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「王妃の館」 橋本一監督 △
浅田次郎原作。パリを舞台に2つのツアーが「王妃の館」と呼ばれているホテルに到着、ダブルブッキングやらメンバーの小説家が劇中劇を繰り広げるやら、慌ただしい中にもほろりとさせられる作品です。
旅行代金が200万のお金持ちツアーと29万8000円のツアーが同じホテルに泊まりますが、実は同じ部屋をダブルブッキングしていたのです。破産寸前の旅行会社の社長でもあり添乗員でもある玲子(田中麗奈)は部下の戸川(実は夫=尾上寛之)を叱咤しなんとかごまかし通そうとします。一方、メンバーの一人作家の北白川右京(水谷豊)はスランプでしたがこのホテルに泊まることでひとつの物語が突然降りてきたのでした。それはルイ14世とその息子をめぐる物語で、その物語のお陰で問題を抱えていたツアーのメンバーたちも救われていくのでした。
パリの名所が見どころの一つ。また、劇中劇でフランス人を日本人が日本語で演じているのもわかりやすいといえばわかりやすい。登場人物がめちゃくちゃなところもありますが、劇中劇の子役の歌がうまかったのと母と子の浪花節的な話に結構感動してしまいます。水谷がなぜパリは戦争を体験しながらも古い建築物が残っているのかを説明するくだりがありますが、「なるほど、そうだったのか。フランス人は偉い。」と大感動です。このセリフを聞くためだけでもこの作品は価値があるかもしれません。
タバコは、大変残念なことに田中麗奈が一瞬喫煙しました。(△)