「i 新聞記者 ドキュメント」森達也監督 ○ ☆☆
映画監督の森達也が東京新聞の社会部記者の取材姿を追ったドキュメンタリー映画です。
劇場公開映画「新聞記者」の原案者でもある東京新聞の望月衣塑子記者は、菅官房長官の記者会見での諦めない質問姿勢が話題となっています。質問の途中「質問をしてください。」と何度も嫌がらせを受けたり、誠意がまったくない菅長官の態度や彼女を孤立させている他社の記者たちにもめげず納得できる回答を得るまで食い下がる彼女の姿は記者魂にあふれています。そして、逆に見えてくるのは他社の記者たちの不甲斐なさです。この作品では使われませんでしたが記者集団にはびこる「同調圧力」や「権力への忖度」、それこそが前向きな議論を阻み、健全な報道姿勢を貫くことへのしばりになっているのではないでしょうか。
望月記者を描いているように見せ、監督が見せたかったのはその他の記者たちです。記者を名乗っているみなさんもっとがんばって!!(☆☆)
タイトルの「i(アイ)」は大勢で群れるのではなく、「一人称単数」で社会と向き合いたいという監督の意思を表しています。小文字なのは「権力を持たない、一市民」ということを強調していると思われます。
タバコは、なし。無煙です。