無煙映画を探せ  

映画のタバコシーンをチェック。FCTC(タバコ規制枠組条約)の遵守を求め、映画界のよりよい発展を願うものです。

黒衣の刺客

2016-01-13 | 2016外国語映画評


「黒衣の刺客」 ホウ シャオシェン監督 台湾中国香港仏  ◯ ☆
 
 唐代の中国を再現した衣装や調度品、中国の水墨画のような絶景地や日本の奈良の由緒ある寺院などで撮影された独創的な映像と情景に合う音楽が秀逸です。セリフは少なく表情だけで思いを伝える俳優の絶妙な演技も見どころです。
 女刺客となって故郷に戻った「隠娘」(スー チー)は、女道士から暴君の田季安(チャン チェン)の暗殺を命じられます。ところが彼は隠娘の元婚約者でした。一度は暗殺を試みますが、子どもがそばで眠っている姿を見るととどめを刺すことができませんでした。「暗殺者として情は無用」と道士から諭されますが、「なぜ殺さなければならないのか。」という疑問は拭えませんでした。隠娘が命を狙われた時に助けてくれた日本人青年(妻夫木聡)と出会い、隠娘は別の生き方を模索するのでした。
 世界中でいやというほどの暴力の応酬がなされている今だからこそ「殺さない刺客」の存在は「暴力では何も解決しない。」という監督の思いを伝えているのではないでしょうか。映画は総合芸術であることを改めて思い起こさせる秀作です。(☆)
 タバコは、なし。無煙です。


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ホワイト・ゴッド 少女と犬の狂詩曲

2016-01-13 | 2016外国語映画評


「ホワイト・ゴッド 少女と犬の狂詩曲」 PG12 コーネル ムンドルッツオ監督 
                     ハンガリー独スウェーデン ☓

 人間社会の勝手な都合で捨てられた犬たちが反乱を起こすサスペンス映画です。CGを使わず街の中心地を250匹の犬が疾走する場面は必見です。カンヌ映画祭「ある視点」部門グランプリ&パルムドッグ賞のダブル受賞作です。
 13歳のリリ(ジョーフィア ブショッタ)と愛犬のハーゲンは母親の都合で別れた父親に預けられます。ところが、雑種犬を飼うには税金がかかり父親はハーゲンを捨てさせます。ハーゲンはその後多くの捨て犬たちと出会いガールフレンドもできます。しかし、野犬狩りの追手から逃れたことがきっかけで、欲深な人間たちにより裏社会で行われている闘犬の「闘犬マックス」として調教されていきます。「相手を襲う」ことを教えられたマックスは買い主を襲って逃げ出し、結局保護施設に入れられますが、そこにいた犬たちとともに犬を虐げてきた人間たちへの報復行動を取るのでした。そして250匹の犬とリリが対峙する忘れられないラストを迎えます。
 闘犬として調教する場面には目を背けたくなるような虐待の場面がありますが、一方普通の人々の中にも犬を蔑んだり、バカにしたりする人もいます。犬たちはその気持を見逃しません。また、「犬は恩を忘れない」と言われますが、愛してくれる人の思いも忘れません。確かに「ゴッド」の目を持っているのかもしれません。
 タバコは、リリが父親に反抗して夜遊びする場面で友人が喫煙する場面があります。(☓)「私も吸ってみたい」とタバコを要求しますが、この青年は素晴らしいことに「タバコは吸うな」と渡しませんでした。喫煙者の愛犬は肺がんになるリスクが極めて高いので愛犬家の皆さんはタバコを吸わないでくださいね。(字幕表記は「タバコ」でした。)


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