「帰れない二人」 ジャ ジャンクー監督 中仏合作 ☓☓☓☓☓
2001年から2018年にかけての中国の変化を一組の男女の姿を通して描きました。
山西省大同、裏社会のビン(リャオ ファン)の恋人チャオ(チャオ タオ)は敵対組織に囲まれたビンを救うためビンが持っていた銃を発泡します。5年の刑を受け服役し、出所しますが迎えには誰も現れませんでした。ビンを探して長江を訪れますが、そこにかつてのビンはいませんでした。
18年の間に変わっていく中国の姿を、長江ダムのため立ち退かされる人々、高層住宅群、新幹線などで描き、なかでもわかりやすいのは携帯電話の変わり方でしょうか。ラストは監視カメラの映像でさりげなく問題を提起しています。
主演の二人が18年の変化を演技力と髪型で表現しました。
中国にも「渡世人」の「文化」があることはちょっと意外です。
タバコは、2001年の時代にはバス内でも男性はほとんど喫煙し、時代を表していましたが、今でも客にはとりあえずタバコを勧める慣習が残っているのはびっくりです。さすがに2018年では勧められたタバコを断る場面がありましたが、映画の中での喫煙率はあまり変化がありませんでした。主人公が病気になるのはやはり喫煙が原因でしょうか。その点も監督は極々さりげなくタバコの害を告発しているのかもしれません。
なお、紙巻きのタバコより葉巻のほうが健康に良いと葉巻をプレゼントする場面もありましたが、それについてはいかがなものでしょうか。フィルターというプラスティック部分がないので海洋プラスティック汚染の原因にはならない、とか、紙を使わないので森林破壊をしないなど環境面での違いはあるかもしれませんが健康被害は変わらないのではないでしょうか。どちらも吸わないことが健康には一番でしょう。