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「小さき声のカノン ―選択する人々」 鎌仲ひとみ監督 ◯
福一(福島第一原発)の事故以前から「ヒバクシャ」「六ケ所村ラプソディ」「ミツバチの羽音と地球の回転」などで原発や核をめぐるドキュメンタリーを発表していた監督が福島の事故後の母親たちとベラルーシでの取り組みをドキュメントしました。
福一の事故後、福島や周辺の放射能で汚染された東京を含む各地に住む母親たちは子供をいかに被曝から守ったらいいのか悩んでいます。避難したくてもできない事情もあり、避難したことで苦しむこともあり、まさに「選択」を迫られているのです。旧ソ連時代のチェルノブイリ原発事故後日本の医療班が現在のベラルーシで行ってきた健康調査とその後の取り組みを紹介し、まさに「カノン」(同じ旋律を繰り返す音楽技法)のように福島で実行しなければならないと考えさせられます。ベラルーシの担当者が「日本人が検査方法を考えだしたのに・・・(日本で同じようにやればいいのでは)」と言ったひとことが、それができない現実を浮き彫りにしました。他所の国なら出来るのですが自分の国では本当のことは言えないのです。はっきり言って「棄民」なのですから。
原発再稼働を支持する人々にはぜひ見ていただきたい作品です。
タバコはなし。無煙です。タバコを吸って放射性物質(ポロニウム210)を撒き散らかしながら「原発反対」を叫ぶ人は登場しませんでした。