに寄り添わなければならないと思いました。また、人の実力はピンチの時に発揮されると常々思っていましたが、家族の関係も日頃の信頼の深さがいざ事が起きた時にあらわれるのですね。また、「他人の役に立つ」ことが子どもを成長させるのです。子どもに電車の中で席を譲ることを教えないエゴイストな親たちにぜひ観てほしい作品です。
タバコはなし、無煙です。