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「百日紅」 原恵一監督 △
江戸風俗研究家で漫画家の杉浦日向子原作の長編アニメーション映画です。
江戸の街を舞台に葛飾北斎の娘で浮世絵師のお栄(声=杏)は23歳、今日も父親や弟子たちと絵を書いています。気になるのは生まれつき目が見えない別居している妹のこと。琵琶の師匠に師事していますが、病弱なため父親は会おうとしません。目が見えないことも病弱なのも自分のせいだと父親は思っているのです。お栄は妹の好きな両国橋の上で季節ごとに人々の日常の音を聞かせるのでした。
江戸の風俗が再現され、活気溢れる様子は現代風のポップな音楽がバックに流れ勢いを与えています。当時としては珍しかったかもしれない自立した女性が風情豊かに描かれています。北斎の人生は最後まではっきりしていますが、女性浮世絵師だったお栄の最後は歴史には残されていないようです。男が残す歴史だからでしょうか。
タバコは、冒頭でお栄が口にしていたキセルから吸い殻が飛び北斎の完成間近の絵を焼いてしまう場面があります。(△)浮世絵師が仕事場で喫煙するのはまずいですね。その他吉原の花魁などがキセルを持っていました。ちなみに北斎は酒もタバコも好まず90歳まで長生きをしたそうです。