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「終わった人」 中田秀夫監督 ◯ 東映
内館牧子原作の小説を「リング」の中田監督が映画化しましたが、ホラーではなくどちらかといえばコメディです。
東大法学部卒メガバンクのエリートだった田代壮介(舘ひろし)はあるときから出世コースをはずれ子会社に出向後定年を迎えました。仕事一筋の生活だったため「毎日が日曜」になりすることがありません。妻(黒木瞳)は現役の美容師で自分の生活が充実しています。「濡れ落ち葉」になりそうな壮介に「恋でもしたら」などいうのでした。そんなある日古書店で自分が手にした石川啄木の本と同じ本に興味を示していた女性(広末涼子)に出会います。そこから新しい壮介の日々が始まるのですが・・・。
朝起きても予定がないことの不安さ、どこへ行ってもシニア層ばかりの現実、東大卒がかえって再就職の邪魔になることなど同世代の観客には苦笑を誘います。その上やっと再就職した先での思わぬトラブルなど壮介の奮闘が痛々しくもなります。それでもふるさとが暖かく迎えてくれ救われました。
定年後の夫婦のあり方のひとつを提示しています。広末と妻のいとこ役の田口トモロヲの存在が暗くなりがちなテーマを明るくしています。期待以上の面白さでした。
タバコは、なし。無煙です。同窓会の場面も無煙で良かったです。